妄想日記7<<DAYDREAM>>

YAMATO

文字の大きさ
9 / 112
Chapter1(シオン編)

Chapter1-⑨【いつか夢の中へ】

しおりを挟む
シオンはベルトを外し、シャツをしまう。
『人それぞれだ。』
やはり嘘は通じなかった様だ。
引き出しに鍵を掛けると、足早にオフィスを出た。
 
「こんな所で悪かったな。」
「いえ、ここなら緊張せずに済みます。」
駅下の中華料理店に客はいない。
中国人の店主はテレビを見たままだ。
高級店を想像していただけに、面を食らった。
「親父、ビール二杯と餃子と小籠包をくれ。
後、空芯菜も頼む。」
メニューを閉じた大門かシオンを見る。
「注文しないのか?」
「はい、私も餃子が食べたかったので。」
「親父、餃子一皿追加だ。」
大門の声が店内に響く。良く通る声だった。
 
大門は上着を脱ぐと、背凭れに掛けた。
Yシャツのボタンが弾けそうな大胸筋が現れた。
「何かスポーツされているのですか?」
当面の話題が見付かり、安堵する。
「ああ、学生時代はアメフトをやっていた。
今でも時間がある時は大学に顔を出して、学生達に混ぜてもらっているんだ。」
柔和な笑みを浮かべた大門はネクタイを緩めた。
「ポジションはどこですか?」
「クォーターバックだった。
走るのが苦手でな。」
「花形ですね。
私も何度か観戦に行った事があります。」
学生時代を思い出す。
初めて付き合った男が大学のアメフト部だった。
何度か応援に行った覚えがある。
 
「マイナーなスポーツだから、話に乗ってくれた相手は初めてだ。
誘って良かった。」
「あの迫力は直に見ないと伝わらないです。
私も応援行って、驚きました。
タックルした時の激しい音に興奮しました。」
楽しかった学生時代を思い出し、興奮気味に話す。
「私の知り合いも四六時中怪我をしていました。」
「ああ、怪我は付き物だ。
というか、怪我をしてない時はなかった。
大学対抗の直前に骨折してな…。」
大門も昔話が止まらない。
『あいつ、どうしているかな?』
武勇伝に耳を傾けながら、不意に男の顔が浮かんだ。
 
「野郎は筋肉だ。
シオンももっと筋肉付けろ。」
それが口癖だった。
「だったらもっとマッチョと付き合えばいいだろ。」
「マッチョはここも筋肉質なんだ。
マッチョにこんなトロトロの奴はいない。
だからシオンがマッチョになればいいのさ。」
ケツを掘りながら勝手な事を言うテツオを思い出す。
卒業と共に疎遠になり、自然消滅していた。
「K大学の赤羽を知っていますか?」
「赤羽って、テツオの事か?」
「そうです。彼は同窓なんです。」
「俺の出身校で今、アシスタントコーチしてるぞ。」
「えっ、本当ですか!懐かしいな。」
「だったら呼んでやろうか?」
「えっ、今ですか?」
大門は既にスマホを取り出していた。
 
会いたい気持ちと会いたくない気持ちが入り乱れる。
大門の前で初体験の相手と再会するの躊躇われた。
万が一、とんでもない発言でもされたら、身の破滅だ。
「やはり今でなくていい…。」
「おっ、テツオか、大門だ。
今から出て来ないか?
面白い奴を紹介するぜ。」
体育会系の口調がシオンの言葉を飲み込んだ。
「ああ、駅下の中華だ。
そう、前に来た。だったら直ぐに来い。」
その会話に不安が増す。
まさか、テツオがゲイをオープンにしている事はないだろう。
ましてや社会人になったテツオにも分別はある筈だ。
そう考え、不安を打ち消そうと試みた。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

処理中です...