花嫁と貧乏貴族

寿里~kotori ~

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佳き日の園遊会~後編~

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「これより!ダイアナ王女!ミモザ王子の御成りにございます!」

臣下の緊張を含んだ声が轟くと園遊会が行われている庭園にファンファーレが華やかに鳴り響いた。

その音色に合わせるように貴族たちの熱い視線が集中する王家専用の壇上に本日の主役となる、うら若き王女と王子が現れる。

未来の夫婦となる王女と王子の登場を貴族たちは拍手喝采で歓迎したが、肝心の2人の姿が見えると歓声をあげていた貴族たちの間に困惑がまじり始めた。

「これは?いったいどういうことだ?」

「ほんに!?どのような状況ですの?」

貴族たちが唖然とするのも無理はないとミシェルと一緒に控えていたモモは苦笑いした。

貴族たちへのお披露目に登場したダイアナ王女はミモザ王子にお姫さま抱っこされている。

通常の王家や貴族間の常識ならば貴公子が貴婦人を優雅にエスコートして現れるが、いきなりお姫さま抱っこである。

どうしてこうなったと国王陛下も王妃も理解できずキョトンとしているのが現状であった。

それでもミモザ王子は澄ました所作でダイアナ王女を抱きながら所定の席まで運んで着席させる。

そして、ダイアナ王女の傍に膝まずき彼女の手の甲にキスをすると自分も隣の席に着席をした。

お姫さま抱っこで登場した説明をダイアナ王女もミモザ王子もなにひとつしようとしない。

インパクト絶大の入りだが貴族たちはどう反応してよいかわからずポカーンだ。

しかし、さすがは国王陛下と王妃は落ち着いており、いっときの驚きが過ぎると和やかに微笑んで声を出した。

「ははは!これは実に仲の良い光景だ!キューピッドと花の妖精のように愛らしい!そう思わぬか?王妃よ?」

国王陛下に促されて王妃は首肯すると扇子で口もとを隠しながら明るく笑っている。

「ほほほ!本当に可愛らしい未来の夫婦の登場ですこと!ダイアナ?ミモザ?お集まりの皆さま方にお話をしてくれる?どうして皆様を驚かせたの?」

王妃の優しい問いかけにダイアナ王女が答える前にミモザ王子が先手を打った。

「偉大なる国王陛下と王妃様の御前にて失礼をいたしました!そして、この園遊会にお集まりの皆に申し開きをする!ダイアナ王女……姉上に非はありませぬ!全ては僕の不徳のいたすところ!」

どう不徳をいたしたら雅な園遊会の婚約発表の場面で、お姫さま抱っこスタイルで登場することになったのか貴族たちは訳がわからない。

理由をもっと知りたいと望む連中の言葉を、あらかじめ悟ったようにミモザ王子は少し子供らしい仕草で口を尖らせると言ったのだ。

「ここに来る前であった!子供っぽいと皆が呆れ返ると思うがダイアナ王女と言い合いになってしまったのだ」

婚約発表寸前に王女と王子が喧嘩とは穏やかではないと貴族たちがざわめき出すと今度はダイアナ王女が席をたってミモザ王子の弁護を開始した。

「皆!わたくしがミモザに軽口を言ったのが悪いのよ!わたくしがミモザは賢いけど非力でわたくしを抱き留めるなど無理だと言ってしまったの!」

そのダイアナ王女の冗談にミモザ王子がムキになり「できます!ならばお姫さま抱っこして歩くことも!」と言い返したというのが今回のシナリオである。

実際は西の離宮にいたとき、虚弱体質で貧弱とされているミモザ王子がダイアナ王女の花婿となるに相応しいくらい心身ともに健康的である、と貴族連中に多少強引にでも見せつけるにはどうするかダイアナ王女とミモザ王子が、作戦を練って決めていたいわゆるヤラセであった。

微笑ましい王女と王子の戯れかと少し納得しだした貴族たちにダイアナ王女はハッキリと告げたのだ。

「わたくしはミモザに対してお姫さま抱っこして園遊会の場に参上しなさいと無茶を言ったの!そうしたらミモザは受けてたって、わたくしを抱いてここに現れた……。皆を驚かせてしまい申し訳なかったわ」

ダイアナ王女が詫びるとすかさずミモザ王子が立ち上がり凛とした声で叫んだ。

「僕の幼稚な意地がすべての原因だ!今日、この佳き日に園遊会を開催してくださった国王陛下と王妃様の対面に泥を塗り、祝いに集まってくれた皆に礼を欠いたこと心より謝罪する!国王陛下!王妃様!大変失礼いたしました!」

