5 / 24
5話 怪我をしたら女伯爵ルチアナが優しくなった
しおりを挟む
自分で言うのもなんだが、俺は身体が丈夫だ。レンガ如きで骨が折れるほどヤワではない。
ルチアナは俺を【神斧の英雄】だと信じているから、これしきのことで死ぬわけがないのは承知の上だろう。
それなのに、白い顔からはさらに血の気が引いていた。
おいおい、お嬢様の方が倒れそうなんだが、大丈夫か?
「クマ親父……」
腕の中からガキどもの弱々しい声がする。まずはコイツらを返すのが先だな。
「お前ら大丈夫か」
「うん」
「なら今日はもう帰れ。母ちゃんたちによろしくな」
路地を駆けていく小さな背中を見送った俺は、ルチアナの元へ向かった。
「お嬢様?」
お嬢様と呼ぶな。
いつもなら即座に文句が飛んでくるのだが。
ルチアナは道に落ちているレンガに目を向けたまま、俺を見ようとしない。
もしや気絶しているのでは……俺はしゃがみ込んで、ルチアナの小さな額を中指で弾いた。
傭兵時代、東方の島国出身者に教えてもらった『でこぴん』というやつだ。
ルチアナは何が起こったのか理解できないといわんばかりに金色の瞳を瞬かせた後、目尻を吊り上げた。
「……お前、レディの顔に傷をつけるとは、いい度胸だな」
猫目が鋭さを増す。そうそうお嬢様はそうやって偉そうにしてるのがお似合いですよ。
「申し訳ございません。声を掛けさせていただいたのですが、反応が無くて、つい……」
俺は騎士よろしく、膝立ちでお嬢様に腕を差し出した。
ルチアナは渋々といった様子で俺の腕に手を添える。軽く腕を引いただけで、ルチアナの身体はフワリと浮いた。
ガキどもがルチアナを天使に例えていたのは、なるほど、言い得て妙だな。
それに対して、この街の連中ときたら……。
路地や建物の奥、至る所から視線を感じる。
好奇心や畏怖、憎悪、エトセトラ、エトセトラ。
変な輩に絡まれる前に、ここから離れるに限るな。
「閣下、よろしければ俺が屋敷までお送りいたします」
「ああ……お前、怪我は?」
「丈夫なのが取り柄ですから、ご心配なく」
俺は笑顔で答えた。
多少痛むが、我慢できないほどではない。
「丈夫だろうが怪我はしているはずだ。急ぐぞ」
のんびりと構える俺とは反対に、ルチアナは焦った様子で俺の手を握った。
貴族はみだりに人前で他者の肌には触れないものだ。俺を身内のように扱えば、さらに外聞が悪くなるぞ。
「閣下、手を……」
「死神である私の手は、嫌か」
ルチアナの声は震えている。
俺は何も言えず、ルチアナに引かれるまま、屋敷に向かった。
――
ユーリスタ邸の来客用の寝室。ソファに座らされるなり、俺は上半身裸になれと、ルチアナに命じられた。
言われるがまま、服を脱ぐと、ルチアナが背後で息を呑む気配がする。
「これのどこが平気なのだ……?」
呆れた物言いに、そんなに酷い怪我なのかと、俺は左手で右の肩甲骨に手を伸ばした。触ったところ大きく腫れてはいないようなのだが。
「赤黒くなっているぞ。本当に医者を呼ばなくていいのか」
「ええ、ええ。大したことないんで、いりません」
俺はシャツを羽織った。怪我なんて傭兵時代に死ぬほどしている。あの頃に比べれば、なんてことはない、ただの打撲。何もしなくてもそのうち治る。
シャツのボタンを止めていると、「ちょっと待て」とルチアナがシャツの裾を引っ張った。
「せめて私に手当をさせろ」
「え、いや、閣下のお手を煩わせるようなことでは……」
「それでは私の気が済まん」
ルチアナは頑なに手を離さない。
俺は仕方なく、ふたたびシャツを脱いだ。
――
背中が冷たい。それに傷薬のツンとした臭いがする。ルチアナは黙々と打撲痕に薬を塗ってガーゼで覆い、包帯を巻いた。
「……同情したのか?」
手当が終わった直後、ルチアナは言った。
振り返れば、お嬢様は暗い顔をしている。
本当にお嬢様は呪いに掛かっているのか?
