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1章
10幕・炎の指輪1
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明朝。夕食から戻ってきた記憶が全くなかったリンは事の顛末をノルノフォールから聞き平身低頭謝罪した。
痴態を晒してしまい穴があったら入りたいくらいなのに、面白がるばかりで咎めないノルノフォールを前にすると不思議なことに以前ほど心苦しいと思わない。豪快に笑う王に釣られて失笑してしまったほどだ。
目が冴え、頭がすっきりしている。
それは何も朝食のために再訪した食堂のテラスから臨む眺望が目を見張る絶景だったせいだけではないだろうが、昨夜は暗闇に覆われて見えなかった窓の向こうに雄大な平原と透き通った空が広がるさまが心の解放感とそっくり重なって見えたのは確かだ。すがすがしい気持ちにリン自身が驚いていた。
それも束の間、現れた王妃に地面にめり込みそうなほど頭を下げて謝罪しそれどころではなくなったが。
その日からリンは公務中の王に随伴することを許された。朝はまず町の開門に合わせて飛び込んでくる国内外の知らせと人や物の出入りの確認。
そのために執務室に籠るというのでリンもそれに従った。
王の私室にも立派な両袖机があったが、なるほどあちらはあくまで私用だったことがこの大きなデスクを見れば一目瞭然だ。壁一面の書棚。書斎を兼ねているのだろう。続き部屋は応接間になっている。
執務室には早くもキヴィの姿があり、ノルノフォールが机の前に腰を下ろすや否や羊皮紙の束をどっかりと置く。
しばらく会話をした後キヴィは颯爽と執務室を出て行った。
邪魔にならないよう応接間のほうに退いていたリンは窓の外を眺める。
岸壁との距離は狭くこの部屋はテラスの代わりにベランダだ。と、そこへ向かったノルノフォールが椅子をひょいと抱えて戻ってくるとそれをデスクの近くに置きリンに座るように言う。
わかっていれば最初から自分で取りに行ったのにと彼は慌てて駆け寄った。
「俺の仕事は毎日これを読み上げて判を押すだけだ。らくなものよの」
羊皮紙の束を掴み上げてみせ彼が言う。
「物流、厚生、国交。一から百まで各総司がやってくれる。知恵を絞って草案を練り、駆けまわって問題に対処した結果がこれになってくるのだ」
椅子に腰をおろすリンが感嘆の声を上げる。
「王様はすごいのですね」
「今の話でなぜ俺をすごいと思うのだ?」
「そんな量の羊皮紙は初めて見ました。私がいた工房の親方はいつも1、2枚を時間をかけて読んでいましたし職人と相談もしていました。この量をおひとりで読まれるのは大変なはずです」
ああそれは、と王は笑った。
「仕入れの明細か帳簿か何かだろう。まさにそれをキヴィがやってくれているのだ。調べて、管理し、まとめた報告書やら打診案をこのように持ってくる。俺はそれを読んでサインをするだけだ。もしくは……」
こうする、と言って彼は拳でとんと羊皮紙を抑えるしぐさをした。
それが意味するものが何かわかりリンは王の指を凝視する。思った通り中指に大きな指輪がはまっている。
「これが気になるのか? 来い。よく見るといい」
視線に気づいたノルノフォールは指輪が見えるよう手を差し出してみせた。無遠慮に見つめていたことを詫びつつ、興味津々で近づきリンはそれを観察する。
どっしりと重量感のある金の指輪。リング部分にアカンサスの葉が見事な立体感で生き生きと彫られていて、トップには正円の平たい石がはめ込まれている。深紅色の石はよく見ると表面に模様が彫られていた。
矢がいくつも連なってぐるりと円を描き、その中央に太陽がある。リンはこれを城内のあちこちで見かけていた。バシュキ王家の紋章だ。