潔くミモザ王子が膝まずいて国王夫妻に詫びる様子を伺っていたミシェルとモモが果たしてどうなるか内心ハラハラして見守っていると、国王夫妻より先に参列している貴族たちから拍手がわき起こった。

「ミモザ王子!ご立派になられて!感動いたしました!あなた様こそダイアナ王女に相応しき夫君でございます!」

ひとりの青年貴族が拍手しながら賛美すると次第に拍手喝采が高まり集まった一同は歓声をあげて喜んでいる。

「ほんに!こんなに凛々しくご成長されて!ミモザ王子のほかにダイアナ王女様の花婿に相応しき貴公子はおりますまい!」

「仲睦まじいご登場!素敵ですわ!」

王家万歳!

ダイアナ王女とミモザ王子の婚約万歳!

この佳き日に祝福を!

いつの間にか庭園の貴族たちは興奮した様子でダイアナ王女とミモザ王子の婚約を心から祝福していた。

王子に対して批判的だった大多数の貴族も暖かなオレンジ色に近い金髪とあどけないながらも理知的で端正な顔立ちをしたミモザ王子の不思議なカリスマ性にすっかり魅了されて手放しで賞賛している。

歓喜に包まれた庭園で皆が祝うなか国王陛下は満足顔で微笑むと軽く咳払いをした。

「皆がこうして祝ってくれたこと!国王として嬉しく心より感謝する!さて!このまま祝いの祝宴といきたいところだが、今日は久方ぶりにおおやけに皆の前に出たミモザに余の愛する娘……ダイアナを娶る覚悟を正式に宣言してもらいたい!」

国王陛下の厳かな声に貴族たちはピタリと静かになりミモザ王子の言葉を待った。

期待に満ちた視線が集中しているのにミモザ王子は先ほどまでの幼さ残した表情を一変させて威厳あふれた……凛々しく揺るぎない声音で宣言した。

「僕は王女ダイアナ・アニス・ヴェルレーヌ・ペオニア・ラクティフロラ様の夫となる!だが、それ以前に生涯をダイアナ王女のために捧げる人柱となる!臣下の礼をもってダイアナ王女をお支えする所存!これが僕の臣下として……夫としての覚悟である!この命をダイアナ王女……そして国家へと捧げることをここに宣誓する!」

このミモザ王子の誓いに異議を唱える者は誰もいなかった。

ミモザ王子はあくまでも自分はダイアナ王女の臣下であり王権を握らず、国のトップはほかでもないダイアナ王女であると貴族たちや海外の大使の前で宣言したのだ。

周囲がミモザ王子の決死の覚悟を目の当たりにして静まり返ると即座にダイアナ王女がスッと立ち上がり澄んだ声でミモザ王子の宣誓に応えるように告げた。

「わたくしも従弟ミモザ・エルキュール・ペオニア・スッフルティコサの献身に恥じないよう王家を継ぐものとして日々精進いたします!この婚姻は国家の安泰と繁栄を考えてのものです!ミモザは生涯をわたくしと国家に捧げ、己を殺して生きることが責務となる!そんな覚悟を背負ったミモザがわたくしの夫君になること!反対の者はいるかしら?」

