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4.本家からの再出発

162.おじゃま虫

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「部屋を見に来るだけ? もうお風呂に入って眠りたいんだけど?」
「大丈夫。眺めるだけだから」
「うんうん」
義兄上あにうえ、今夜のお勤めがありますぞ?」
「何が大丈夫か分からないよ? レニ様、今宵はご勘弁願いたいのですが?」
 せっかく、二人っきりになれるってのに。

「レイニ、今宵はよいではないか。久々に二人にしてやろうではないか?」
「そうですか。殿下がそう仰るのであれば……」
 レニ様たちは何とかなりそう。エレベーターで上がるレニ様たちを見送る。あとは……。

「タマちゃんたちは迎賓げいひん館に帰ってよ。お願いだから」
「まあ、部屋を見るだけならいいだろう」
「マキナ? いいの?」
 言外に見るだけじゃ済まないって念話を送ったんだけどマキナには通じない。
 まあ、言われる通りに従っておこう。

「一度には乗れないね。タンポポちゃんたち、お先にどうぞ?」
 一階に返ってきたエレベーターには残った全員が乗れなかった。幼女ーズかアヤメ姉妹かどちらかが乗りきれない。

「分かった。みんな先に上がろう?」
「うん」
「分かった」
 タンポポちゃんたちがエレベーターで上がるのを見送る。

「それじゃあ、三階だったね?」
「そうだ」
 マキナに再確認して一階に戻ってきたエレベーターに乗り込む。護衛たちは階段を駆けあがって行く。

「何で三階に居るのよ?」
 エレベーターを三階で下りると幼女ーズが待ち構えている。その後ろには護衛たちも。
 タンポポちゃんたちが二階で停まったのを確認したのに。階段で一階分、上がってきたの? 聞きわけが良いなって、だまされた。

「私たちをのけ者にさせないわよ?」
「わよ?」
「私も部屋を見たい」
「はあ~……マキナ、部屋はどこ?」
「すぐそこだ」
 もう追及はあきらめて部屋に移動する。

「少し小さいかな?」
 五階の部屋とは比ぶべくもない。体裁は、同じく応接室、リビング、寝室のつくりになってる。

「今夜の服を取ってくるからマキナは待ってて。タマちゃんたち、くれぐれもつつしむように──」
「分かってるって」
「うんうん」
「──振りじゃないからね? じゃないと……」
 いつかみたいに親指を立てて首をかっ切る仕種をする。

 一瞬びくっと体を震わせたあと、タマちゃんたちは神妙にうなずく。これで、ボクが戻ってくるまでは保つだろう……。
 急いでエレベーターに戻り五階に上がる。

 五階の自室──って変な言い方だけど、そこに戻り衣服をそろえる。

義兄上あにうえは、あちらに泊まられるのですね……」
「そうですね。それでは、お休みなさい」
 淋しそうなレニ様に心引かれながらも寝室をあとにする。

「ただいま……」
「キョウ様、我らはとなりと五階の待機室に控えておりますので……」
「分かった。お休み」
「お休みなさいませ」
 護衛たちが三階の部屋の応接室で待ち構えてた。笹さんが代表してお休みの挨拶をしてくる。
 それに答えると部屋を下がっていく。若干、歩鳥・斎木の二人が力なく出ていく。

「みんな、変なこと、しなかった?」
「大丈夫だ」
「してないしてない」
「キョウちゃん、信じようよ」
「部屋を眺めてただけよ」
「見てた」
「小さい部屋ね」
「そう、ならいいけど……。満足したでしょ? 部屋に戻ってよ。マキナ、お風呂に入ろう」
「そうだな……そうするか……」
「わくわく……」
「むふぅ~」
「……さあ、出て出て」
 期待に満ちたみんなを部屋から追い立てる。

「だから、何で付いてくるのさ?」
「いや、何となく……」
「お風呂、お風呂……ふぉ~」
「はあ~、言っとくけど一緒には入れないからね? 家族風呂の大きさだからね?」
 部屋から家族風呂に向かうのに案の定みんなが付いてくる。

「分かってるって」
「うんうん。見るだけ」
「…………」
 とても分かってるふうには見えない。もう知らないからね?

「ほら、ここだよ」
「ふう~ん」
「狭い」
「だから家族風呂って言ったでしょ? 満足したら──あっ!」
 脱衣場で辺りを見回すと浴室に突撃していくタマちゃんたち。

「う~ん……入っても六人までだね」
「洗い場も狭い」
「分かったでしょ? 早く出て。服、脱げないよ」
「お気になさらず、どうぞどうぞ」
「キョウちゃんが洗い洗われるのを見てない」
「そんなの見せないよ」
 タマちゃん水無ミナちゃんを突いて脱衣場に戻るとマキナ姉妹のみならずタンポポちゃんたちまで脱いでいる。

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