決闘で死んだ俺が凶悪なロリ令嬢として転生してしまったので、二度と負けないために最強を目指して妖魔との戦いに身を投じることにした

呉万層

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38・白い同行者

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 ミオが妖魔の王を倒してから三日後、晴天の下、帝国首都の中央通りを進む行列があった。



 ただの行列ではない。着飾った者たちがつくる二筋の長い列だ。



 列を構成する者たちの中には、明らかに異形と称すべき者たちが含まれていた。



 石畳を踏みしめる行列の中央には、金銀の装飾と様々な宝石でつくられた動物たちに彩られた豪奢な馬車が、異形の御者の操作で、しずしずと進んでいた。



 移動する財宝のような馬車の前後には、中心に双頭のヘビが描かれた深紅の旗が翻っていた。



 派手できらびやかな貴人な行列だったが、見物人たちの瞳に映る感情は、好奇に加えて、恐怖の味付けが成されていた。



「あれが、あのオスロン家の紋章か」



「紋章というか馬印だな。あのヘビと目を合わせてはだめだ。呪われるぞ」



「御者は、人ではないな」



「元妖魔なんだってよ。オスロン家の御令嬢が、黒い森とかいうところで捕まえて、従わせたそうな」



「元妖魔を家臣になんぞして、皇宮に入れてもらえるのか」



「オスロン家に入れないところはないさ」



「おそろしやおそろしや」



 頬を寄せ合う見物人たちの顔と声には、お化け屋敷を前にした小学生さながらに、恐れだけでなく興味の色が濃く浮かんでいた。



 元妖魔であるミオの家臣たちを「おぞまし奴らだが、帝国貴族の家臣になるようならば、いきなり暴れたりはしまい」などと、考えているのだろう。



「騒がしい連中だ」



 悪態をついたのは、幼女と少女の中間に位置する存在であるミオだった。



 ミオは、馬車に負けず劣らずの豪華な格好をしていた。



 戦国武将の戦装束にフリルと金銀で彩ったようないでたちだった。



 色取り時の宝石で飾られたドレスに包まれるミオは、さながら座る財宝となっていた。



 ミオの正面に男が、嫌味な声で揶揄をする。



「キミの家は、恐れられているね」



「おかげさまでな」



 鼻を鳴らすミオの前に座る男は、全身真っ白だった。



 髪も肌も、タキシードと簡易な鎧を合わせたような奇抜な服も、腰に差した短剣も、すべてが白かった。



 白い男は、にこやかで在りながらやはり嫌味な声を出す。



「気にしなくていいよ。ボクは親切な性質なのだ」



「親切というのは、もっと素晴らしい概念だ。お前とは無縁だろうな」



「失礼ではないか我が淑女よ。お前とか呼ばないで欲しいものだね。余はキミのトモダチじゃあないか」



 ミオの対面に座る白い男は、ミオに力を与え代償を科し、ロクでもない要求をのませた存在〝トモダチ〟だった。
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