俺が女子校に来た理由!!

チェケ

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俺が女子校に来た理由

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ー4月5日ー
 
「やっときた…!入学式!」
白く美しく、壮大な校舎の前で小さくガッツポーズをする俺は、望月裕翔。今日から高校生のただの男だ。
少しだけ自慢出来ることがあるとすれば、勉強ができること。この高校に受かるために毎日必死に勉強した。そのおかげで俺は今ここにいる。
 
この学校にはなんとしても来たかった。周りの視線や親の言葉は痛かったけどこれだけは譲れなかった。
 
なぜなら、ここはなのだ。
 
「うひょーっ!流石元女子校!可愛い子だらけ!彼女作るぞー!」
なんて声が聞こえてきたりもしたが、俺はそんなこと考えていない。俺の目的はただ1つ。
 
この学校で、百合を堪能すること!
 
これが俺の目的。1番の理由だ。もちろん親にも周囲の同年代の奴らにも教えてない。まあ同年代の奴に教えてない理由は中学の時友達がいなかったからだけど。
俺はいわゆる腐男子だ。女の子と付き合うつもりはない。かといってホモでもない。百合好きなだけだ。女子校に男子が来る理由?そんなの百合目当てに決まってんだろ!
 
なんて考えながら教室に向かうとクラスの中には、まさに花園が広がっていた。
 
早速仲良さそうに話し合い、連絡先を交換し、じゃれあってる女子達。なんて最高な景色なんだ!こんなの、俺の中学じゃ見れなかった。
「あ、君もこのクラスなんだね。よろしく」
いきなり、後ろから声をかけられた。振り向くとそこにはイケメンな男の姿が。
「おっ、おう。よろしく」
「突然で悪いんだが、1つ質問いいか?」
言うなりそいつは俺の耳に顔をよせてきた。うわっ、近い。こいつ、陽キャか!?
「まさか百合目当てでここに来たのかい?」
「!!」
い、今なんて言ったこいつ?君……も!?
「も、もしかしてお前…同類か?」
俺の問いかけにそいつはサムズアップして答える。そしてその手をそのまま差し出してきた。
「俺は矢野春斗。よろしくな」
「俺は望月裕翔。こちらこそよろしく頼む」
ガッチリと握手をし、肩を抱き合った。
 
まさか、こんな所で同志に会えるなんて……!高校生活、上手くやっていけそうだ……!!
 
 
---------------------------------
 
 
入学式を終え、クラスに戻った俺たちは一人一人自己紹介をした。席は出席番号順だったため、望月の俺と矢野の春斗は席が前後だった。
一人一人の自己紹介を聞きながら、春斗と俺は見定める。
「あの子は百合成分ありそう。ほら、今視線合わせてる子と」
「確かに。あっ、あの子もありそうだよな。ほら、そこの横の子と」
こいつとはホントにウマが合う。同じクラスで本当に良かった。ちなみにうちのクラスの男子は4人だけ。俺達の2人以外に背が高くて体格のいい奴と小柄な奴がいる。
「香山秋人です。特技は運動系全般です」
背の高い方は良い奴そうだな…でも陽キャの香りがすごい。
「佐伯凪です。好きなことは絵を描くことです」
小柄な方も良い奴そうだな…なんか良い奴そうな奴ばっかだ…。しかも絵が好きなら仲良くなれば推しの絵を書いてくれたり…しないかな。
 
そんなこと考えてたら俺達の番がきた。
「望月裕翔です。特技は家事です。よろしくお願いします」
まあ無難だろ。少し女子からの視線が痛かったけど気にしない。うん、中学校の時からずっと女子からの視線は厳しかったし。気にしない。
「矢野春斗です。趣味は散歩です。よろしくお願いします」
ザワザワっと女子が一斉に話し出す。いいぞ、もっと近づいて!うん。最高。
にしても、確かに春斗はイケメンだ。この顔なら女子を釣っちゃいそうで俺なら怖くてたまらない。普通の顔でよかった。
 
「今日から君たちの担任を勤める若林だ。みんなと仲良くしていきたいから、よろしく頼むな」
俺達の担任は若い男。あんまり目をつけられないように過ごすことを意識しないとな…。
その後色々と若林先生が話し、今日の学校は終わりとなった。
「じゃあみんな。気をつけて帰れよー」
そう言い先生が教室から出ていくと、一斉に教室が騒がしくなった。
特に、俺の後ろが。
「ねえねえ、矢野くん!連絡先交換しない?」
「あっ!私も私も!」
そんな風には女子が春斗の所によってきたのである。おっと、イケメンは違うぜやっぱ。俺は避難とこれからのためにも教室の隅で話している2人の男子のところへ向かう。
「望月くん、だったっけ?よろしくな」
そう言い香山が微笑む。こいつ背が高くて体格もいいのにすげえ優しい顔してるな。ギャップがすごい。
「望月さん、よろしくです」
そう言い佐伯は1枚の紙を取りだした。香山の顔が険しくなる。え、なに急に。
「あなたはこの絵を見て、どう思いますか?」
そう言い渡された紙に書いてあったのは、2人の女子中学生が抱き合う百合百合しい絵だった。
「………!!!」
思わず言葉を失う。そんなレベルでこの絵は美しく、可憐で、最高だった。
「…だよ」
「え?なんです?」
勢いのまま佐伯の肩を掴み答える。
「最高。その一言に尽きる」
すると、佐伯と香山はサムズアップしてコクリと頷く。
 
……このクラスは、最高だ。
 
 
--------------------
 
俺は帰り道、春斗と2人で帰っていた。
「まさか他の男子までも百合好きだったとは…考えてなかった」
「確かにな」
そもそも俺はこの学校にそんな奴がいると思ってなかった。春斗がいるだけで奇跡だと思った。
「…これから先、俺達は心の友だぜ」
「あたぼうよ。相棒」
そういいサムズアップする。そう、これは俺達百合好き男子高校生が百合を求める百合百合しい物語。
 
その物語が、今幕を開けた。

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