ヘタレ王太子と人質花嫁

寿里~kotori ~

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ナナ・スカーレットの祖国の行く末

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 隣国の国王が自国の統治権をダイアナ女王陛下とミモザ殿下に譲ったことで世界情勢が変化した。

 隣国のクリス・バティスト王が王妃や息子たちに保険金殺人の犠牲になりそうな事態を知った周辺各国は、そんな内輪揉めばかりしている王家よりダイアナ女王陛下の統治を望んでいる。

 なによりナナの祖国北の大国でも変化があった。たくさんいる弟王子に過ぎなかったナナをダイアナ女王陛下の国に輿入れさせた北の大国の新しい王者――ナナの実兄はビビり散らかしていた。

「弟を輿入れさせてルリに毒を盛ったが結局はミモザ殿下の策略?」

 そう気づいたときには時すでに遅しで、ルリ姫はナナと同じ国にミモザ殿下の手引きで避難している始末だ。長年身内で争い、遂には実妹まで苦しめた北の大国は周辺諸国から白眼視され、更に孤立した。ナナの兄王が気づいたときには周辺国の主導権はダイアナ女王陛下――もといミモザ殿下の手中にある。

 もともと若輩者のナナの兄王にとって、ミモザ殿下は敵にまわすには恐すぎる。生後まもなく自国の王位継承権で苦労したミモザ殿下は人の思惑を見抜くのが本能的に得意だ。単なる14歳くらいまで引きこもり王子なだけではない洞察力がミモザ殿下にはある。

「あの小賢しいミモザ殿下を暗殺できれば!」

 ナナの兄王はそう憤ったが、到底勝てない戦いである。周辺国でのミモザ殿下は人気者で信奉する者が多すぎる。なによりもくどいようだが、妹ルリ姫に毒をもって少年花嫁ナナをコクトーに嫁がせたことはミモザ殿下の命令ではなく仄めかしで確たる証跡もない。ルリ姫は自害したと擬装してナナが輿入れした国に逃げてしまった。

「北の大国。ガタガタやん。ミモザ殿下の口車にのったせいで。うける!」

 そう周辺国に物笑いにされる始末だ。

 ナナの兄王は一応は王位に就いたが、反発する弟王子が多くて、常に暗殺を恐れている。第4王子のナナだけは素直で残酷な計略をしない弟だったが、内乱勃発前に嫁いだのでいない。

「余は常に大ピンチ! そういう状況!」

 ナナを除いた弟王子たちはいつなんどき命を狙ってくるかわからない。毒を盛ったルリ姫だって抱腹をする計画かもしれない。

 どうしたらいいかと苦悩していたらナナの兄王はハッと閃いた。

「ミモザ殿下に至急書簡をおくる! とりあえずあの国と仲良くしないと北もヤバイ!」

 こうして、ナナの兄王はミモザ殿下に長い書簡を送った。自国の現状がバイオレンスなことと、ナナやルリ姫が抱腹を企んでいないかなど相談したのだ。そして、ナナを除いた弟王子にいつ殺されるかわからないと訴えた。

「父を殺したせいで弟王子がキレた」

 北の大国の前国王でナナたちの父王はそれなりにマトモな統治者であった。それを暗殺した兄王は弟王子やその臣下から恨まれて針のむしろである。

 悔しいが、ミモザ殿下しかナナの兄王はすがる相手がいなかった。なにかいい知恵をくれたらと期待していながら返事を待っていたのである。


――

 ダイアナ女王陛下の国家ではそろそろ春の兆しが出てきている。薔薇の蕾は膨らみ、春の花がそろそろ咲かんとしている気配だ。

 ミモザ殿下はダイアナ女王陛下からナナの兄王の書簡を見せられて苦笑いをした。

「今さら助けてと言われても困りますよ。父王を殺せば周囲の反発がひどいと読めなかったナナの兄王は愚か過ぎます」

 唆したのはミモザ殿下だが、そういう危険性を予測できなかった阿呆のフォローまでするのか、とミモザ殿下が半ばうんざりしていたらダイアナ女王は息を吐きながら告げたのだ。

