妄想日記7<<DAYDREAM>>

YAMATO

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Chapter2(テツオ編)

Chapter2-⑩【SUPERMOON】

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「私、見ちゃったんだ。」
「えっ、何を?」
黙って話を聞いていた陽子が口を開く。
沖縄の夕陽に関係ない事は確かだ。
「奴とお兄ちゃんがやってる所…。」
「やってる所って?」
愚問だと思うが、聞かずにはいられない。
「言わせないでよ。」
陽子が下を向いた。
 
「若い頃ってさ、兎に角出したいんだよ。
出せれば同姓でも、何でも構わない。
ただ出せればいいんだ。」
自分が咎められた訳でもないのに、言い訳が口を吐く。
「なら、シオンさんも?」
「いや、それはないけど…。
一時の気の迷いだよ。
今は陽子さんに一途だし。
真剣に好きみたいだよ。」
我が身に被害が及びそうになり、結局ホクトの話をする。
 
「問題はそこじゃないのよね。」
顔を上げた陽子に笑みはない。
何時もと違う大人の顔をしていた。
「なら何処が問題なんだ?
俺は美人と美男でお似合いだと思うけど。」
「私が見たのは奴のアソコ。」
「えっ!」
陽子の口から出た言葉とは思えない。
「凄く大きかったの。
あんな人と絶対に付き合えない。
身体が壊れちゃうわ。」
陽子が髪を掻き上げる。
初めて見せる仕草だった。
 
「へー、陽子はそんな事を言ってたんですか。」
「だから目はない。
諦めろ、うっ…。」
トイレの個室で声を潜める。
「逆ですよ。それなら勝算ありありだ。」
「何処に勝算があるんだ?
肉体的に無理だと言っているのに、おっ…。」
ホクトの太マラにスポットを突かれ、会話が覚束ない。
「それは陽子が食わず嫌いだから。
一度、この味を知ったら、そんな事は言わないですよ。
今のシオンさんみたく、ほらっ!」
「おおぉぉう…。」
あっという間にピークに達する。
ここに入って五分と経っていない。
ホクトは無駄な行為を一切しなかった。
只ターゲットを狙い打つだけだ。
お陰で罪悪感を持つ前に射精出来た。
スポーツ感覚で行為に耽れたのだ。
 
「となると、夜這いを掛けるか。
確実にツグムのいない日が分かればな。」
「よっ、夜這い!」
「そんなに驚く事?
東京の奴はやらないの?
沖縄じゃ、普通ですよ。
皆、自宅だから、窓から入って、やりまくりです。」
俄には信じ難い。
だがホクトやツグムを見ていると、もしかするとと思ってしまう。
性に奔放なのは土着性に所以していたのかもしれない。
 
満月が赤く染まっている。
正にブラッディムーンだ。
「ムラムラするな。」
明るい夜道を歩きながらツグムが言う。
月光を浴びた桜が舞い落ちる。
流石にこの時間では夜桜を楽しむ人もいない。
そんな幻想的な景色を見ても、気持ちは落ち込むばかりだ。
『今頃、陽子は?』
昨日、ホクトに言ってしまったのだ。
今夜、ツグムと会う事を。
「だったら夜這いするなら明日だ。
俺の自慢のマラを堪能してもらうか。
絶対に陽子は俺に夢中になりますよ。」
その時は陽子の為だと自分に言い聞かせた。
陽子の好意は自分に向いている。
だが自分が幸せにしてあげる事は出来ない。
だったら陽子を一途に思っているホクトに任せた方が彼女の為になる。
そう思い込もうとした。
 
『しかしそれは本当に陽子の為なのか?
もしかして自分の為に?』
保身に走り、陽子を陥れる卑劣な行為にも思えてくる。
『やはり止めに行くべきか?』
満月が思考を鈍らせた。
 
 
(つづく)
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