6 / 11
6話
しおりを挟む
魔法史に関すること(なんでもいいよ)についてレポート5枚。
……多分できない。
僕は机にだらんと突っ伏した。
学院に入学してはや1ヶ月。最近はいろんな教科が増えて、自分の得意と苦手がだんだんとわかってきた。
僕は前世ではがっつり文系で、特に得意だったのは英語。定期テストでは必ず90点以上は取ってた。
でも理系はめっぽう弱い。数lはまだいけるも、数Aはボロッボロ。理科はイオンあたりからもうごっちゃごちゃだった。
今もそんな感じで、魔法に関する文献、有名な魔法使いが書いた本、魔法史、魔術用語の暗記や他種族の言語なんかは意外とできる。
でも魔法薬や数式魔法なんかは本当にわからん。特に数式魔法ってなんだよ?!魔法に数式も何もいるか……。
それとは反対にレイズやステラは意外と全部こなせてる。なんであんなに頭いいの……?
そして今の自分に、いや、一年生全員に課せられた課題がある。そう。『期末試験』。
僕は期末試験前に出された課題を終わらせようと思ってここへきた。提出は期末試験の前日。
だから、あと15日前。
やる気起きない。
調べるのは魔法史の中ならなんでもいいらしいから、なんとなくそれっぽい本を読んで目に止まったものを調べていく。
僕はできるだけ図書館の奥に行ってそれっぽい本を探す。そこにならなんかありそうだから。
「それっぽい……」
本棚の上に分厚い本があった。取ろうとしたけど届かない。この身長のせいだ。
「前世の方がもっと高かったのに……」
背伸びをしてそんなことを呟きながら手を伸ばす。そろそろ届きそう。
「あと……ちょっと……」
すると誰かがその本をひょいっと取って僕に手渡した。
「これ?」
「あ、ありがとうがざいます!」
その本を受け取って僕は席に走って戻って行った。
その娘は本を受け取ると、お礼を言って走って行った。
青い、銀河のようなキラキラと輝いた髪に、綺麗な琥珀色の目。
「まるであいつだな」
俺は図書館から出て行った。
パラパラとページをめくると、ところどころ他種族の言語で書いてある。
中には、魔法を使い始めた人々の様子も書いてあって、僕が調べたい物がたくさん載っている。
色々見ていると一つ目に止まった。
《魔法の創始者》と書いてある。
魔法を創造した科学者がいるらしい。その科学者は非現実的なものを現実にしたいと言う思いがあったそうだ。それが魔法。
何十年もの研究のおかげで魔法を作り出すことに成功した。彼女の成果は瞬く間に広がり、だんだんと日常で使われるようになっていった。
そして彼女は国から表彰される。彼女の名前が……。
「『アレイシア』・レーズ・ライナード……」
アレイシア……。聞いたことあるな……。でもなんだっけ。思い出せそうで……。
僕は記憶を追って考えたが出てこない。
なんで知ってるんだろ。
時計を見るとすでに6時をまわっていた。
「え?!もうそんな時間……(小声)」
僕はささっと片して図書館を出た。
あの娘と出会ってからずっと気になってしまう。
あの髪、そして目。完全にあいつだ。まるで、化身とでも言おうか。
「そんなことも長く生きてれば起きるものか」
その男は気づくと城の屋根から消えていた。
期末試験二週間前。範囲が配られる。範囲を見てもちろん僕は絶望する。
「もう無理……」
そして先生からの放送が入る。
「今回の期末試験は筆記のみだ。だが二回目の試験は実技だけで行われる。総復習を怠らないように」
二回目の試験というのは学年末の試験のこと。実技……。そうかぁ……。
僕は部屋の机に突っ伏して小声で言う。
「本当にもう無理だよ……」
それに気づいて、レイズが反応する。
「あとに回してたのがついに首を絞めたか」
僕はレイズに軽く訴える。
「僕進級できないかも」
「何言ってんだよ、まだ1ヶ月しか経ってないぞ?」
ペンを握り直して、レポートの続きを書いていく。
調べたことはメモをしてあるから大体はこれで書ける。
でもあまりペンは進まない。
「学年末の試験は師匠が一位に決まってますよ!!」
「そうかなぁ……そうだといいなぁ……」
最近実技の評価が落ちてきている。原因はわからないが、前のようにイメージをしても打てなくなった。体に感じていた魔力の気配も今はあまり感じない。
「初めの試験で僕はみんなより置いていかれるんだぁぁぁ……」
嘆いている僕をステラが励ます。
範囲勉強、やらなきゃなぁ……。
――――試験当日――――
それぞれの教室に生徒が集まる。教室はいつもとは違い静まり返っている。
先生が一度周りを見てから、「始め」と大きな声で言った。
――――――――――――――
――――テスト返却――――
おわった。おわったわ。
「見たくない……」
僕は教室の机に突っ伏す。
「お前だってできる科目あるじゃん。それに苦手な科目も結構真面目にやってたし」
ステラが突っ伏している僕に向かって言う。
「ボク師匠よりも高い点数取らないように頑張りましたから!!」
「そしたらステラが赤点になっちゃうよぉ……」
突っ伏したまま軽く叫ぶ。
「まぁ大丈夫だって。お前のことだからなんとかなるだろ」
「頭いいやつが何言ってんだ」
そんなことをだべっていたらテスト返却が始まった。
どんどん名前が呼ばれていく中、僕はずっと顔が死んでる。
……一向に名前が呼ばれない。……やっぱり赤点取ってた……?補習……?