「ミモザ。めんどうでもなんとかしてあげて。せっかく北の大国を懐柔できそうなのだから」

「承知しております。ナナを除いた北の大国の王子は5人。王女はルリ姫のみ。つまり、北の王子5人は父王を殺したナナの兄王に報復する算段です。あと、ルリ姫に毒を盛ったこともバレた可能性もありますね」

 ナナをはぶいた弟5人に命を狙われている兄王は父王を暗殺はしたが、政治手腕はいまいちだ。ミモザ殿下はそこも利用したので予めこうなることは想定内であった。

「怒りがナナの兄王に向いているのは好都合。しかし、唆した責任があるので善処します」

「よろしくね。わたくしはクリス・バティスト様に譲られた隣国の統治に忙しいわ。北のことはミモザに任せるけれど無茶はやめてね? ミモザになにかあればわたくしは死んでしまう」

 ダイアナ女王陛下の切実な願いに王婿ミモザ殿下は真摯に頭を下げた。

「ありがとうございます。意外と簡単に片付くと思うのでご安心ください」

 ミモザ殿下はダイアナ女王陛下に耳打ちするとナナの祖国への対応を伝えた。女王陛下は瞳を見開いたが、ミモザの真意を知ると微笑み同意したのである。

「流石はミモザね。貴方はいつだって誰よりも優しくて素敵だわ」

 こうしてダイアナ女王陛下の許可をえたミモザ殿下は跪くと告げたのだ。

「僕の命は姉上のものです。それは昔から変わらない。持て余されていた僕をけして疎まなかったダイアナ姉上。そして慈愛の心で見守ってくれた前王夫妻への恩に報いることが僕の幸せです」

「お父様とお母様はミモザをいまでも心配しているわ。いいこと? ミモザ。貴方はわたくしの王婿であり従弟で弟よ。わたくしが誰よりも愛して大切にするのは貴方。それを忘れないでね?」