俺はその可能性は低いと思う。
というのも最近思い出したのだが、昔馴染みの魔女曰く、対象者の周囲を巻き込むほど強力な呪いを発動するには、膨大な魔素が必要とのこと。
しかしルチアナの周囲には、【魔獣の森】の奥から漂う気配――何とも言えない嫌な臭いと表現するしかない――がしないのだ。
あくまで俺の勘を根拠に導き出した結論であるから、外れていてもなんら不思議ではない。
確かなことは、ルチアナの周囲がきな臭いという一点のみ。
警戒するに越したことはないため、俺は沈黙を選んだ。
まあぶっちゃけ、ルチアナに種馬扱いされた腹いせに黙っているんだけどな。それに、今さら呪いじゃなければ、他の奴と子作りするって切り捨てられても癪に触るし。
「閣下に同情など、俺ごときがおこがましいことです。今日は随分と弱気ですね」
「お前は私をなんだと思っているんだ。血も涙もない人形ではないぞ」
「そうですね。庭師に手当をなさる伯爵様など、聞いたことがありません」
「私は自分に非があれば謝罪するし、相応の礼はする。そこらの権力を振りかざす阿呆どもと一緒にするな」
ルチアナは俺から顔を背けた。悲しげな横顔に色気を感じる。
「では身体で慰めてくれませんか?」
「……ふざけたことを。第一、お前は怪我人ではないか」
ルチアナの目的は子を孕むことだ。
種をくれてやると言っているのに、なんで躊躇するんだよ。
俺はソファの背もたれに腕をのせ、ルチアナに顔を近づける。
「ですから、閣下が俺に奉仕なさってください」
ルチアナのことだ。私を侮辱するなと言って俺を部屋から追い出すだろう。
案の定、ルチアナは唇を噛み締めた。
ほらな。怒鳴られる前に退散するとしよう。
俺は身体を起こし、シャツに腕を通した。
「わかった……どうすればいい?」
……今なんと?
ルチアナは頬と耳たぶを真っ赤にしている。どうやら聞き間違いではなさそうだ。
どうすればいい、だって?
俺は一瞬、言葉を失う。今まではこちらがルチアナをもてなしていた。お嬢様はずっと受け身だったのだ。
世話をされることに慣れきったお嬢様が、平民である俺に奉仕するだと?
金色の瞳が、俺を見据える。
透き通ったまなざしに気圧され、俺は「では、閣下からキスをしてください」とダメ元でお願いしてみた。
「……目を閉じろ」
俺は驚き指示されるまま、瞼を閉じる。
しばしの沈黙。
ルチアナはプライドの高い女だ。
一度口にした言葉は翻さない。俺はそう信じて、しばらく待ちに徹する。
甘い匂いが近づき、柔らかいモノが唇に触れた。思わず目を開けると、間近にルチアナの顔がある。
「……次は何をすればいい?」
俺の機嫌を窺うような上目遣いが、下腹部を刺激する。俺は答える代わりにルチアナを抱き寄せ、唇を重ねた。
――
柔らかい唇を喰みながら、俺はルチアナの胸に手を伸ばす。すると、ルチアナが身を引いた。
「ダメですかね」
「いや……私にして欲しいことは、無いのか?」
「ジッとしていただけたら、ありがたいですね」
真剣な表情で答えると、「そうか」とルチアナは大人しくなる。
恥ずかしがると思いきや、今日は俺への褒美として覚悟を決めているようだ。
ではお言葉に甘えて。
俺はドレスの胸ボタンを片手で外していく。
腹の辺りまでくつろげると、コルセットが露わになった。
手際よく、コルセットの前紐を解く俺に、ルチアナは「手慣れているな」と言った。
「まあレディたちにはお世話になってるもんで」
愛想笑いをしたら、ルチアナは汚いものでも見るような視線を投げかけてくる。
俺が娼婦を買ってたこと知ってるでしょうが。
今更そんな目で俺を見るんですかい、お嬢様。
俺は固い胸当てをポイッと放り投げた。ルチアナの視線がうるさいが、知ったこっちゃない。
下着越しの胸元は何度見ても平らだ。
コルセットなんかいらんだろ、など余計なことは口にせず、俺は両手で二つの乳房を包み込む。
「……っ」
