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Chapter1(リクルート編)
Chapter1-②【バイト】
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案の定、不採用の通知が届いた。
筆記試験に自信がないのだから仕方ない。
しかし面談での一か八かの返答で場の雰囲気は一変した。
ヒロム以外の面接官も入社を前提とした質問をしてきたのだ。
埋まらなかった筆記を顧みず、淡い期待を抱いていた。
過去問題を解き、面接の対策サイトを片っ端から読んだ。
しかし肝心の当日、緊張で腹を下した。
午前中の筆記試験は脂汗を浮かべた状態で挑む羽目になった。
俺の人生はいつもこうだ。
努力しても、つまらないミスでそれを活かす事すら出来ない。
こんな事なら、受けなかった方が良かったと後悔した。
再就職は一旦諦め、アルバイトで食い繋ぐ生活を選んだ。
大手ジムを退会し、発展場兼ジムでトレーニングを行う。
アルバイト代が出るとそこへ行き、半日筋トレに費やした。
オープンと共にトレーニングエリアに向かい、夕方のバイトまでひたすら筋トレをす
る。
発展場を兼ねたジムでそこまで打ち込む者はいない。
ほぼ占有する状態でトレーニングが出来た。
ここにはどんな大声を出しても、咎める者はいない。
昼を過ぎた頃、視線を感じた。
入口に視線を向ける。
小さ過ぎるビキニを穿いた男が壁に凭れていた。
以前、見掛けた事がある。
軽忽な行動を見られた男だ。
先月風呂が壊れ、温水が出なくなった。
「修理呼ぶなら、直接連絡しておくれ。
内を通す必要ないから。」
大家は修理費を出す気はないらしい。
収入の安定しない今、そんな余裕はない。
温かい湯は諦め、真水で顔と頭を洗う羽目になった。
ここに来た時は簡易シャワーを使えるが、来れない月後半は湯の出ないシャワーで身
体を洗う。
そんな貧乏生活に嫌気が差していた時、ここで年配者と知り合う。
卑猥なレギンスを穿いていた。
股間に生地はなく、下からTバックが覗く。
トレーニングする事なく、辺りを徘徊していた。
獲物を狙うハイエナの様に。
無視してトレーニングを続ける。
「凄い身体ですね。
良かったら…、しませんか?」
インターバルに声を掛けてきた。
「いえ、筋トレしに来ているので、結構です。」
はっきりと断る。
「こんないい身体してるのに勿体ないな。」
何に対して勿体ないのか、首を捻る。
「だったらこれ穿いて、トレーニングしてくれないか?
五千円払うからさ。」
「ごせんえん…。」
思わず繰り返してしまう。
「ああ、穿いてトレーニングしてくれるだけでいいからさ。
出来たらスクワットがいいな。」
脈ありと察した男はレギンスを脱ぎ出した。
五千円あれば、修理費の足しになる。
少しの我慢と、レギンスを受け取ってしまう。
「あの…、下着は?」
「何、言ってんの?
五千円払うんだからさ、直に穿いてよ。」
急に口調がぞんざいな物に変わる。
『二度と会わないんだ。
我慢しろ。』
自分に言い聞かす。
「マジ?
こんなガタイ良いのに、チンコ小さいんだ。
醒めるな。
まあ、ケツ使えればいいか。
スクワットやれよ。」
唇を噛み締め、鏡の前に立つ。
バーを担ぎ、腰を落とす。
尻に指先が当たり、動きを止める。
(つづく)
筆記試験に自信がないのだから仕方ない。
しかし面談での一か八かの返答で場の雰囲気は一変した。
ヒロム以外の面接官も入社を前提とした質問をしてきたのだ。
埋まらなかった筆記を顧みず、淡い期待を抱いていた。
過去問題を解き、面接の対策サイトを片っ端から読んだ。
しかし肝心の当日、緊張で腹を下した。
午前中の筆記試験は脂汗を浮かべた状態で挑む羽目になった。
俺の人生はいつもこうだ。
努力しても、つまらないミスでそれを活かす事すら出来ない。
こんな事なら、受けなかった方が良かったと後悔した。
再就職は一旦諦め、アルバイトで食い繋ぐ生活を選んだ。
大手ジムを退会し、発展場兼ジムでトレーニングを行う。
アルバイト代が出るとそこへ行き、半日筋トレに費やした。
オープンと共にトレーニングエリアに向かい、夕方のバイトまでひたすら筋トレをす
る。
発展場を兼ねたジムでそこまで打ち込む者はいない。
ほぼ占有する状態でトレーニングが出来た。
ここにはどんな大声を出しても、咎める者はいない。
昼を過ぎた頃、視線を感じた。
入口に視線を向ける。
小さ過ぎるビキニを穿いた男が壁に凭れていた。
以前、見掛けた事がある。
軽忽な行動を見られた男だ。
先月風呂が壊れ、温水が出なくなった。
「修理呼ぶなら、直接連絡しておくれ。
内を通す必要ないから。」
大家は修理費を出す気はないらしい。
収入の安定しない今、そんな余裕はない。
温かい湯は諦め、真水で顔と頭を洗う羽目になった。
ここに来た時は簡易シャワーを使えるが、来れない月後半は湯の出ないシャワーで身
体を洗う。
そんな貧乏生活に嫌気が差していた時、ここで年配者と知り合う。
卑猥なレギンスを穿いていた。
股間に生地はなく、下からTバックが覗く。
トレーニングする事なく、辺りを徘徊していた。
獲物を狙うハイエナの様に。
無視してトレーニングを続ける。
「凄い身体ですね。
良かったら…、しませんか?」
インターバルに声を掛けてきた。
「いえ、筋トレしに来ているので、結構です。」
はっきりと断る。
「こんないい身体してるのに勿体ないな。」
何に対して勿体ないのか、首を捻る。
「だったらこれ穿いて、トレーニングしてくれないか?
五千円払うからさ。」
「ごせんえん…。」
思わず繰り返してしまう。
「ああ、穿いてトレーニングしてくれるだけでいいからさ。
出来たらスクワットがいいな。」
脈ありと察した男はレギンスを脱ぎ出した。
五千円あれば、修理費の足しになる。
少しの我慢と、レギンスを受け取ってしまう。
「あの…、下着は?」
「何、言ってんの?
五千円払うんだからさ、直に穿いてよ。」
急に口調がぞんざいな物に変わる。
『二度と会わないんだ。
我慢しろ。』
自分に言い聞かす。
「マジ?
こんなガタイ良いのに、チンコ小さいんだ。
醒めるな。
まあ、ケツ使えればいいか。
スクワットやれよ。」
唇を噛み締め、鏡の前に立つ。
バーを担ぎ、腰を落とす。
尻に指先が当たり、動きを止める。
(つづく)
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