こうした指輪は印章リングと呼ばれる。家紋が彫られた部分は手紙を出す時に封筒を緘じる蝋に押し付けて家紋を刻印し、手紙の差出人を保証するものだ。
リンは機能美と伝統を兼ね備えたこの素晴らしい一品を知り得る限りの言葉で絶賛した。
あまりに大げさに褒めるのでノルノフォールはそれもまた面白がる。
「金銀細工が好きか。工房にいただけのことはある。ふむ。惜しいことをした。おまえがそこで働いているうちに俺にも記念にひとつ見立ててもらえばよかったな」
すると妙案を思いついたとばかりに彼の顔がぱっと明るくなった。
「そうだ。おまえ、道具が揃っていれば装飾品の仕立てができるのか?」
作ったことがあると言っていただろうと彼は昨日の話を持ち出す。
思いがけない提案にリンは最初戸惑ったが、王から具体的に何かを頼まれるのはこれが初めてだ。自分に出来る事を見つけられる、と気持ちが前のめりになった。
「習ったことならできます。私が作れるのは簡単な指輪、簡単な腕輪、簡単なチャーム、簡単な……」
「簡単とは?」
「私ができるのは鏨で金属の板に模様を彫ることです。ですがたとえば糸鋸を使った細工は教わっていないので透かし模様はできません」
今一つぴんとこない様子のノルノフォールは改めて指元を見せる。
「透かしはできぬと。こういったものは?」
と王家の印章リングを掲げてみせるのでリンは大慌てで首を横に振った。
「とてもとても、このような精巧なものは私には作れません。立体的な造形、石への彫刻、宝石をはめ込むこと、どれも教わったことがありません」
出来ない事だらけだ。だが珍しく彼はそこで終わらなかった。
「ですがお見せ頂いた指輪の隣の指にお召しのようなものなら私にも作れます」
言われてノルノフォールは自分の指を見る。
そこにあるのはまさしくリング、指の輪だ。金の板をぐるりと輪っかにし結い目模様が彫られているシンプルな一品。
彼は納得の声を上げた。
「『簡単な』指輪、なるほどこういうことであったか。ではあとで工房へ行って、おまえに指輪を仕立ててもらうとしよう」
楽しみだなと言って王は職務に戻った。すらすらと文書を読んではインク瓶にペン先を浸しサインをする。それを繰り返す。
すっかり仕事に戻り真剣な顔つきのノルノフォールの傍でリンは膝の上の拳をぎゅっと握りしめていた。昨日も感じたこの高揚感。
まだ工房すら見学していないのに期待に応えたくて早くも胸が一杯になっていた。
*
通された王家お抱えの工房は城の一角にあり、それは見事な構えであった。
明るく清潔で、リンがこれまで見てきた工房の雑然とした様子は一切ない。道具は棚にすっきり収まっているか、職人一人一人に与えられている広い作業台の上にお淑やかに置かれている。
通路は幅があって人がすれ違いざまにぶつかる心配など無用だ。
床は町工場と同じく一面赤土だが均されていてゴミひとつ落ちていない。笹吹きの金や銀、細かな宝石が飛び散ろうともこれならすぐに見つけられるはずだ。親方の工房のように奴隷一丸となって地べたに這いつくばり目を皿にして(ときどき脇を通る職人たちに蹴躓かれながら)探す必要もないだろう。
工房長らしき老人が進み出てくる。
事情を説明するとあっという間にリンのための作業台がひとつ用意された。
「新入りと同じように分け隔てなく教えてやれ。金の指輪を2つ作る。必要な材料は惜しみなく使わせるように」
リンはきょとんとする。1つ多い。これはしっかり確認しておかなければならないと思った矢先そのまま奥へ案内される流れになったので慌てて振り返り王を見た。
「ノルノフォール様。お作りする指輪は1つでは?」
「同じものをふたつ作れ」
予備ということか。一点ものにこそ価値がある宝飾品には珍しい注文だが、後から同じものを作り足すより同時に作ってしまったほうが確実に精度は上がる。
