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3.喜多村本家に居候
157.乱入者
しおりを挟む「あ~、タンポポちゃん、別に何もやってないよ?」
「なんだ、アヤメおばさんとカエデおばさんだったのか~。それで、うちのキョウになんの用?」
「うちのキョウ……って、ど~ゆうこと?」
「あの~、タンポポちゃん?──」
ま~た、余計なこと言いそうだよな~。
「そりゃ、将来を約束したからに決まってるでしょ?」
「しょうらい」
「そう、決まってるの」
「……将来?……って何?」って当然カエデさんが聴く。
「──それは、あとで話そうか?」
「将来って言ったら結婚に決まってるでしょ?」
「ぷっ……あ~、結婚ね? よかったね、結婚」
既婚者として余裕の笑顔で取り合っていない。なんなら嘲笑までしてる。
「わ、笑ったわね?」
「わね~?」
「ちょっと……これを……」
「タンポポちゃんたち、ソレはやめようか?」
ポケットから携帯を取り出し操作し始める幼女ーズ。予想通りの行動に慌てて止めるけど、残念。テーブル向こうで手が出せない。
「これが目に入らぬか~!」
「か~!」
「ひかえおろ~!」
やっちゃったか~。また〝事後写真〟を振りかざすタンポポ老公ご一行。
「な! それは一体?」
「キョウちゃん!」
アヤメ・カエデ姉妹が眥を吊り上げて振り返る。
「いや、それは、ですね?……」
もう、説明する身にもなってほしい。なんで人間は腕が短いんだ。テーブル向こうまで届くように二、三メートルほしいよ。
またしても、アヤメさんたちを手招きして「おままごとのお遊び」だとタンポポちゃんたちには聞こえないよう耳打ちする。
耳許で囁くたび、二人は身悶えする。顔が近いのをいいことに唇をよせてキスしようとして来るし。会場の皆さんが注目してるの、分かってる?
「なるほど、ね……。タンポポちゃん、私たちはマキナおばさんと一緒に結婚したから、私たちが先輩よ?」
「そうそう、タンポポちゃんたちは、あたしのあとだから~」
ちょっと、なに対抗心を燃やしてるのさ? そこは年長者の貫禄で受け流すところでしょうに? 子供の土俵に上がってど~すんのよ。
「あの~、立ち話もなんだから座ってご馳走、食べよ?」
ちょうど護衛たちの運んで来たイスもあるし。ってタンポポちゃんたちには座面が低いか?
「そなたらは、何をもめておるのだ?」
「いえいえ、こちらで収めますのでレニ様は、お気にかけられずとも宜しいのです」
レニ様の登場にみんな固まっちゃったよ。威圧感あるんです、その盛った頭が。
「あ、義兄上、余にも言わせてくだされ……」
「お手間を取らせる訳には行きませんので……」
レニ様には有無を言わせぬよう、介助して席に戻ってもらう。
ちら見するとミヤビ様は、相変わらず食欲が悪いよう。
「さあさあ、食べよう食べよう」
手が止まっているみんなに発破をかける。
「う、うん」
「びっくりするね、山級の鬼君様」
「そうそう。それにキョウにべったりよ」
「こわい……」
「なんか変な服……」
ひどい言われようだ、レニ様。まあいい、食べよう食べよう。
「キョウ様……」
「ん?……なに?」
「お友達が、あちらに」
食事再開って時にまた邪魔が入る。今度は笹さんがやって来て上手の入口を掌で示す。
見るとドアのすき間から中を覗く級友が二人。まったく……。
「どうしたの?」
中座して入口へ迎えに行く。
「下が騒がしいな~って、見にきた」
「キョウちゃん、きれい。写真撮っていい?」
タマちゃんが携帯を向けてくる。モールで襲われてた時の服、って看破される。
「写真はやめて。ここはマズいから中、入ろうか?」
「え? いいの?」
「もう、今さらだから。入口で覗いてる方が怪しいから」
「何か食べていい? でも──」
「夕食取ったばかり。食べられない」
「笹さん、お願いできる?」
「畏まりました」
打てば響く対応で助かります。
「あらあら……」
席に戻ったらマナちゃんがボクの席に座ってた。
タマちゃん水無ちゃんたちは、会場の皆さんに頭をへこへこ下げながら付いて来て、空いたイスに座る。
都合、二つイスが空いたので、あとは料理か。
ボクはマナちゃんを抱えてイスに座る。
切り分けられた豚の丸焼きを食べ、詰め物のピラフを食べして食事会も大詰めに差し掛かりデザートが配られ始める。
マキナは間に合わないのかな~?
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