待ってみたが本当に呼ばれない。
「今日の授業はここまで。間違えたとこはちゃんと復習しとけよ?学期末が実習だからってサボるんじゃないぞ。しっかり実習に離京してくるからな」
じゃあ僕はマジでやばいってことですか。こりゃ本当に進級できない説が出てきたな。
シェイアの脳内――――――――
「シェイア、お前進級できなかったのか」
「し、師匠がまさか……!嘘ですよね……?嘘って言ってくださいよ!!!」
ご……ごめん……本当に……できなかったんだ……。
「嘘だろ……。シェイア……。」
「師匠……。そうですか」
ま、待って!!行かないで!!!
「シェイアが進級できないのなら仕方がない……。行こう、ステラ」
「そうですね……。これからは、師匠とは呼べなくなってしまいますね」
待って……。待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!……。
――――――――――――――――――――――
あぁ……。おわった。楽しかったよ。僕の学院人生……。
「イア……シェ…………ア……………………シェイア?」
ハッと我にかえり、あたりを見渡す。教室にはもう人がまばらしかいなかった。
「大丈夫か?」
「ア……。ダ、ダイジョウブ……ダイジョウブ……」
ステラも一緒に心配してくれているようだ。
「大丈夫ですか?途中まで一緒に行きますよ」
「ヘ……イ……イク……ドコヘ……」
レイズが聞いてなかったのかと言う顔をして言った。
「さっき先生が学長先生のところへ行けって言ってたぞ」
あ……。やっぱり……。進級できない……。
「ソ、ソカ……ジャア……イコウカ……」
僕は絶望したまま教室を出た。
学長先生の部屋に入るのはかなり勇気がいる。
そして今回は進級できませんのお知らせ……。楽しかったよ……。異世界生活……。
僕は恐る恐る部屋へ入った。
「し、失礼します……」
そっと扉を閉めて前を向く。
「おぉ、きたかシェイア。ここに座りなさい」
「ぁ……はい……」
学長先生はいつもより雰囲気が穏やかに見えた。でもそれが今は怖い。
「ではシェイア。君をここに呼んだ理由は……」
僕は言われたくなくて先に答えた。
「進級……のお話ですよね……」
すると先生は首を傾げて言った。
「進級?なんの話だ?私は君の魔力事情について話を聞こうと思っているんだが」
進級の話じゃない……?違うの……?本当に?!