思った以上にルチアナの胸は薄かった。
肉が付いていないから痛かったのだろう、ルチアナが俺を睨みつける。
「失礼しました」
巨乳とは勝手が違う。
俺はできるだけゆっくりルチアナの乳房を揉んだ。
ちゃんと柔らかい。期待していなかったちっぱいは弾力があって、癖になるもみ心地だ。
「……ん」
ルチアナは目を閉じ眉を顰める。
身を捩りながらも、俺を振り解こうとはしない。
抵抗されないのをいいことに、俺はルチアナの顔を覗き込んで、キスを再開した。
小さな舌が、俺の舌と絡まる。
いやらしい水音に悪戯心を刺激され、俺は指先で胸の中心を撫で摩った。
柔らかな乳首は、すぐさま硬くなる。
「はあ……」
唇を離すと、唾液の糸が俺とルチアナの間を繋いだ。
金色の瞳はまるで飴玉のようにつやつやである。
いや、うん。さすがの俺も目玉を舐めたりはしない。
ふと視線を胸にやる。下着越しでも形が判るほど、勃起した乳首が目に入った。
乳首は舐めてもいいよな……。
レース生地の下着をまくり上げると、鮮やかな桃色の膨らみが俺の目に飛び込んできた。
目に眩しい。
小さな尖りを前歯で甘噛みする。途端にルチアナの身体がビクリと震えた。
コリコリした舌触り。
たまらん。
丸くぷるんとした粒を舌先で突つけば、頭の上から悩ましい声が聞こえた。
ちらりと視線を上げると、頬を赤らめたルチアナと目が合った。眉尻を下げ困惑している。
「……っ、英雄が赤子のように乳を吸うなど……恥ずかしくないのか」
声は甘く掠れている。
乳首を舐められるのは、お気に召したようだ。
「俺は英雄じゃありませんので」
これみよがしに乳輪ごと音を立てて吸った。
胸を虐めればいじめるほど、ルチアナは太ももを擦り合わせ、膝を震わせる。
我慢の限界だ。ルチアナをソファに押し倒し、スカートの中に顔を突っ込んだ。
「なっ! 血迷ったか」
「いつもしてることじゃないですか。それに今日は俺の好きにしていいんですよね」
「そんなことは言っていない。私はただ――」
俺はパンツ越しに割れ目を舐めた。ルチアナが動きをとめた隙にパンツを脱がして、これまた床に捨てる。
陰部に息を吹きかければ、ルチアナは太もも痙攣させた。
本気で嫌なら蹴りの一つでも飛んでくるはずだ。
動きはない。よし、イケるな。
俺は安全を確認してから、湿った下生えに顔を沈めた。
しっとりと熱を帯びた肉ひだに舌を這わせ、甘い蜜を吸う。
じゅ、じゅる、じゅる……。
「くっ……はぁ、あ、あ……」
ルチアナはスカートごと俺の後頭部を掴んだ。割れ目に顔が押し付けられる。甘酸っぱい匂いに包まれ、俺は幸せを噛み締めた。
幸せは長く続かないものだ。そのうち息が苦しくなり、俺はルチアナの手を頭で押し返し、スカートから顔を出す。
ルチアナの頬は紅く火照っていた。
クンニもお気に召したようで何よりである。
「これではいつもと変わらないのではないか……?」
「俺は充分満足していますよ」
嘘ではない。
俺が請負うも、ルチアナは不満顔である。
借りはちゃんと返したいんですね、閣下。
そこまで言うなら、俺の息子を慰めてもらおうとしよう。
「では咥えてもらいましょうか」
「何をだ……」
俺は自身の股間を指し示す。膨らんだズボンの前立を前に、息も絶え絶えなルチアナは固まった。
とろけた猫目がみるみる冷静さを取り戻していく。お嬢様が正気に戻る前に、俺は畳み掛けた。
「もちろん閣下のものは、俺が慰めますよ……ですので、閣下には俺の顔に跨っていただきます」
お互いがお互いの性器を触ったり舐めたりできる体位、シックスナインだ。
合理的な体位だろうと俺が晴れ晴れとした顔をした一方で、ルチアナは真顔に戻った。
ルチアナは俺を【神斧の英雄】だと信じているから、これしきのことで死ぬわけがないのは承知の上だろう。
それなのに、白い顔からはさらに血の気が引いていた。
おいおい、お嬢様の方が倒れそうなんだが、大丈夫か?
「クマ親父……」
腕の中からガキどもの弱々しい声がする。まずはコイツらを返すのが先だな。
「お前ら大丈夫か」
「うん」
「なら今日はもう帰れ。母ちゃんたちによろしくな」
路地を駆けていく小さな背中を見送った俺は、ルチアナの元へ向かった。
「お嬢様?」
お嬢様と呼ぶな。
いつもなら即座に文句が飛んでくるのだが。
ルチアナは道に落ちているレンガに目を向けたまま、俺を見ようとしない。
もしや気絶しているのでは……俺はしゃがみ込んで、ルチアナの小さな額を中指で弾いた。
傭兵時代、東方の島国出身者に教えてもらった『でこぴん』というやつだ。
ルチアナは何が起こったのか理解できないといわんばかりに金色の瞳を瞬かせた後、目尻を吊り上げた。
「……お前、レディの顔に傷をつけるとは、いい度胸だな」
猫目が鋭さを増す。そうそうお嬢様はそうやって偉そうにしてるのがお似合いですよ。
「申し訳ございません。声を掛けさせていただいたのですが、反応が無くて、つい……」
俺は騎士よろしく、膝立ちでお嬢様に腕を差し出した。
ルチアナは渋々といった様子で俺の腕に手を添える。軽く腕を引いただけで、ルチアナの身体はフワリと浮いた。
ガキどもがルチアナを天使に例えていたのは、なるほど、言い得て妙だな。
それに対して、この街の連中ときたら……。
路地や建物の奥、至る所から視線を感じる。
好奇心や畏怖、憎悪、エトセトラ、エトセトラ。
変な輩に絡まれる前に、ここから離れるに限るな。
「閣下、よろしければ俺が屋敷までお送りいたします」
「ああ……お前、怪我は?」
「丈夫なのが取り柄ですから、ご心配なく」
俺は笑顔で答えた。
多少痛むが、我慢できないほどではない。
「丈夫だろうが怪我はしているはずだ。急ぐぞ」
のんびりと構える俺とは反対に、ルチアナは焦った様子で俺の手を握った。
貴族はみだりに人前で他者の肌には触れないものだ。俺を身内のように扱えば、さらに外聞が悪くなるぞ。
「閣下、手を……」
「死神である私の手は、嫌か」
ルチアナの声は震えている。
俺は何も言えず、ルチアナに引かれるまま、屋敷に向かった。
――
ユーリスタ邸の来客用の寝室。ソファに座らされるなり、俺は上半身裸になれと、ルチアナに命じられた。
言われるがまま、服を脱ぐと、ルチアナが背後で息を呑む気配がする。
「これのどこが平気なのだ……?」
呆れた物言いに、そんなに酷い怪我なのかと、俺は左手で右の肩甲骨に手を伸ばした。触ったところ大きく腫れてはいないようなのだが。
「赤黒くなっているぞ。本当に医者を呼ばなくていいのか」
「ええ、ええ。大したことないんで、いりません」
俺はシャツを羽織った。怪我なんて傭兵時代に死ぬほどしている。あの頃に比べれば、なんてことはない、ただの打撲。何もしなくてもそのうち治る。
シャツのボタンを止めていると、「ちょっと待て」とルチアナがシャツの裾を引っ張った。
「せめて私に手当をさせろ」
「え、いや、閣下のお手を煩わせるようなことでは……」
「それでは私の気が済まん」
ルチアナは頑なに手を離さない。
俺は仕方なく、ふたたびシャツを脱いだ。
――
背中が冷たい。それに傷薬のツンとした臭いがする。ルチアナは黙々と打撲痕に薬を塗ってガーゼで覆い、包帯を巻いた。
「……同情したのか?」
手当が終わった直後、ルチアナは言った。
振り返れば、お嬢様は暗い顔をしている。
本当にお嬢様は呪いに掛かっているのか?