ダイアナ王女の鋭い問いかけに皆は圧倒され息を呑んだ。

もちろん反対意見なんて出るはずもなかった。

国を背負う若き王女と王子の覚悟に庭園が静まり返っていると厳しい顔をしていたダイアナ王女が不意に美しい笑みを浮かべた。

「わたくしとミモザからの宣誓は以上よ!国王陛下……お父様!皆さま方もそろそろ祝宴をしたいのではなくて?」

ダイアナ王女のひとこえで国王陛下は笑顔になりおおらかな所作で庭園にいる貴族たちに言った。

「ダイアナ王女とミモザ王子の覚悟!見事なり!2人が立派に成長したこと余も王妃も嬉しく思う。では!婚約発表の儀を終えたのであとは祝杯をあげようではないか!」

国王陛下の声に王妃も賛同すると婚約の発表が終わり、お楽しみの祝宴とあいなった。

「ふぅ!本当にミモザ王子の行動には驚かされる!俺でもあんな堂々とはできない。流石にハラハラしたぜ!」

祝宴が始まる前にモモがホッとしたように笑うとミシェルは力が抜けたように頷いた。

「予期せぬハプニングを演じて逆に人心を掌握してしまう。ミモザ王子は賢くて勇敢な御方だ」

「当然だろ?俺の自慢の主君だ!」

誇らしげに告げるモモにミシェルが微笑むと目の前にシルバー家令嬢のシンシアとジャンヌ……そして、ミモザ王子の従者であるシルフィと護衛のワト&ニノが現れた。

「お約束通り離宮の皆様をお連れしたわ!御者がどんくさいから私が馬を走らせたの!」

乗馬で私の右に出る殿方はいなくてよと胸を張るジャンヌに姉のシンシアは穏やかにクスクス笑っている。

「ジャンヌ……言いたくはないが王宮でお転婆な振る舞いはやめなさい。ミモザ王子にお仕えしている方々が引くだろ?」

ミシェルがやんわりと注意するとジャンヌはシルフィを見ながらキッパリ告げた。

「ミシェル兄上!私はこのシルフィ様という殿方が気に入ったわ!結婚したいからまずはお付き合いを許して!」

婚約発表の後の祝宴で唐突に交際宣言をするジャンヌにミシェルは驚愕したがもっと驚いたのは当のシルフィである。

「そんな!ジャンヌ様!?ご冗談を?畏れながら本日、お会いしたばかりですが?」

「あら?本気よ!本日も祝日も関係ないわ。宮廷中を探してもシルフィ殿くらい誠実で立派な殿方はいなくてよ?」

それとも妻が私では不満かしらと凄まれてシルフィが困惑しているのでミシェルはジャンヌをなだめる目的で正論を述べた。

「ジャンヌ!シルフィ殿が困っている。まずは双方の御家と父上にご相談しなければ!」

シルフィはミモザ王子の信任厚い従者だが大貴族シルバー家よりはるかに家格が劣る下級貴族の出身だ。

ミシェルとしてはシルフィは心優しく人格的にも申し分ないと理解するが果たして父上……シルバー家当主のクロードが許可するだろうか?