「どんな彫り模様にいたしましょう?」
「炎がいい。おまえが思う最も美しい炎を彫ってくれ」
「炎、ですか。かしこまりました」
深々と頭を下げてその場で王と別れる。
あぁどの指にはめるのか聞きそびれてしまった。と思いきや、そこは王家お抱えの工房だ。ノルノフォールの指のサイズから彼の好み、彼がどんなリングをどの指にはめる癖があるのか熟知している職人たちが何もかも手ほどきしてくれたので、ほっと胸を撫で下ろす。
その日からリンは工房に通い始めた。
城の中は自由に出歩いていいとノルノフォールは言ったが、下手に歩き回って迷ってしまったら大変なのでとりあえずは自室と工房の往復が彼の日課となった。
最初は1日中作業をする気でいた。それが王からの注文でもあるし自分自身も出来る限り早く指輪を仕上げたかったのだ。
しかしノルノフォールが「工房に籠る時間は執務室に籠る時間と同じにするように」と謎かけめいた事を言う。
王が執務室で過ごす時間と言えば、朝食のあと午前中に2時間ほどだ。正直これは作業に充てる時間としてはかなり少ない。
デザインを練るのは睡眠時間を削って自室でやろう。そう密かに考えていたリンだったが、酔いと共に穏やかな語らいを過ごしたあの夜以降当たり前のように王に共寝を言い渡されてしまう。
結局、日のあるうちに作業をやりくりすると、彼は厳格に2時間という作業時間を守らなければならなかった。
リンは王の謎かけの意味を『根を詰めすぎるな。きちんと休息を取れ』なのだと思っていたが、キーキに「工房があなたを独り占めするからやきもち焼いてるんですよ」と言われ思わず苦笑した。そんなことを言われてしまうほど自分は王の傍に控えていたとて何も手伝えることがないというのに。
指輪の完成に時間がかかってしまうが、リンはこの焦燥感にすら喜びを見出していた。
胸が高鳴る。仕事を与えられた。自分の役目を。
そのことが彼の胸の内に生命力を湧き上がらせていたのだ。
痴態を晒してしまい穴があったら入りたいくらいなのに、面白がるばかりで咎めないノルノフォールを前にすると不思議なことに以前ほど心苦しいと思わない。豪快に笑う王に釣られて失笑してしまったほどだ。
目が冴え、頭がすっきりしている。
それは何も朝食のために再訪した食堂のテラスから臨む眺望が目を見張る絶景だったせいだけではないだろうが、昨夜は暗闇に覆われて見えなかった窓の向こうに雄大な平原と透き通った空が広がるさまが心の解放感とそっくり重なって見えたのは確かだ。すがすがしい気持ちにリン自身が驚いていた。
それも束の間、現れた王妃に地面にめり込みそうなほど頭を下げて謝罪しそれどころではなくなったが。
その日からリンは公務中の王に随伴することを許された。朝はまず町の開門に合わせて飛び込んでくる国内外の知らせと人や物の出入りの確認。
そのために執務室に籠るというのでリンもそれに従った。
王の私室にも立派な両袖机があったが、なるほどあちらはあくまで私用だったことがこの大きなデスクを見れば一目瞭然だ。壁一面の書棚。書斎を兼ねているのだろう。続き部屋は応接間になっている。
執務室には早くもキヴィの姿があり、ノルノフォールが机の前に腰を下ろすや否や羊皮紙の束をどっかりと置く。
しばらく会話をした後キヴィは颯爽と執務室を出て行った。
邪魔にならないよう応接間のほうに退いていたリンは窓の外を眺める。
岸壁との距離は狭くこの部屋はテラスの代わりにベランダだ。と、そこへ向かったノルノフォールが椅子をひょいと抱えて戻ってくるとそれをデスクの近くに置きリンに座るように言う。
わかっていれば最初から自分で取りに行ったのにと彼は慌てて駆け寄った。
「俺の仕事は毎日これを読み上げて判を押すだけだ。らくなものよの」
