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始まりは竹箒から
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今日は土曜だから、近所の神社の掃除ができるな、あまり人が来てないせいか、木葉は落ちてるし空き缶やペットボトルも捨ててあるんだよな。
「あ、剛ちゃん。おはよう。今日も偉いわね。」
隣のおばさんだ。このおばさんには、子供の頃から世話になっていて、ついこの間は、うちのジーちゃんが亡くなった時にも凄い手伝ってくれた、家族みたいな存在です。
「おはようございます。いえいえ、ジーちゃんとの約束ですから、ジーちゃんに一日一回は善いことはしとけと言われてたから」
「剛ちゃんは、ジーちゃんっ子だったからね」
俺は管野剛(すがのつよし)、高校二年で部活は演劇部と、漫研を掛け持ちしている。モットーは、亡くなったジーちゃんに言われていた『一日一善』で、容姿は普通、身長も普通。眼鏡をかけていて、少し髪に天パがかかっているくらいですね。
何故掃除をするかと言うと、ただ気持ちが良くなるからで、ゴミが捨てて有るのを見たら、もちろんゴミ箱に入れる、それだけの事だと思っています。
隣のおばさんとの話もそこそこに、歩いて五分位の神社にやって来た。
ゴミ袋一つで足りるかな、足りない時は何とか戻れば良いか。
境内にはいる時に、一礼して
「近所に住んでいる管野剛です。いつも見守っていただき、有難うございます。気になったので掃除をさせていただきます」
と、心の中で言って掃除を始める事にした。
この神社は、名前も朽ちかけていて良く読めないが、大きな桜の木が一本、銀杏の木が一本ある普通の家二つ位の敷地の神社だ。
入り口にはやはり少し朽ちかけてる狛犬が二体鎮座している。
桜の散る時期の前に掃除をしておかないと、汚く見えてしまうから、頑張らなきゃな。
三十分くらい掃き掃除をして、やっと木葉はある程度集まった。
空き缶やペットボトルは、木葉の中に隠れているのが、なん本か有って袋が足りないから、戻る事にした。
そう言えば時間があるし、狛犬の脚の部分が欠けて下に落ちているから、目立たない用にセメントでくっつけてあげたいけど、大丈夫かな?
ここは氏子さんも家以外聞いたことないし、可哀想だから何とかしたいし、やる人がいないならオレがやってみよう。
「すみません、セメント有りますか?」
近くのホームセンターに来て聞いてみた。
「ああ、管野さんとこの剛君じゃない、何かあった?」
ここも、知り合いのオジサンがやっているホームセンターだ。
「神社を掃除してるうちに、止まらなくなっちゃって、直せる所なら直しちゃいたいから、セメントが欲しいんです」
「あの神社か、俺も気にはなっていたからな。どれくらいのが必要だ?」
「そんなに多くなくて良いですよ」
元々狛犬を直すだけのつもりだったし、一キロも必要ない予定だ。
「そうか、なら五キロの持って行けや、剛君の腕は知っているから。変な事はしないのはわかっている」
「お金払いますよ」
「いや、良いぞ。子供にこんなことで金を出させる大人がどこにいる」
うーん、出すつもりだったんだけどな。
「あと、このコテは持って行けや」
「有難うございます」
これは、壁も直せと言うことだろうな。頑張って直そう。
壁も何とか、見栄えが良くなったし。ゴミも木葉も片付けた、
後は、狛犬の台座の欠けと、狛犬の落ちてる部分を付ければ終わりだな。
もう夕方か、こんなになるとは思って無かったけど、満足だ。
狛犬の欠けも、直ぐにセメントはつかないだろうから、ビニールテープで止めておこう。
よし、終った。ん?パトカーの音が聞こえるな?
なにか人が走ってきてる。
左脇にあれは近所のキララちゃんだ。
そして、右手でサバイバルナイフを持っている。
「キララちゃんをどうするつもりだ?」
「なにぃ? この子を知ってるのか? 俺が盗んでいるのを見やがって、この神社があるのを思い出して。
ここで殺ろうと思って来たら、お前まで」
支離滅裂だ。
「動くと、この子を殺すぞ
お前が死ねばこの子を助けてやる」
「剛お兄ちゃん助けて」
俺はどうすれば良いんだ?