「はっ! 承知いたしました。姉上!」

 
 平伏して告げるとミモザ殿下は早々に行動を起こした。


――

 王宮の西の離宮では身ごもっているルリ姫と夫のエリクが子供の名前を相談していた。

「男の子でも女の子でも違和感ない名前にしましょう。私の候補は「ルビー」よ。宝石みたいで素敵!」

 可愛い実弟ナナの本名はナナ・スカーレットなので「ルビー・スカーレット」はどうかしらとルリ姫は提案している。

 ちなみにルリ姫の本名はルリ・コバルトであった。

 夫で元スパイのエリクは笑顔で、それも素晴らしいが、よりいい名前があると優しく告げる。

「スカーレットも素晴らしいけど、僕としては「ミヨシ・マキ」がいいな。可愛いし、覚えやすいよ?」

 ミヨシ・マキを生まれてくる我が子に命名したいエリクに対してルリ姫は噴き出して笑った。

「ふふ! それは貴方のスパイとしてのコードネームでしょう! でも、いいわね。私を救ってくれたのはエリクという名を隠した「ミヨシ・マキ」なんだから」

 これでルリ姫のお腹の子な名前は「ミヨシ・マキ」で決定していたが、和やかな西の離宮に突然来客が来たと離宮の管理者シルフィが報告に来た。

「ミモザ殿下が御成りです! ルリ姫にご相談があると」


 ミモザ殿下はルリ姫の間接的な命の恩人だ。

 緊張しながらも待っていたルリ姫夫婦の前にミモザ殿下と共にナナが現れた。

「ルリ姉上! ルリ姉上! ご無事でよかった! お会いしとうございました!」

 泣き出したナナに対してルリ姫は駆け寄り無条件で抱きしめた。

「ナナ! 私の可愛い弟! 会えて嬉しいわ! ずうっと元気か心配だったの!」

 内輪揉めしていた祖国の王家でもナナとルリ姫は姉弟で仲良しだった。お互い再会を喜んでいるとミモザ殿下が笑みを浮かべてルリ姫とエリクに訊ねた。

「西の離宮での生活は快適ですか? なにか不都合があったら遠慮なく言っておくれ? シルフィを通じて僕がなんとかする」

 穏やかなミモザ殿下の言葉にルリ姫とエリクは背筋を正した。

「もったいなきお言葉! シルフィ殿はお優しく、離宮での暮らしになんの不自由もございません!」

 代表してエリクが告げるとミモザ殿下は頷きながら小声でなにやらエリクに話している。それを耳にしたエリクは微笑み、首を縦に振った。

 なにを話していたのかはナナにはわからないが、おそらくはナナたちの祖国である北の大国のことだと察した。

 少ない会話だったが、ミモザ殿下は楽しげな顔でルリ姫に言ったのだ。

「生まれてくる子の名前は「ミヨシ・マキ」に決めたそうですね。いい名前です。ここで元気な子をなして健やかに過ごしてください」

 それだけ述べるとミモザ殿下は踵を返して、ナナだけ残るよう命じた。

「ナナ。祖国のことをルリ姉姫と話し合っておくれ。どうやら雲行きが怪しくなっている」

 僕は何も干渉はしないと宣言してミモザ殿下は離宮から去ってしまった。


 ナナはエリクから祖国の内輪揉めの事態悪化を知らされて、兄王も苦しい現状にいると知らされた。父王を殺した兄だが、ナナにとっては大切な長兄と思っていた。だが、ルリ姫は冷たい。

「兄王は暗君よ。それに残されたナナを除いた兄弟も王の器ではない。内乱で滅ぶのを静観するのが正しい判断ね」

「ルリ姉上! しかし、ミモザ殿下はまだ救う道があるとお考えです!」

 祖国が滅ぶのはやはり抵抗あるナナが言い募るとルリ姫の夫エリクが笑顔で言ったのだ。

「ミモザ殿下が北に張り巡らせたスパイ網は優秀です。仲間のスパイたちは北の大国が火種にならぬよう尽力しております。もうすぐ結果がでますよ」

 確信に満ちたエリクの言葉をナナは不思議に思ったが、本当にエリクの言う通りになってしまった。

 結論から述べると、北の大国は周辺国に領土を分割され、内輪揉めしているうちに滅亡した。内乱で戦争をする力がない状態なナナの祖国は事実上国家としては解体したのだ。これは各国に点在しているミモザ殿下とモモのスパイ網の活躍が大きい。

 そして、驚くべきはナナの姉姫ルリの夫エリクこそ! このスパイ網のリーダーでスパイマスターだった!

 スパイマスターが潜入先の姫と恋仲になり逃亡したが、引き継いだ後輩たちが頑張った。

 マックスが率いる王室近衛隊は華々しい表のエリートだが、エリクたちスパイは見えない世界で暗躍する闇のエリートである。

「後輩たちもルリ姫を巻き込まずにすんで結果オーライって報せて来たのでよかったです!」

 優秀なスパイだったエリクを慕う後輩スパイは多くて、皆で裏工作をしてナナの祖国を分割した。そして、分割先にナナの兄王や残された弟王子を表面上の統治者にしたので北の大国は大国ではなくなり普通に分割された国になったのである。