「え、ち、違うんですか?!」
先生は軽く笑って答えた。
「なんだ、そんなに驚いて。君はいくつか問題は起こしているが、進級には関わらない。もはや飛び級させたいほどだ」
「え‘’、そんなに?!」
「あぁ」先生は話を続ける。
「私は君が中庭で大量の雪を出した件については前に聞いたな。そこで思ったんだが、最近魔法を使えていないのではないか?」
「え……、あ、はい……。なんか最近前みたいな手応えがなくて……」
すると先生は席を立って後ろにある横に長い木箱から何かを取り出した。
「そんな君にこれを渡そうと思ってな」
そう言って渡してきたのは、ところどころ錆が目立つ棒のようなもの。
「こ、これ……、なんですか……?」
「こっちへ来なさい」
先生は部屋の中にある前から気になっていたドアをくぐった。僕もその後に続く。
「君がまだ覚えていたら良いのだが」
「あれ……、ここ、もしかして……!」
その扉を通った先は僕の幼い記憶の中にある神殿だった。中央の奥にはあの大きな天秤もしっかりとある。
「その杖を、あの天秤の前まで持って行きなさい」
いつもよりお淑やかな声で僕に言った。
僕は先生の言われたとおりにして、先生の顔を見た。
「魔力をその杖に流しなさい」
「魔力……。でも僕今はうまく……」
「いいから」
僕は目をつぶって体の中の魔力を感じ取る。
なんだか今日はうまく行きそうだ。
魔力の流れを意識すると、それが自然と杖に引き寄せられてゆく。不思議な感覚だ。
「やめなさい」
先生の言葉でやめる。
「うわ……。え……?なにこれ……?!」
目を開くとその杖の錆は全くなくなっていて、新品同様だ。手持ちの棒の部分は白を基調とした色で、ところどころ金の装飾がしてある。
上の部分は月をイメージさせるような金色のオブジェがついていて、その中心にはみたことのないとても綺麗な石がふよふよと浮かんでいる。
「な、なんですかこれ?!こんなもの僕が持っちゃっていいんですか?!」
先生はやはり、と考えていたことがあたった様子で答えた。
「その杖は君を選んだんだ。君が持つにふさわしいものだ」
この杖は空中にしまえるという便利な収納付き。すご。
僕は先生に気になって聞いた。
「あの杖、僕が魔力流すまではすごいボロボロでしたけど、あれいつのものですか?」
先生が少し考えて答える。
「確か……、あれは初代学長の杖だった気がするな……。名前は……」
「しょ、初代学長……。え、この学院って創立したのいつですか……?」
「1203年だ」
1203年……そして今は2300年……。
「う、うぅぇぇぇえ??!!?!1100年前?!!?!!そ、そんなもの持てませんよ!!!!」
「持つかどうかは、杖が決める。決まったからには、しっかりと持ち主としての威厳を持て」
「うぅ……。わかり……ました……」
1100年前の杖も持たないといけないし、威厳も持たないといけないし……。
一年から苦労が多くなった……。
――――部屋にて――――
「もう苦労が重りになってるよ」
「学長になにされたんだ」
「学長……許さん……」
……多分できない。
僕は机にだらんと突っ伏した。
学院に入学してはや1ヶ月。最近はいろんな教科が増えて、自分の得意と苦手がだんだんとわかってきた。
僕は前世ではがっつり文系で、特に得意だったのは英語。定期テストでは必ず90点以上は取ってた。
でも理系はめっぽう弱い。数lはまだいけるも、数Aはボロッボロ。理科はイオンあたりからもうごっちゃごちゃだった。
今もそんな感じで、魔法に関する文献、有名な魔法使いが書いた本、魔法史、魔術用語の暗記や他種族の言語なんかは意外とできる。
でも魔法薬や数式魔法なんかは本当にわからん。特に数式魔法ってなんだよ?!魔法に数式も何もいるか……。
それとは反対にレイズやステラは意外と全部こなせてる。なんであんなに頭いいの……?
そして今の自分に、いや、一年生全員に課せられた課題がある。そう。『期末試験』。
僕は期末試験前に出された課題を終わらせようと思ってここへきた。提出は期末試験の前日。
だから、あと15日前。
やる気起きない。
調べるのは魔法史の中ならなんでもいいらしいから、なんとなくそれっぽい本を読んで目に止まったものを調べていく。
僕はできるだけ図書館の奥に行ってそれっぽい本を探す。そこにならなんかありそうだから。
「それっぽい……」
本棚の上に分厚い本があった。取ろうとしたけど届かない。この身長のせいだ。
「前世の方がもっと高かったのに……」