「モタモタするな」
サイレンの音が近づいてきた。
「ヤバイな」
相手はサバイバルナイフを俺に向かって投げつけ、運悪く俺の動脈に刺さったみたいだ。
血は直していた狛犬にかかり、何故か狛犬が光り輝いた。
輝きが落ち着いたら。
そこには、動く一体の狛犬がいた。
「剛様、私を直していただき、有難うございます。しかも貴重な血を与えていただき、私をシモベしてください」
俺は死にそうになっているので、ボーッとしていた。
「これは、申し訳無い。“治癒”」
ん?俺の身体が治ってきてる。
「ん?治ったみたいだな?」
血が抜けたダルさはあるが。
ナイフの後は無くなっている。
「御主人、大丈夫ですか?」
「お前は、あの狛犬か?」
石ではなく、何か違う物で作られているようにみえる。
「はい、私のここでの名前は、石獅子丸、実の名前は長すぎますので、石獅子丸とお呼び下さいますように」
「キララちゃんはどうなったかわかるか?」
何故か、石獅子丸はわかってそうなので聞いてみた。
「はい、警察でしたか、保護されたみたいです。犯人は、逃亡したみたいですね」
「良くわかったな。でも逃亡か、次に狙われるのは俺か」
「多分、そうなるかと」
「あ、剛ちゃん。おはよう。今日も偉いわね。」
隣のおばさんだ。このおばさんには、子供の頃から世話になっていて、ついこの間は、うちのジーちゃんが亡くなった時にも凄い手伝ってくれた、家族みたいな存在です。
「おはようございます。いえいえ、ジーちゃんとの約束ですから、ジーちゃんに一日一回は善いことはしとけと言われてたから」
「剛ちゃんは、ジーちゃんっ子だったからね」
俺は管野剛(すがのつよし)、高校二年で部活は演劇部と、漫研を掛け持ちしている。モットーは、亡くなったジーちゃんに言われていた『一日一善』で、容姿は普通、身長も普通。眼鏡をかけていて、少し髪に天パがかかっているくらいですね。
何故掃除をするかと言うと、ただ気持ちが良くなるからで、ゴミが捨てて有るのを見たら、もちろんゴミ箱に入れる、それだけの事だと思っています。
隣のおばさんとの話もそこそこに、歩いて五分位の神社にやって来た。
ゴミ袋一つで足りるかな、足りない時は何とか戻れば良いか。
境内にはいる時に、一礼して
「近所に住んでいる管野剛です。いつも見守っていただき、有難うございます。気になったので掃除をさせていただきます」
と、心の中で言って掃除を始める事にした。
この神社は、名前も朽ちかけていて良く読めないが、大きな桜の木が一本、銀杏の木が一本ある普通の家二つ位の敷地の神社だ。
入り口にはやはり少し朽ちかけてる狛犬が二体鎮座している。
桜の散る時期の前に掃除をしておかないと、汚く見えてしまうから、頑張らなきゃな。
三十分くらい掃き掃除をして、やっと木葉はある程度集まった。
空き缶やペットボトルは、木葉の中に隠れているのが、なん本か有って袋が足りないから、戻る事にした。
そう言えば時間があるし、狛犬の脚の部分が欠けて下に落ちているから、目立たない用にセメントでくっつけてあげたいけど、大丈夫かな?
ここは氏子さんも家以外聞いたことないし、可哀想だから何とかしたいし、やる人がいないならオレがやってみよう。
「すみません、セメント有りますか?」
近くのホームセンターに来て聞いてみた。
「ああ、管野さんとこの剛君じゃない、何かあった?」
ここも、知り合いのオジサンがやっているホームセンターだ。
「神社を掃除してるうちに、止まらなくなっちゃって、直せる所なら直しちゃいたいから、セメントが欲しいんです」
「あの神社か、俺も気にはなっていたからな。どれくらいのが必要だ?」
「そんなに多くなくて良いですよ」
元々狛犬を直すだけのつもりだったし、一キロも必要ない予定だ。
「そうか、なら五キロの持って行けや、剛君の腕は知っているから。変な事はしないのはわかっている」
「お金払いますよ」
「いや、良いぞ。子供にこんなことで金を出させる大人がどこにいる」
うーん、出すつもりだったんだけどな。
「あと、このコテは持って行けや」
「有難うございます」
これは、壁も直せと言うことだろうな。頑張って直そう。
壁も何とか、見栄えが良くなったし。ゴミも木葉も片付けた、
後は、狛犬の台座の欠けと、狛犬の落ちてる部分を付ければ終わりだな。
もう夕方か、こんなになるとは思って無かったけど、満足だ。
狛犬の欠けも、直ぐにセメントはつかないだろうから、ビニールテープで止めておこう。
よし、終った。ん?パトカーの音が聞こえるな?
なにか人が走ってきてる。
左脇にあれは近所のキララちゃんだ。
そして、右手でサバイバルナイフを持っている。
「キララちゃんをどうするつもりだ?」
「なにぃ? この子を知ってるのか? 俺が盗んでいるのを見やがって、この神社があるのを思い出して。
ここで殺ろうと思って来たら、お前まで」
支離滅裂だ。
「動くと、この子を殺すぞ
お前が死ねばこの子を助けてやる」
「剛お兄ちゃん助けて」
俺はどうすれば良いんだ?
「モタモタするな」
サイレンの音が近づいてきた。
「ヤバイな」
相手はサバイバルナイフを俺に向かって投げつけ、運悪く俺の動脈に刺さったみたいだ。
血は直していた狛犬にかかり、何故か狛犬が光り輝いた。
輝きが落ち着いたら。
そこには、動く一体の狛犬がいた。
「剛様、私を直していただき、有難うございます。しかも貴重な血を与えていただき、私をシモベしてください」
俺は死にそうになっているので、ボーッとしていた。
「これは、申し訳無い。“治癒”」
ん?俺の身体が治ってきてる。
「ん?治ったみたいだな?」
血が抜けたダルさはあるが。
ナイフの後は無くなっている。
「御主人、大丈夫ですか?」
「お前は、あの狛犬か?」
石ではなく、何か違う物で作られているようにみえる。
「はい、私のここでの名前は、石獅子丸、実の名前は長すぎますので、石獅子丸とお呼び下さいますように」
「キララちゃんはどうなったかわかるか?」
何故か、石獅子丸はわかってそうなので聞いてみた。
「はい、警察でしたか、保護されたみたいです。犯人は、逃亡したみたいですね」
「良くわかったな。でも逃亡か、次に狙われるのは俺か」
「多分、そうなるかと」
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