羊皮紙の束を掴み上げてみせ彼が言う。
「物流、厚生、国交。一から百まで各総司がやってくれる。知恵を絞って草案を練り、駆けまわって問題に対処した結果がこれになってくるのだ」
椅子に腰をおろすリンが感嘆の声を上げる。
「王様はすごいのですね」
「今の話でなぜ俺をすごいと思うのだ?」
「そんな量の羊皮紙は初めて見ました。私がいた工房の親方はいつも1、2枚を時間をかけて読んでいましたし職人と相談もしていました。この量をおひとりで読まれるのは大変なはずです」
ああそれは、と王は笑った。
「仕入れの明細か帳簿か何かだろう。まさにそれをキヴィがやってくれているのだ。調べて、管理し、まとめた報告書やら打診案をこのように持ってくる。俺はそれを読んでサインをするだけだ。もしくは……」
こうする、と言って彼は拳でとんと羊皮紙を抑えるしぐさをした。
それが意味するものが何かわかりリンは王の指を凝視する。思った通り中指に大きな指輪がはまっている。
「これが気になるのか? 来い。よく見るといい」
視線に気づいたノルノフォールは指輪が見えるよう手を差し出してみせた。無遠慮に見つめていたことを詫びつつ、興味津々で近づきリンはそれを観察する。
どっしりと重量感のある金の指輪。リング部分にアカンサスの葉が見事な立体感で生き生きと彫られていて、トップには正円の平たい石がはめ込まれている。深紅色の石はよく見ると表面に模様が彫られていた。
矢がいくつも連なってぐるりと円を描き、その中央に太陽がある。リンはこれを城内のあちこちで見かけていた。バシュキ王家の紋章だ。
こうした指輪は印章リングと呼ばれる。家紋が彫られた部分は手紙を出す時に封筒を緘じる蝋に押し付けて家紋を刻印し、手紙の差出人を保証するものだ。
リンは機能美と伝統を兼ね備えたこの素晴らしい一品を知り得る限りの言葉で絶賛した。
あまりに大げさに褒めるのでノルノフォールはそれもまた面白がる。
「金銀細工が好きか。工房にいただけのことはある。ふむ。惜しいことをした。おまえがそこで働いているうちに俺にも記念にひとつ見立ててもらえばよかったな」
すると妙案を思いついたとばかりに彼の顔がぱっと明るくなった。
「そうだ。おまえ、道具が揃っていれば装飾品の仕立てができるのか?」
作ったことがあると言っていただろうと彼は昨日の話を持ち出す。
思いがけない提案にリンは最初戸惑ったが、王から具体的に何かを頼まれるのはこれが初めてだ。自分に出来る事を見つけられる、と気持ちが前のめりになった。
「習ったことならできます。私が作れるのは簡単な指輪、簡単な腕輪、簡単なチャーム、簡単な……」
「簡単とは?」
「私ができるのは鏨で金属の板に模様を彫ることです。ですがたとえば糸鋸を使った細工は教わっていないので透かし模様はできません」
今一つぴんとこない様子のノルノフォールは改めて指元を見せる。
「透かしはできぬと。こういったものは?」
と王家の印章リングを掲げてみせるのでリンは大慌てで首を横に振った。
「とてもとても、このような精巧なものは私には作れません。立体的な造形、石への彫刻、宝石をはめ込むこと、どれも教わったことがありません」
出来ない事だらけだ。だが珍しく彼はそこで終わらなかった。
「ですがお見せ頂いた指輪の隣の指にお召しのようなものなら私にも作れます」
言われてノルノフォールは自分の指を見る。
そこにあるのはまさしくリング、指の輪だ。金の板をぐるりと輪っかにし結い目模様が彫られているシンプルな一品。
彼は納得の声を上げた。
「『簡単な』指輪、なるほどこういうことであったか。ではあとで工房へ行って、おまえに指輪を仕立ててもらうとしよう」
楽しみだなと言って王は職務に戻った。すらすらと文書を読んではインク瓶にペン先を浸しサインをする。それを繰り返す。