背伸びをしてそんなことを呟きながら手を伸ばす。そろそろ届きそう。
「あと……ちょっと……」
すると誰かがその本をひょいっと取って僕に手渡した。
「これ?」
「あ、ありがとうがざいます!」
その本を受け取って僕は席に走って戻って行った。
その娘は本を受け取ると、お礼を言って走って行った。
青い、銀河のようなキラキラと輝いた髪に、綺麗な琥珀色の目。
「まるであいつだな」
俺は図書館から出て行った。
パラパラとページをめくると、ところどころ他種族の言語で書いてある。
中には、魔法を使い始めた人々の様子も書いてあって、僕が調べたい物がたくさん載っている。
色々見ていると一つ目に止まった。
《魔法の創始者》と書いてある。
魔法を創造した科学者がいるらしい。その科学者は非現実的なものを現実にしたいと言う思いがあったそうだ。それが魔法。
何十年もの研究のおかげで魔法を作り出すことに成功した。彼女の成果は瞬く間に広がり、だんだんと日常で使われるようになっていった。
そして彼女は国から表彰される。彼女の名前が……。
「『アレイシア』・レーズ・ライナード……」
アレイシア……。聞いたことあるな……。でもなんだっけ。思い出せそうで……。
僕は記憶を追って考えたが出てこない。
なんで知ってるんだろ。
時計を見るとすでに6時をまわっていた。
「え?!もうそんな時間……(小声)」
僕はささっと片して図書館を出た。
あの娘と出会ってからずっと気になってしまう。
あの髪、そして目。完全にあいつだ。まるで、化身とでも言おうか。
「そんなことも長く生きてれば起きるものか」
その男は気づくと城の屋根から消えていた。
期末試験二週間前。範囲が配られる。範囲を見てもちろん僕は絶望する。
「もう無理……」
そして先生からの放送が入る。
「今回の期末試験は筆記のみだ。だが二回目の試験は実技だけで行われる。総復習を怠らないように」
二回目の試験というのは学年末の試験のこと。実技……。そうかぁ……。
僕は部屋の机に突っ伏して小声で言う。
「本当にもう無理だよ……」
それに気づいて、レイズが反応する。
「あとに回してたのがついに首を絞めたか」
僕はレイズに軽く訴える。
「僕進級できないかも」
「何言ってんだよ、まだ1ヶ月しか経ってないぞ?」
ペンを握り直して、レポートの続きを書いていく。
調べたことはメモをしてあるから大体はこれで書ける。
でもあまりペンは進まない。
「学年末の試験は師匠が一位に決まってますよ!!」
「そうかなぁ……そうだといいなぁ……」
最近実技の評価が落ちてきている。原因はわからないが、前のようにイメージをしても打てなくなった。体に感じていた魔力の気配も今はあまり感じない。
「初めの試験で僕はみんなより置いていかれるんだぁぁぁ……」
嘆いている僕をステラが励ます。
範囲勉強、やらなきゃなぁ……。
――――試験当日――――
それぞれの教室に生徒が集まる。教室はいつもとは違い静まり返っている。
先生が一度周りを見てから、「始め」と大きな声で言った。
――――――――――――――
――――テスト返却――――
おわった。おわったわ。
「見たくない……」
僕は教室の机に突っ伏す。
「お前だってできる科目あるじゃん。それに苦手な科目も結構真面目にやってたし」
ステラが突っ伏している僕に向かって言う。
「ボク師匠よりも高い点数取らないように頑張りましたから!!」
「そしたらステラが赤点になっちゃうよぉ……」
突っ伏したまま軽く叫ぶ。
「まぁ大丈夫だって。お前のことだからなんとかなるだろ」
「頭いいやつが何言ってんだ」
そんなことをだべっていたらテスト返却が始まった。
どんどん名前が呼ばれていく中、僕はずっと顔が死んでる。
……一向に名前が呼ばれない。……やっぱり赤点取ってた……?補習……?
待ってみたが本当に呼ばれない。
「今日の授業はここまで。間違えたとこはちゃんと復習しとけよ?学期末が実習だからってサボるんじゃないぞ。しっかり実習に離京してくるからな」
じゃあ僕はマジでやばいってことですか。こりゃ本当に進級できない説が出てきたな。
シェイアの脳内――――――――
「シェイア、お前進級できなかったのか」
「し、師匠がまさか……!嘘ですよね……?嘘って言ってくださいよ!!!」
ご……ごめん……本当に……できなかったんだ……。
「嘘だろ……。シェイア……。」
「師匠……。そうですか」
ま、待って!!行かないで!!!