俺はその可能性は低いと思う。
というのも最近思い出したのだが、昔馴染みの魔女曰く、対象者の周囲を巻き込むほど強力な呪いを発動するには、膨大な魔素が必要とのこと。
しかしルチアナの周囲には、【魔獣の森】の奥から漂う気配――何とも言えない嫌な臭いと表現するしかない――がしないのだ。
あくまで俺の勘を根拠に導き出した結論であるから、外れていてもなんら不思議ではない。
確かなことは、ルチアナの周囲がきな臭いという一点のみ。
警戒するに越したことはないため、俺は沈黙を選んだ。
まあぶっちゃけ、ルチアナに種馬扱いされた腹いせに黙っているんだけどな。それに、今さら呪いじゃなければ、他の奴と子作りするって切り捨てられても癪に触るし。
「閣下に同情など、俺ごときがおこがましいことです。今日は随分と弱気ですね」
「お前は私をなんだと思っているんだ。血も涙もない人形ではないぞ」
「そうですね。庭師に手当をなさる伯爵様など、聞いたことがありません」
「私は自分に非があれば謝罪するし、相応の礼はする。そこらの権力を振りかざす阿呆どもと一緒にするな」
ルチアナは俺から顔を背けた。悲しげな横顔に色気を感じる。
「では身体で慰めてくれませんか?」
「……ふざけたことを。第一、お前は怪我人ではないか」
ルチアナの目的は子を孕むことだ。
種をくれてやると言っているのに、なんで躊躇するんだよ。
俺はソファの背もたれに腕をのせ、ルチアナに顔を近づける。
「ですから、閣下が俺に奉仕なさってください」
ルチアナのことだ。私を侮辱するなと言って俺を部屋から追い出すだろう。
案の定、ルチアナは唇を噛み締めた。
ほらな。怒鳴られる前に退散するとしよう。
俺は身体を起こし、シャツに腕を通した。
「わかった……どうすればいい?」
……今なんと?
ルチアナは頬と耳たぶを真っ赤にしている。どうやら聞き間違いではなさそうだ。
どうすればいい、だって?
俺は一瞬、言葉を失う。今まではこちらがルチアナをもてなしていた。お嬢様はずっと受け身だったのだ。
世話をされることに慣れきったお嬢様が、平民である俺に奉仕するだと?
金色の瞳が、俺を見据える。
透き通ったまなざしに気圧され、俺は「では、閣下からキスをしてください」とダメ元でお願いしてみた。
「……目を閉じろ」
俺は驚き指示されるまま、瞼を閉じる。
しばしの沈黙。
ルチアナはプライドの高い女だ。
一度口にした言葉は翻さない。俺はそう信じて、しばらく待ちに徹する。
甘い匂いが近づき、柔らかいモノが唇に触れた。思わず目を開けると、間近にルチアナの顔がある。
「……次は何をすればいい?」
俺の機嫌を窺うような上目遣いが、下腹部を刺激する。俺は答える代わりにルチアナを抱き寄せ、唇を重ねた。
――
柔らかい唇を喰みながら、俺はルチアナの胸に手を伸ばす。すると、ルチアナが身を引いた。
「ダメですかね」
「いや……私にして欲しいことは、無いのか?」
「ジッとしていただけたら、ありがたいですね」
真剣な表情で答えると、「そうか」とルチアナは大人しくなる。
恥ずかしがると思いきや、今日は俺への褒美として覚悟を決めているようだ。
ではお言葉に甘えて。
俺はドレスの胸ボタンを片手で外していく。
腹の辺りまでくつろげると、コルセットが露わになった。
手際よく、コルセットの前紐を解く俺に、ルチアナは「手慣れているな」と言った。
「まあレディたちにはお世話になってるもんで」
愛想笑いをしたら、ルチアナは汚いものでも見るような視線を投げかけてくる。
俺が娼婦を買ってたこと知ってるでしょうが。
今更そんな目で俺を見るんですかい、お嬢様。
俺は固い胸当てをポイッと放り投げた。ルチアナの視線がうるさいが、知ったこっちゃない。
下着越しの胸元は何度見ても平らだ。
コルセットなんかいらんだろ、など余計なことは口にせず、俺は両手で二つの乳房を包み込む。
