154 / 203
3.喜多村本家に居候
154.義母の訪問
しおりを挟む「それで、ハノリ──ミヤビ様にご挨拶したいのですが?」
「あ~、今ふせっておりまして。応対できるか聴いて参ります」
「そなたのことは、伝えて置くゆえ、こたびは下がるがよいぞ」
寝室へ聞きに行こうとするとレニ様が応接室に現れて答える。
「これは……山級レイニ様? お初にお目もじいたします。蒼屋キョウ様を婿に迎えました喜多村ミズキと申します。以後、お見知りおきを」
現れたレニ様に跪いてミズキさんが答える。
慌ててボクも横に退き跪く。忘れてたけどレニ様って偉い人だったんだよね~。
「喜多村ミズキであるな。ハノリ殿下には伝えておく」
「は! どうぞよしなに」
「うむ、大儀である」
ミズキさんは頭を垂れたまま下がると踵を返し部屋を出ていく。
「義兄上はひれ伏さずとも良いのですぞ?」
「え? そう言うワケにもいかないでしょう?──」
義母様が額づく場面でそれはできません。
「──で、では、ミヤビ様にご報告してきます」
「そんなことより、先ほどの続きを話しましょうぞ」
「そんなことって」
「──何か?」
「いえ。少々お待ちください。ミヤビ様に」
「──あっ……」
レニ様の言い分は分かるけど義母の訪問は報告しないとでしょう。寝室のミヤビ様に知らせに行く。
「いかがでしたか?」
ミヤビ様への報告から戻るとレニ様が聞く。
「相変わらずです。つらいと言うほどではないのですが……だるそうです」
「そうですか。今宵はダメかも知れませぬ。明朝、お変わりなくば医者を喚びましょう」
「……そうですね」
病院に行くんじゃなく、医者を喚ぶんですね。サキちゃんは大丈夫って言ったけど、容態が変わらないならそうしてもらおう。
ボクたちは応接室に移動して訪問を待った。それからは、来客もなく時間だけがすぎる。部屋の前を通りすぎる足音はすれど部屋を訪れる者はいなかった。
「お食事の準備が調いました。迎賓館のホールへお越しください」
日が沈むと慌ただしくなる。サザレさんが食事へ呼びにくる。
「ありがとうございます、サザレさん。レニ様、ボクはミヤビ様の様子を見てきます」
「余も行きますぞ」
二人して寝室を覗く。レニ様は歩くのがつらそうなので待っていてくれたら良かったんだけど。
白シャツとスラックス姿のミヤビ様がベッド脇のイスに座っている。ジャケットを羽織るまでは着替えてらした。
「ミヤビ様、お加減はいかがですか?」
「うむ、大丈夫だ。食事くらいはな」
「そうですか。食事の報せが来ましたので参りましょう」
「義兄上、肩を貸してくだされ」
「え? はい」
レニ様が高下駄を取り出し、履くのをボクが介助する。これで、なお一層歩きにくくなったよ。
「参ろうか」
そう言いミヤビ様が左肘を突き出してくる。これって腕を組めってこと? ボクは、その腕に腕を絡める。
空いている左腕にはレニ様が腕を絡めてくる。すっごく歩きにくいよ? 見た目はボクが貴人に拉致されてる感じに見えない?
応接室まで進むと部屋の扉は開け放たれ、護衛・警護たちが整列してる。
「何? ホールまでの護衛?」
「まあ、そうです」
代表して笹さんが答える。過剰な態勢だよね。
「そちらの人は……白い人、戸隠さんと角師さんか。まだ知らない人がいるね」
「我らは、レイニ様の」
「あ~、そうですか」
レニ様の護衛とは絡まなかったので面識はなかったな。どうせみんな黒服に黒メガネなんで体型の違いくらいでしか判別できないし。
護衛十人ってエレベーターにみんな乗り込めないよ。精々、八人くらいしか乗れない大きさだし、どうするんだろう。
って、思ってたらあぶれた人は階段で降りるらしい。お疲れ様です。歩鳥・斎木・気更来・羽衣の四名が階段を駆け下りていく。
本館の一階から正面玄関を出て車寄せのリムジンに乗り込む。大げさだな~。同乗は戸隠さんと角師さん。
でも、レニ様に付き添っていたら移動に凄く時間はかかりそうではある。理に適ってるのか? すぐそこに迎賓館があるのに。
車だとぐるっと回りこんで迎賓館に移動する。ミヤビ様に支えられ車から降りると、ボクがレニ様の降車を介助する。
「「「ようこそ、いらっしゃいました」」」
車寄せから玄関ホールに入ると美少年の裸像群とともにメイドさんたちが整列して出迎えてくれる。
リムジンに乗りこまなかった護衛たちも、その奥で控えている。館の中を回って駆けつけたんだ。たびたび、お疲れ様です。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる