異世界ぎきょうだい不仁義~異世界にダークエルフとして転生したら、再会した弟分がハイエルフの令嬢になっていた~

呉万層

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 電撃に苛まれながら手も足も出ない赤い憤怒を目の当たりにして、政信は思う。これは便利だ。


 アビーをモフリながらも、野太刀の一撃をくれてやろうともしていた政信は、より楽な戦い方を閃いた。


 政信はアビーの背後に立つや、背後から抱きしめた。


「ちょ、だーちゃん。こんなところじゃあ」


「駄目か?」


 政信と目が会うや、アビーも同じ結論に至ったようだ。


「悪い人だにゃ」


 アビーは小声でささやくと、絵本に登場する意地悪なネコさながらに、ニタリと笑った。


「観客の前でなんて、あーし興奮しちゃう」


「なにサカってんすかー! 戦闘中っすよ」


 正論もいいところだったが、政信は敢えて無視し、アビーの首筋にキスをする。


「だーちゃん、ダイタンすぎ」


「嫌か?」


「スキになっちゃうかも」


「こっちが必死に発電してるって時に、何を発情してるんすか! キッシャー!」


 怒り狂うカタリンの様子を見て、政信は勝利を確信する。


「よし、嫉妬に狂ったカタリンの奇声が出たぞ。勝ったな」


「だーちゃんサイテー。でも、ちょっとステキ」


 アビーはカタリンを怒らせる要領を、早くも心得たようだった。


 とどめとばかりに、政信と唇を合わせた。


「おいおいやり過ぎだぞ」


「てへぺろ」


「――!」


 アビーが舌を出して可愛く笑った次の瞬間、政信たちの視界は、真っ白に染まった。


「伏せろ!」


 アビーを地面に押し倒し、政信は覆いかぶさった。


 カタリンを煽り過ぎた結果だと理解したところで、政信の意識は途切れた。
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