「シェイアが進級できないのなら仕方がない……。行こう、ステラ」
「そうですね……。これからは、師匠とは呼べなくなってしまいますね」
待って……。待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!……。
――――――――――――――――――――――
あぁ……。おわった。楽しかったよ。僕の学院人生……。
「イア……シェ…………ア……………………シェイア?」
ハッと我にかえり、あたりを見渡す。教室にはもう人がまばらしかいなかった。
「大丈夫か?」
「ア……。ダ、ダイジョウブ……ダイジョウブ……」
ステラも一緒に心配してくれているようだ。
「大丈夫ですか?途中まで一緒に行きますよ」
「ヘ……イ……イク……ドコヘ……」
レイズが聞いてなかったのかと言う顔をして言った。
「さっき先生が学長先生のところへ行けって言ってたぞ」
あ……。やっぱり……。進級できない……。
「ソ、ソカ……ジャア……イコウカ……」
僕は絶望したまま教室を出た。
学長先生の部屋に入るのはかなり勇気がいる。
そして今回は進級できませんのお知らせ……。楽しかったよ……。異世界生活……。
僕は恐る恐る部屋へ入った。
「し、失礼します……」
そっと扉を閉めて前を向く。
「おぉ、きたかシェイア。ここに座りなさい」
「ぁ……はい……」
学長先生はいつもより雰囲気が穏やかに見えた。でもそれが今は怖い。
「ではシェイア。君をここに呼んだ理由は……」
僕は言われたくなくて先に答えた。
「進級……のお話ですよね……」
すると先生は首を傾げて言った。
「進級?なんの話だ?私は君の魔力事情について話を聞こうと思っているんだが」
進級の話じゃない……?違うの……?本当に?!
「え、ち、違うんですか?!」
先生は軽く笑って答えた。
「なんだ、そんなに驚いて。君はいくつか問題は起こしているが、進級には関わらない。もはや飛び級させたいほどだ」
「え‘’、そんなに?!」
「あぁ」先生は話を続ける。
「私は君が中庭で大量の雪を出した件については前に聞いたな。そこで思ったんだが、最近魔法を使えていないのではないか?」
「え……、あ、はい……。なんか最近前みたいな手応えがなくて……」
すると先生は席を立って後ろにある横に長い木箱から何かを取り出した。
「そんな君にこれを渡そうと思ってな」
そう言って渡してきたのは、ところどころ錆が目立つ棒のようなもの。
「こ、これ……、なんですか……?」
「こっちへ来なさい」
先生は部屋の中にある前から気になっていたドアをくぐった。僕もその後に続く。
「君がまだ覚えていたら良いのだが」
「あれ……、ここ、もしかして……!」
その扉を通った先は僕の幼い記憶の中にある神殿だった。中央の奥にはあの大きな天秤もしっかりとある。
「その杖を、あの天秤の前まで持って行きなさい」
いつもよりお淑やかな声で僕に言った。
僕は先生の言われたとおりにして、先生の顔を見た。
「魔力をその杖に流しなさい」
「魔力……。でも僕今はうまく……」
「いいから」
僕は目をつぶって体の中の魔力を感じ取る。
なんだか今日はうまく行きそうだ。
魔力の流れを意識すると、それが自然と杖に引き寄せられてゆく。不思議な感覚だ。
「やめなさい」
先生の言葉でやめる。
「うわ……。え……?なにこれ……?!」
目を開くとその杖の錆は全くなくなっていて、新品同様だ。手持ちの棒の部分は白を基調とした色で、ところどころ金の装飾がしてある。
上の部分は月をイメージさせるような金色のオブジェがついていて、その中心にはみたことのないとても綺麗な石がふよふよと浮かんでいる。
「な、なんですかこれ?!こんなもの僕が持っちゃっていいんですか?!」
先生はやはり、と考えていたことがあたった様子で答えた。
「その杖は君を選んだんだ。君が持つにふさわしいものだ」
この杖は空中にしまえるという便利な収納付き。すご。
僕は先生に気になって聞いた。
「あの杖、僕が魔力流すまではすごいボロボロでしたけど、あれいつのものですか?」
先生が少し考えて答える。
「確か……、あれは初代学長の杖だった気がするな……。名前は……」
「しょ、初代学長……。え、この学院って創立したのいつですか……?」
「1203年だ」
1203年……そして今は2300年……。
「う、うぅぇぇぇえ??!!?!1100年前?!!?!!そ、そんなもの持てませんよ!!!!」
「持つかどうかは、杖が決める。決まったからには、しっかりと持ち主としての威厳を持て」
「うぅ……。わかり……ました……」
1100年前の杖も持たないといけないし、威厳も持たないといけないし……。
一年から苦労が多くなった……。
――――部屋にて――――
「もう苦労が重りになってるよ」
「学長になにされたんだ」
「学長……許さん……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!
雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。
ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。
観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中…
ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。
それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。
帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく…
さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる