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4.本家からの再出発
169.同じ轍(てつ)を踏む
しおりを挟む旦那の賛同も得られて肌着の着衣を披露しているけれど……
部屋着、いや普段着も欲しいのですよ。学校訪問が明日に控え、そちらも見繕いたい。
屋敷に居ると、もうず~っと着回ししててもいいんだけど。
私学なら制服・私服どちらも可能性があるだろうけど、サキちゃんは公立に行かせたいんだろう。
「マキナ、ちょっと……」
マキナを呼んで通う可能性のある学校が制服なのか訊く。
「公立なら淡津高校、彦寝高校、竜王高校……かな~」
「何それ、竜王? カッコいい」
「……単に土地の名を冠しただけだが。竜王は遠いな、まあ通うなら淡津が近い」
「そうなんだ……公立なら制服だよね?」
「ああ」
よし、決まった。普段着は、好きな服を選べばいい。
「そろそろ普段着とか選びたいんだけど……」
肌着の補充は満たしたので普段着に変えたいとサガラに聞く。
「そうですか。仕方ありませんね~。上着を着て付いてきてください」
「は? 付いていく?」
ワケ分からないまま、ワンピースを着る。サガラたちに付いていくと、ファッションフロアを横切ってバックヤードに入っていく。
「いったい、どこに行くの?」
「特設ステージです」
「……は?」
何を言ってるんだ?
業務用エレベーターで一階に下りバックヤードの出入口ドアの前で止まる。
「少しお待ちください。呼んだら来てくださいね?」
「はあ?」
そう言い残してドアの向こうにサガラが消える。
ドアの覗き窓からは、仕切りがされてよく分からない。
「……皆さん、お待たせしました~。我らのアイドル、少年Kことキョウくんの生着替えショーを──」
何だって~!? 実名曝された~! しかも生着替えって何?
「──では、ご登場いただきましょう! キョウくん、どうぞ!」
それに皆さんって何? 観衆がいるの?
「──キョウく~ん? キョウく~ん?」
「キョウちゃん、呼んでるよ?」
「分かってるけど、人がいっぱいいるのに出ていけないよ」
「女なんかジャガイモだと思えばいいよ」
「ついにキョウちゃんもアイドルデビューか~」
「…………」
タマちゃんたちをにらむ。他人事だと思って~。
重い足を引きずってドアを押してフロアに出る。
フロアでは少ないながらも「キョー、キョー」って掛け声が上がっている。
仕切りでできた通路を少し進むと数段の階段があり、その先がステージになっているようだ。
「ようこそ、キョウくん。みんな拍手~」
「「「うおおおおっ」」」
階段を上がりステージに顔を出すや、雌叫びと共に拍手が湧き起こる。
その音量に体がビクッとなるけど、サガラが示すとなりの位置までぎこちなく歩む。
ステージが設置された場所は、催事に使うスペースかな? いったい、いつの間に。
それに、よく人が集まったものだ。数十人、吹抜けの二階からも人が見ているから五十人はいる。
「キョウくん、いらっしゃい」
「は、はい」
「今、穿いてるパンツの色は?」
「は? グレーです……」
あ、思わず答えてしまった……
「聞きましたか~? どんなのかは夕方のニュース・バラエティーで確認してくださいね~?」
「「「うおおおっ」」」
このぉ~。サガラの後ろに回って横っ腹を突く。
「おっと、キョウくんに突かれてしまいました。見た目と違って狂暴なので気をつけてください」
「「「アハハハハ」」」
「私も突いて~」
「私も私も~」
会場がドッと沸き、サガラの言葉尻に乗っかるやつがいる。
くっ……ダメだ。何かするとネタにされる。腐っても司会者、ボクなんかに太刀打ちできない。
「では、キョウくんに何を着て欲しいかな~?」
「えっ?」
観衆に向かってサガラが訊く。ボクが好きなものを着ていいんじゃないの?
「はい、そちらの紺のスーツの方」
手を挙げた人の一人をサガラが指す。
「3番のヒマワリ柄? のやつ」
3番って何? 答えた彼女の指さす自分の後方を見ると、ハンガーラックに番号が振られた衣装が吊るされている。
よく見たらステージの隅にカーテンに囲われた場所がある。もしかしなくても、そこで着替えるのか。
「では、キョウくん。3番のワンピースを、あの着替えコーナーで着替えてくださ~い」
そう言い隅のカーテンのところをサガラが示す。やっぱり、そこで着替えるのね?
はあ~、やるしかないのか……。
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