 ナナは祖国の分割に抵抗感はわかず、当然の成り行きだと受け入れた。

「周辺国が兄上たちを処刑しなくてよかった」

 そう吐露すると、実は初期からモモによって全容を知らされていたコクトーは静かに言葉を紡いだ。

「僕はナナの祖国の人たちが分割でひどい目に遭わないよう周辺国に警告する。それが王太子の務めだよ」

「ありがとう。コクトーは立派な王太子だ。俺の祖国の人たちをたのむ!」

 頭を下げるナナをコクトーが抱き寄せていると、東宮に居候している元隣国王クリス・バティストが通りかかった。

「北の大国のことですか? ナナ様とルリ姫様が助かったのが僥倖ですよ。内輪揉めしている国はうちと同じで長生きできません」

 ミモザ殿下の介入やスパイの暗躍がなくても周辺国の食い物にされていたとクリス・バティスト元王は冷静に言ってのける。

「ダイアナ女王陛下は、わたしの国の統治をわたしの愛娘に委ねました。そうやって相手の顔を立てるのが政治ですよ?」

 失脚した元王妃と王子は謹慎中に病で亡くなったとクリス・バティスト王が告げたのでナナはそれもミモザ殿下の差し金かと恐れたが、まったく違った。

「殺したのはうちの愛娘です。あの子は母親も兄たちも嫌いでした」

 困窮する国民をかえりみない王家を憎んで、クリス・バティスト王の愛娘である王女は家族を殺した。父であるクリス・バティスト王の亡命も黙認して何事もなく隣国を委任統治をダイアナ女王陛下より引き受けたのだ。

「この、ダイアナ女王陛下の国は特別な楽園です。王家は仲良く、国民も平穏そのもの。ひとえにダイアナ女王陛下のご手腕とミモザ殿下の献身があってこそです。ナナ様。酷な言い方ですが、祖国の失敗を学びにいかすことです。そして、コクトー王太子と共によりよい国家をお考えください」

 それが、元隣国王であるクリス・バティストの訓戒であった。この元王だって暗愚ではなく、懸命にガタガタな国をたてなおそうと奮闘したがダメだったのだろう。しかし、その意思は愛娘である王女が引き継いだ。

「俺はコクトーの花嫁として恥じない生き方を常に模索する。いまはそれしかできない」

 言葉をふり絞るナナに対してコクトーは弱々しい笑みで答えた。

「同じだよ。僕だって母上とミモザ父上の奮闘を無駄にしないよう努力する。そして、ナナを幸せにする。それだけなんだ」

 互いに未熟な15歳の王太子コクトー・アガートと14歳の王太子妃ナナ・スカーレットが誓えることはそれだけであった。そんな2人を見ていたクリス・バティスト元隣国王は微笑ましそうに告げたのである。

「ご立派ですよ。コクトー王太子もナナ様も。それでは、わたしはシェフのルドルフに命じられた皿洗いがあるので失礼いたします」

「はぁ? クリス・バティスト殿!? アンタ、働いてるのか? 仮にも元隣国王なのに!?」

 ナナが驚いて問いかけるとクリス・バティスト元隣国王は言ったのだ。

「わたしにも元王としての責任がありまして。シオンに年金を払わないとです」

 年金を払うために東宮でバイトしているクリス・バティスト元隣国王であった。

 シオンとは、クリス・バティスト元王が治めていた隣国の元貴族で家族を2人殺して、ダイアナ女王陛下の国に亡命してきた。

 だが、それは国ぐるみの陰謀に嵌められたのが原因であり、クリス・バティスト元王はシオンの名誉を回復させ、年金を送っていたが、王位を退いたのでバイトして年金を払っている。

「わたしの父王が陰謀に絡んでいるので償いをせねばと」

 シオンはラン・ヤスミカ領の領主の弟――つまり、シルバー家の庶子リンが嫁いだ屋敷の執事として働いている。本来は年金不要だが、クリス・バティスト元王は善意で支給していた。

 国を追われても過去の過ちを償うクリス・バティスト元王の姿を目の当たりにしたナナは考えていた。為政者とはときに冷徹になることも必要だが、それだけではけして誰も付いてはこないと。

「冷徹なだけでなく優しさ。あとは賢さか? コクトーは優しくて聡明だけどヘタレだしな」

 ナナがズバッとそういうとコクトーは情けなく微笑んで、「ミモザ父上みたいに寛猛自在な能力は特別だからね」と告げる。

 寛猛自在――寛容な心と、ときに冷徹な恐ろしさを兼ね備えた者でないと王者は務まらないのだろうか。

 しかし、ミモザ殿下は王者ではなく、王婿である。おそらくだが、ミモザ殿下のそういう二面性は能力ではなくて、妻であるダイアナ女王陛下を守るべく強靭な意志で操っている自我なのだろう。

(本来のミモザ殿下はコクトーと同じ。優しく聡明でも臆病なヤツなのかもな)