すっかり仕事に戻り真剣な顔つきのノルノフォールの傍でリンは膝の上の拳をぎゅっと握りしめていた。昨日も感じたこの高揚感。
まだ工房すら見学していないのに期待に応えたくて早くも胸が一杯になっていた。
*
通された王家お抱えの工房は城の一角にあり、それは見事な構えであった。
明るく清潔で、リンがこれまで見てきた工房の雑然とした様子は一切ない。道具は棚にすっきり収まっているか、職人一人一人に与えられている広い作業台の上にお淑やかに置かれている。
通路は幅があって人がすれ違いざまにぶつかる心配など無用だ。
床は町工場と同じく一面赤土だが均されていてゴミひとつ落ちていない。笹吹きの金や銀、細かな宝石が飛び散ろうともこれならすぐに見つけられるはずだ。親方の工房のように奴隷一丸となって地べたに這いつくばり目を皿にして(ときどき脇を通る職人たちに蹴躓かれながら)探す必要もないだろう。
工房長らしき老人が進み出てくる。
事情を説明するとあっという間にリンのための作業台がひとつ用意された。
「新入りと同じように分け隔てなく教えてやれ。金の指輪を2つ作る。必要な材料は惜しみなく使わせるように」
リンはきょとんとする。1つ多い。これはしっかり確認しておかなければならないと思った矢先そのまま奥へ案内される流れになったので慌てて振り返り王を見た。
「ノルノフォール様。お作りする指輪は1つでは?」
「同じものをふたつ作れ」
予備ということか。一点ものにこそ価値がある宝飾品には珍しい注文だが、後から同じものを作り足すより同時に作ってしまったほうが確実に精度は上がる。
「どんな彫り模様にいたしましょう?」
「炎がいい。おまえが思う最も美しい炎を彫ってくれ」
「炎、ですか。かしこまりました」
深々と頭を下げてその場で王と別れる。
あぁどの指にはめるのか聞きそびれてしまった。と思いきや、そこは王家お抱えの工房だ。ノルノフォールの指のサイズから彼の好み、彼がどんなリングをどの指にはめる癖があるのか熟知している職人たちが何もかも手ほどきしてくれたので、ほっと胸を撫で下ろす。
その日からリンは工房に通い始めた。
城の中は自由に出歩いていいとノルノフォールは言ったが、下手に歩き回って迷ってしまったら大変なのでとりあえずは自室と工房の往復が彼の日課となった。
最初は1日中作業をする気でいた。それが王からの注文でもあるし自分自身も出来る限り早く指輪を仕上げたかったのだ。
しかしノルノフォールが「工房に籠る時間は執務室に籠る時間と同じにするように」と謎かけめいた事を言う。
王が執務室で過ごす時間と言えば、朝食のあと午前中に2時間ほどだ。正直これは作業に充てる時間としてはかなり少ない。
デザインを練るのは睡眠時間を削って自室でやろう。そう密かに考えていたリンだったが、酔いと共に穏やかな語らいを過ごしたあの夜以降当たり前のように王に共寝を言い渡されてしまう。
結局、日のあるうちに作業をやりくりすると、彼は厳格に2時間という作業時間を守らなければならなかった。
リンは王の謎かけの意味を『根を詰めすぎるな。きちんと休息を取れ』なのだと思っていたが、キーキに「工房があなたを独り占めするからやきもち焼いてるんですよ」と言われ思わず苦笑した。そんなことを言われてしまうほど自分は王の傍に控えていたとて何も手伝えることがないというのに。
指輪の完成に時間がかかってしまうが、リンはこの焦燥感にすら喜びを見出していた。
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そのことが彼の胸の内に生命力を湧き上がらせていたのだ。
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