そんなことを悩んでいると噂のクロードがモモに連れられてノコノコやって来た。

「ミシェル?モモが大事な話があるから来いと言ったから来たぞ?私は隣国の大使と話していた途中なのだが?」

なにか急用かと訊かれてミシェルが勇気だして打ち明けようとした瞬間にジャンヌが決定事項のように言った。

「お父様!私はミモザ王子の従者であらせられるシルフィ様と結婚を前提にお付き合いをするわ!よろしいでしょう?」

突然の娘の結婚宣言にシルバー家当主クロードは目をぱちくりさせたが即答した。

「許可しよう。シルフィ殿。ジャンヌはじゃじゃ馬娘でダメンズに憧れたり大変だが宜しく頼む。んじゃ!私は大使と美少女の話をしに戻るからな!」

大貴族シルバー家当主クロードがあっさり許したのでジャンヌとシルフィの結婚を前提にした交際は決定事項となった。

姉のシンシアは「おめでとう!ジャンヌ!」と嬉しそうに祝福している。

シルフィにとっては青天の霹靂であり、全てが冗談のような展開だがクロードは面倒くさくて許可したわけではない。

それは貴族への挨拶をひととおり終えたミモザ王子の登場で明らかとなった。

「シルフィ。シルバー家のジャンヌに見初められたか。思った通りだな」

「ミモザ王子!?どういうことです?この場に不釣り合いな俺が更に名門シルバー家のご令嬢と結婚なんて!?」

悪いジョークですよねとシルフィがおそるおそる尋ねるとミモザ王子はいたずらっ子のように笑い首を横にふった。

「シルバー家のジャンヌは気立てもよくシルフィとは仲良くやれるであろう。シルバー家の令嬢には家柄などより能力が釣り合った婿殿が必要だ。シルフィはそれに該当する」

つまり、家柄では相応しい貴族がいないからシルフィがシルバー家令嬢ジャンヌの花婿候補になったのだ。

「クロードは警戒している。僕はダイアナ姉上と二頭政治を行う気はないが、保険として僕に近しい者に自分の娘を嫁がせたいのだろう」

もちろんジャンヌでは不服ならば断ってもよいがジャンヌにビンタされる覚悟で断れとミモザ王子は平然と告げた。

モモとミシェルが固唾をのんで見守るなかシルフィは少し考えた末に迷いのない口調で返答したのだ。

「ミモザ王子のためとあらば俺はジャンヌ様と夫婦になります。ジャンヌ様が素敵なご婦人であることは初対面からわかりましたから」

「ならば決まりだな。シルフィ。ジャンヌは美しいがなかなかに気が強く一筋縄ではいかぬ姫だ。仲良くしておくれ」

その言葉にダイアナ王女と喋っていたジャンヌが不服そうに反論した。

「まあ!ミモザ王子?気が強いは余計ですわ!そもそも!王子が子供みたいに意地をはったせいで私は御者に変わって馬車を走らせましたのよ!?」

ダイアナ王女様をお支えする覚悟ならば今度から子供っぽい態度はお控えになって、とズバズバ言うジャンヌにミモザ王子は愉快そうに笑った。

「すまぬすまぬ!ジャンヌは手厳しいな。だが、僕だってまだまだ子供だぞ?」

「15歳で王女様と婚礼をすれば立派な大人ですわ!私の弟のリンだって15歳で嫁ぎましたのよ?」

賢さと冷静沈着さも大切ですが伝えたいことは素直に伝えてこその大人ですわ、とまくしたてるジャンヌをダイアナ王女が朗らかに仲裁し始めた。

「ジャンヌおねえさま!ミモザは根本的に恥ずかしがりですの。冷静そうで実は周りばかり心配するのよ!そんな御方だからわたくしはミモザを夫に決めたわ」

幼い頃から知っていて姉弟のようだけど、ミモザとなら結婚しても構わないと自然に思えた。
ダイアナ王女の言葉にミモザ王子は笑顔で礼をした。

「恐縮でございます。ダイアナ姉上。これからも姉上……そうお呼びしてよろしいですか?」

「いいわよ。わたくしたちは共に王家と国家を護る同志。ミモザ。これからもよろしくね」

簡単な色恋沙汰では測れない婚姻となるがダイアナ王女とミモザ王子はお互いに幸せそうだ。

庭園に夕暮れが近づくとシルバー家当主のクロードがなにやら木箱を持参して皆に大声で宣伝した。

「では!美しい夕刻を彩る花火タイムですぞ!これは特注した祝宴用の打ち上げ花火!華やかな花火でダイアナ王女とミモザ王子の婚約を民衆にも知らしめましょう!」

ワイワイ歓声をあげて盛り上がっている貴族たちに手をふりながらクロードは従者に命じた。

「点火!」

従者が点火すると花火はものすごい勢いで夕刻の暮れた空に打ち上げられ、ドカーンっと轟音を放った。

「花火ってあんなに大砲のような音がしたかしら?」

ダイアナ王女が首を傾げるとミモザ王子はすぐに危険を察したのか王女を庇うように背中に隠すと声をあげた。

「皆の者!!伏せろ!火の粉を被らぬよう建物に逃げるのだ!」

クロードの打ち上げた花火はリンの嫁ぎ先ラン・ヤスミカ領特産であり、ユーリが精魂込めて作った半花火で半爆弾であった。

轟音に貴族たちは悲鳴をあげてミモザ王子の指示通り頑丈な東谷に避難して難を逃れたが国王陛下とクロードは煤と灰で全身が真っ黒である。

確かに華やかな花火だったが1歩間違えたら王宮が全焼であった。

ダイアナ王女とミモザ王子は無事だったが王宮を爆破する寸前だったのに2発目を着火しようとしているクロードをモモが全力で殴って阻止していた。

「宮殿を壊す気か!?殺すぞ!?この野郎!!」

「モモ!いや!リリィ!興奮して罵るのはやめなさい!」


モモを懸命にとめているミシェルを見ながら国王陛下は真っ黒になりながらも豪快に笑った。

「見事なり!危うく王宮を爆破されるところであったが美しい花火を見られたので不問とする!モモ……そう怒るな。ミシェルも気にするでないぞ」

とりあえずシルバー家当主クロードによる善意の爆破事件は不問とされ、園遊会はおひらきとなった。

最新型爆弾花火を興味津々に眺めている国王陛下とクロードを見ながら王妃とシルバー家正妻ローズ夫人は微笑みながらも言ったのである。

「殿方って本当に子供のようなときがあるわね?」

「そうですわね王妃様。ドレスが焦げていたら申し訳ありません」

「いいのよ!それより、これから宮廷でお茶でもいかが?ローズと久しぶりに語り合いたいわ」

仲良く笑い合う王妃とローズ夫人のそばで花火の被害から逃れた青年貴族は言った。

「ミモザ王子が警戒の声をあげなければ花火で火事が発生していた」

命拾いしたと貴族がこぼすと隣の貴婦人が微笑んだ。

「ほんに!あの御方がダイアナ王女様の花婿さんになってくれるなら心強いわ」

クロードの余計な花火事件はあったが、宮廷はそれまでの空気がガラリと変わってダイアナ王女とミモザ王子の婚約をお祝いする和やかな様子となったのである。


end










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