 国家を――大切な国民を、愛するダイアナ女王陛下と守るという使命がミモザ殿下を強くしたのだ。

「俺もそんなふうになれるのか?」

 ナナが小声で自問していると東宮中にシェフのルドルフの咆哮が轟いた。

「クリス・バティストの旦那ぁ! アンタ、皿洗いが速くて丁寧だな! 気に入った! この4日前が消費期限だったプリン。おあがりよ!」

 シェフのルドルフがヤバそうなプリンをクリス・バティスト元王に勧めているがコクトーとナナは聞かなかったことにした。

「ナナ。2人で強くなろう? 幸い東宮にはモモやマックス。そして新たにクリス・バティスト元王がいるからね」

 コクトーの言葉にナナは返事をした。

「コクトー。強くなる意思は立派だけど、俺はいまのコクトーが大好きだ。それだけは言わせてくれ」

 コクトーの優しく気弱なところが消えてしまうのは嫌だとナナは思っていた。ミモザ殿下の真似なんてできないのなら、コクトーもナナもお互いの長所をうまく生かす方が肝要である。

 そんなことを考えていたら、クリス・バティスト王が戻ってきてプリンを差し出してきた。

「全部で4個あります。王太子コクトー殿下とナナ様とモモ殿にマックス殿の分! おあがりよ? 消費期限は10日前だとルドルフが申してました」

「お前は4日前の少しはマシなの食ってたよな!? 10日前を俺らに渡すな!」

 食中毒に巻き込むなとナナが抗議するとコクトーは進んで10日前消費期限のプリンを口にした。

「コクがあって美味しい! ナナが食べないなら僕がもらってもいい?」

「コクトー!? 食うな! 危ないだろ!」

 食わせないようナナが騒いでいるとモモとマックスが帰ってきて、テーブルのプリンに目をとめた。

「ルドルフの腐敗プリンか? 1ヶ月越えてなきゃ安全だし食べるか」

「そうですね。過去に食中毒者は出ていませんから」

 普通にプリン食べてるモモとマックスにつられたナナがしぶしぶプリンを口にするとなんか酸っぱい風味がする。

「これ腐敗してるだろ!? 絶対に!」

「ナナ。覚えとけ腐敗はコクだ」

 モモの狂った味覚に黙らされたナナは酸っぱいプリンをなんとか食べきった。これをコクがあるで片付けたコクトーはこれ以上強くなく必要ないくらいある意味強い!

「モモ。ルリ姉上にはこんなの食わせるなよ!」

 妊娠してる姉姫を心配するナナにモモはとんでもないことを告げてきた。

「ナナの姉上。ルリ姫は毒盛ってきたクソ兄貴にルドルフが半年前に腕を振るった豪華弁当をスパイを通して送りつけた。今ごろクソ兄貴はトイレの神様の常連だな」

「ルリ姉上!? 普通に復讐してる!」

 ルドルフの半年前に作った豪華弁当のせいでナナの兄王は食中毒となり、特に誰も責任追及されぬまんまトイレで亡くなった。

 やはり悪いことすれば巡りめぐって自分に返ってくる。

 ミモザ殿下のように人の恨みを買わない外交政治はなかなか難しいのだ。

 とにかくナナの祖国は解体されて傀儡としてナナの残された兄王子が統治しているが、周辺国の言いなりとなる。

 ナナがそこから学んだことは、家族内バトル・ロワイアルをすると結局国は滅ぶであった。

 そして、元隣国王クリス・バティストは東宮シェフのルドルフに気に入られて厨房シェフデビューして新たな人生を歩んでいる。

 ラン・ヤスミカ領では、シオンが亡命した祖国の元国王にバイトまでさせて年金もらうのは不本意として受給を断ったが、代わりにクリス・バティスト元王の愛娘である王女が年金を支給してくれた。

 この愛娘はかなり賢明で、ダイアナ女王陛下の勧告に従って自国の貧富の差を改善するなど委任統治者とはいえ名君となり、ダイアナ女王とミモザ殿下の御子の誰らかと結婚するが、それは少し先の話となる。


【続く!】




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