妄想日記7<<DAYDREAM>>

YAMATO

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Chapter3(陽子編)

Chapter3-⑥【#好きなんだ】

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「まさか、ツグムが…。」
真っ先に浮かんだ顔だ。
「確か、沖縄出身の兄妹だったな。
面白い物を見せてやろう。」
大門がスマホを操作した。
 
「…。」言葉を失う。
ディスプレイに写っているのは陽子だった。
穏やかな寝顔は少女のままだ。
豊満な乳房と反比例して、下着からはみ出した陰毛は青々としていた。
『これが陽子さん?』
気勢を殺がれると同時に、大門の勝算の意味を知る。
 
テレビの映像が再開した。
回り込むカメラに見知ったペニスが映る。
マスクマンの正体はもう分かっていた。
テツオは大きく口を開け、前のめりになる。
しかし荒縄がそれを許さない。
ただ口をパクパクさせ、飢えを訴える。
断食後にご馳走を出されたみたいな振る舞いだ。
『きっと俺もこうなるのだ。』
思わず笑ってしまう。
 
「何が可笑しい?」
ムッとした声音を初めて聞いた。
想定外の笑いに不満を覚えたのだろう。
「いえ、別に。」
曖昧な答で挑発する。
「まあ、いい。彼女の今後は君次第だからな。」
「別に構わないです。
SNS にでも上げたらどうですか?
きっといいねが増えるでしょう。」
大門が挑発に乗ってくれれば良いのだが。
 
スマホの画面が揺れた。
「この後、私は警察に全て話します。
代償として、大き過ぎませんか?」
「私に取引を持ち掛けとは大した奴だ。
少し見くびっていた様だな。」
「ええ、見当違いです。
私はインテリではありません。
中身はテツオと同じです。」
シオンは立ち上がるとベルトを外す。
パンツを下ろし、貞蔵具を露にする。
スマホの揺れが大きくなった。
 
大門が大笑いした。
愉快そうに笑う姿は子供の様だ。
「とんだ見込み違いだ。
私の眼力も落ちたみたいだな。」
「本当の事を話してくれませんか?」
パンツも戻し、座り直す。
大門の心意が知りたかった。
 
「ほう、そこ迄見抜いていたのか。
どうやら君の方が上手の様だ。」
大門の表情に柔和さが戻った。
「陽子は私の娘だ。
籍は入っていないが、養育費は払っている。」
「と言う事はツグムもですか?」
「いや、違う。母親は同じだがな。」
温厚な眉間に皺が寄る。
 
「母親は金で寝る女だった。
そして身籠ると金を揺すってきた。
女は怖い生き物だ。」
大門の告白を無言で聞く。
「女は嫌いだが、陽子は別だ。
陽子だけは幸せになって欲しい。」
ホクトに監視させてた訳を理解する。
 
「そしてもっと怖いのは血だ。
陽子にも母親と同じ血が流れている。」
「まさか…。」到底信じられない。
「陽子は血の繋がった兄とも寝ている。
それだけは何としても止めたい。」
苦悩する大門に部長の威厳はない。
一人の父親として藻掻いていた。
 
「陽子さんは知っているのですか?」
「いや伝えてない。
私の事は母親の知人と思っている。
そうでなければ、私に迄、色目は使わないだろう。」
大門がウイスキーを飲み干した。
 
「ではテツオも?」
「察しが良いな。
奴も陽子に狂った。
いや、狂わされた。
貞操具を付けたが、無駄だった。
奴は陽子に掘られる悦びを知ったんだ。」
大門はウイスキーを並々と注ぐ。
そして一気にグラスを傾ける。
だが酔いは訪れてこない様子だ。
「えっ、陽子さんが?テツオを掘る?」
顔色は変わってないが、実は酔っているのだと思った。
 
 
(つづく)
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