「……っ」
思った以上にルチアナの胸は薄かった。
肉が付いていないから痛かったのだろう、ルチアナが俺を睨みつける。
「失礼しました」
巨乳とは勝手が違う。
俺はできるだけゆっくりルチアナの乳房を揉んだ。
ちゃんと柔らかい。期待していなかったちっぱいは弾力があって、癖になるもみ心地だ。
「……ん」
ルチアナは目を閉じ眉を顰める。
身を捩りながらも、俺を振り解こうとはしない。
抵抗されないのをいいことに、俺はルチアナの顔を覗き込んで、キスを再開した。
小さな舌が、俺の舌と絡まる。
いやらしい水音に悪戯心を刺激され、俺は指先で胸の中心を撫で摩った。
柔らかな乳首は、すぐさま硬くなる。
「はあ……」
唇を離すと、唾液の糸が俺とルチアナの間を繋いだ。
金色の瞳はまるで飴玉のようにつやつやである。
いや、うん。さすがの俺も目玉を舐めたりはしない。
ふと視線を胸にやる。下着越しでも形が判るほど、勃起した乳首が目に入った。
乳首は舐めてもいいよな……。
レース生地の下着をまくり上げると、鮮やかな桃色の膨らみが俺の目に飛び込んできた。
目に眩しい。
小さな尖りを前歯で甘噛みする。途端にルチアナの身体がビクリと震えた。
コリコリした舌触り。
たまらん。
丸くぷるんとした粒を舌先で突つけば、頭の上から悩ましい声が聞こえた。
ちらりと視線を上げると、頬を赤らめたルチアナと目が合った。眉尻を下げ困惑している。
「……っ、英雄が赤子のように乳を吸うなど……恥ずかしくないのか」
声は甘く掠れている。
乳首を舐められるのは、お気に召したようだ。
「俺は英雄じゃありませんので」
これみよがしに乳輪ごと音を立てて吸った。
胸を虐めればいじめるほど、ルチアナは太ももを擦り合わせ、膝を震わせる。
我慢の限界だ。ルチアナをソファに押し倒し、スカートの中に顔を突っ込んだ。
「なっ! 血迷ったか」
「いつもしてることじゃないですか。それに今日は俺の好きにしていいんですよね」
「そんなことは言っていない。私はただ――」
俺はパンツ越しに割れ目を舐めた。ルチアナが動きをとめた隙にパンツを脱がして、これまた床に捨てる。
陰部に息を吹きかければ、ルチアナは太もも痙攣させた。
本気で嫌なら蹴りの一つでも飛んでくるはずだ。
動きはない。よし、イケるな。
俺は安全を確認してから、湿った下生えに顔を沈めた。
しっとりと熱を帯びた肉ひだに舌を這わせ、甘い蜜を吸う。
じゅ、じゅる、じゅる……。
「くっ……はぁ、あ、あ……」
ルチアナはスカートごと俺の後頭部を掴んだ。割れ目に顔が押し付けられる。甘酸っぱい匂いに包まれ、俺は幸せを噛み締めた。
幸せは長く続かないものだ。そのうち息が苦しくなり、俺はルチアナの手を頭で押し返し、スカートから顔を出す。
ルチアナの頬は紅く火照っていた。
クンニもお気に召したようで何よりである。
「これではいつもと変わらないのではないか……?」
「俺は充分満足していますよ」
嘘ではない。
俺が請負うも、ルチアナは不満顔である。
借りはちゃんと返したいんですね、閣下。
そこまで言うなら、俺の息子を慰めてもらおうとしよう。
「では咥えてもらいましょうか」
「何をだ……」
俺は自身の股間を指し示す。膨らんだズボンの前立を前に、息も絶え絶えなルチアナは固まった。
とろけた猫目がみるみる冷静さを取り戻していく。お嬢様が正気に戻る前に、俺は畳み掛けた。
「もちろん閣下のものは、俺が慰めますよ……ですので、閣下には俺の顔に跨っていただきます」
お互いがお互いの性器を触ったり舐めたりできる体位、シックスナインだ。
合理的な体位だろうと俺が晴れ晴れとした顔をした一方で、ルチアナは真顔に戻った。
49
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる