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Chapter7(気場編)
Chapter7-⑨【車輪が軋むように君が泣く】
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「えっ、シオンさん独りでいたけど。
連れがいたら、連絡先なんか渡さないっすよ。
流石の俺でも。」目の前が真っ暗になる。
「ずっと独り言を言ってたから、最初はヤバい奴かと思ってたんすよ。
今だから言えるけど。」
掌が尻を撫で回す。
「でも、でもっすよ。
林の中で排便したり、浜で自分の小便を浴びてるの見たら、その危なさに引かれちゃって。」
「俺が?俺は独りでそんな事をしてたのか?」
先を聞きたくないが、口が勝手に動く。
「惚けちゃって。
張り型を口とケツマンに入れてた癖に。
あれっ、シオンさんのケツマンって、こんなに緩かったっけ?」
オイルがアナルを満たして行く事にも気付かなかった。
どうやって家に戻ってきたかも覚えてない。
パソコンを起動させ、カードの利用履歴を見る。
ドライブに行った日にレンタカー会社からの引き落としがあった。
自分が壊れている事に気付く。
あの日、バイク事故があった。
その後の記憶が全て夢なのだ。
夢だけでない。
幻のテツオとデートしていた。
その事実に愕然とする。
「壊れた、壊れた、壊れた!」
部屋が赤く点滅した。
赤色灯がぐるぐる回る。
「うわぁ!」シオンは外へ駆け出していた。
スマホを出し、アドレスをスクロールする。
今更確認しても仕方ないが、見ずにいられない。
サトルの店の番号をクリックする。
登録日を見て、記憶が改竄されている事を知った。
2014年、学生時代にテツオと付き合っていた時だ。
始めてサトルの店に行ったのは遠い昔だった。
泣きながら夜の町を歩く。
記憶が改竄された事を知り、一人でいるのが怖い。
目の前に見知った店があった。
深夜にも拘わらず、看板が点いていた。
「いらっしゃい。
あらっ、こんな遅くに出頭?」
缶ビールを飲んでいたサトルが顔を上げた。
「来るんだったら、連絡位寄越しなさい。
何も準備してないわ。」
缶を置く音が店に響く。
「テツオの画像があると言ってましたね。
呉れませんか?」
「泣いてるの?まさか、別れたの?
そうしたら私の計画がご破算じゃない!」
「テツオ…、死んじゃった…、みたい。」
消え入りそうな声で伝えた。
「あのテツオが…。
殺しても死にそうもない奴だったのにね。」
サトルが冗談めかして言う。
その方が今はありがたい。
「うん、簡単にね。」
シオンもドラマの話題の様に続ける。
「だったらDVDにコピーするから、ちょっと待ってなさい。
ほら、これでも飲んで。」
放られた缶コーヒーをキャッチした。
「撮影して貰えませんか?
テツオと同じ様に。」
「今はダメよ。萎えたぺニスなんて、誰も喜ばないわ。」
「だったらテツオを見せて下さい。
テツオを見れば元気になります。」
「それもダメ。
死人を引きずっても良い事ないわ。
私が撮りたいのは我を忘れて欲情する姿。
後ろを向いてる人なんてゴメンだわ。」
ビシッと言われ、自分の置かれている立場を理解する。
誰も壊れた男等必要としていないのだ。
「これあげるけど、見たらとっとと棄てちゃいなさい。
その日が来たら、幾らでも撮ってあげるわ。」
サトルがDVDを差し出した。
「ありがとう。」受け取り、ポケットへ仕舞う。
「ここに直径15センチの張り型ってありますか?」
「そんな物ある訳ないじゃない。
誰が買うのよ。」
「そうですか。」
ドアに手を掛ける。
「自棄になって、そんな物に手を出すのは止めなさい。
禄な人生送れなくなるわよ。」
サトルの声が追ってきた。
『禄な人生か…。』
もうまともな人生は終わっていた。
だったらとことん進むだけだ。
後ろ向きよりは増しだろう。
そんな気がした。
「後戻りしなければいいんだろ?」
自分に言い聞かす。
「出来るのか?」
もう一人の自分が確認する。
「ああ、多分な。」
他人事の様な答を返す。
一度は終わった人生、後はおまけだ。
それが壊れた男の答だった。
(つづく)
連れがいたら、連絡先なんか渡さないっすよ。
流石の俺でも。」目の前が真っ暗になる。
「ずっと独り言を言ってたから、最初はヤバい奴かと思ってたんすよ。
今だから言えるけど。」
掌が尻を撫で回す。
「でも、でもっすよ。
林の中で排便したり、浜で自分の小便を浴びてるの見たら、その危なさに引かれちゃって。」
「俺が?俺は独りでそんな事をしてたのか?」
先を聞きたくないが、口が勝手に動く。
「惚けちゃって。
張り型を口とケツマンに入れてた癖に。
あれっ、シオンさんのケツマンって、こんなに緩かったっけ?」
オイルがアナルを満たして行く事にも気付かなかった。
どうやって家に戻ってきたかも覚えてない。
パソコンを起動させ、カードの利用履歴を見る。
ドライブに行った日にレンタカー会社からの引き落としがあった。
自分が壊れている事に気付く。
あの日、バイク事故があった。
その後の記憶が全て夢なのだ。
夢だけでない。
幻のテツオとデートしていた。
その事実に愕然とする。
「壊れた、壊れた、壊れた!」
部屋が赤く点滅した。
赤色灯がぐるぐる回る。
「うわぁ!」シオンは外へ駆け出していた。
スマホを出し、アドレスをスクロールする。
今更確認しても仕方ないが、見ずにいられない。
サトルの店の番号をクリックする。
登録日を見て、記憶が改竄されている事を知った。
2014年、学生時代にテツオと付き合っていた時だ。
始めてサトルの店に行ったのは遠い昔だった。
泣きながら夜の町を歩く。
記憶が改竄された事を知り、一人でいるのが怖い。
目の前に見知った店があった。
深夜にも拘わらず、看板が点いていた。
「いらっしゃい。
あらっ、こんな遅くに出頭?」
缶ビールを飲んでいたサトルが顔を上げた。
「来るんだったら、連絡位寄越しなさい。
何も準備してないわ。」
缶を置く音が店に響く。
「テツオの画像があると言ってましたね。
呉れませんか?」
「泣いてるの?まさか、別れたの?
そうしたら私の計画がご破算じゃない!」
「テツオ…、死んじゃった…、みたい。」
消え入りそうな声で伝えた。
「あのテツオが…。
殺しても死にそうもない奴だったのにね。」
サトルが冗談めかして言う。
その方が今はありがたい。
「うん、簡単にね。」
シオンもドラマの話題の様に続ける。
「だったらDVDにコピーするから、ちょっと待ってなさい。
ほら、これでも飲んで。」
放られた缶コーヒーをキャッチした。
「撮影して貰えませんか?
テツオと同じ様に。」
「今はダメよ。萎えたぺニスなんて、誰も喜ばないわ。」
「だったらテツオを見せて下さい。
テツオを見れば元気になります。」
「それもダメ。
死人を引きずっても良い事ないわ。
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後ろを向いてる人なんてゴメンだわ。」
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誰も壊れた男等必要としていないのだ。
「これあげるけど、見たらとっとと棄てちゃいなさい。
その日が来たら、幾らでも撮ってあげるわ。」
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もうまともな人生は終わっていた。
だったらとことん進むだけだ。
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そんな気がした。
「後戻りしなければいいんだろ?」
自分に言い聞かす。
「出来るのか?」
もう一人の自分が確認する。
「ああ、多分な。」
他人事の様な答を返す。
一度は終わった人生、後はおまけだ。
それが壊れた男の答だった。
(つづく)
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