愛されたいのに

トモ

文字の大きさ
24 / 27

キャリー27歳の誕生日

しおりを挟む
キャリーは、誕生日の前日、ザックに明日1日、私達2人の予定を空けさせているから、少し遠出しよう。と声をかけられていた。

急だったけど、ザックの目に決意が宿っていたので、なんとなく断ってはダメと本能で感じた。

そして、キャリーの誕生日当日、早朝から、飛行機に乗って、普段人気の水族館にきた。

今日は閉館日だが、午前中だけお願いして、貸切にしてもらったんだとか。

そして、朝から贅沢な時間を過ごした。

キャリーは、水族館も実は初めて。
目をキラキラさせて、イルカや、ペンギンのエリアを堪能。

途中、サメやイワシの大群もとても気に入って見入っていた。

そんな様子を、静かに見ているザック。

そして、あと少しで貸切時間、終了となるころ、施設外のレストランに入った。

そこも、今日は、私達2人の為に営業してくれているようだった。

個室に案内され、2人で乾杯。

ザックは、「キャリー誕生日おめでとう。そして今までごめん。27歳までに子供が出来なかったら、離婚できると、約束したことを覚えているよ。ただ聞いてほしい。もしまだほんの少しでも、もう少し一緒に過ごしてもいいと思ってもらえるなら、これから、やり直してくれないか?キャリー、愛してるんだ」と告白された。

キャリーは、シンプルに、その真摯な態度に好感が持てた。今までなら、上から目線、一歩先から見下していた、ザックの姿はどこにもなく、迷っていた。

今日、帰宅したら、出て行こうと荷物をまとめていたから。

キャリーは、考えて答えた。

「覚えてたんだね。27歳の約束。私に興味がないから、きっと忘れてると思ってたわ。今日、夜に出て行こうと思ってたの。最近の、ザックの様子は確かに好感が持てるし、幸せかも?と感じることもあったけど、結婚生活を継続するのが正しいのか不安なの。また、もとの辛い日々が待ち受けていたら今度こそ、私耐えられる自信がないし。実は、住むところも契約して、持ち家用意してあるのよね。その後の仕事も、ある程度道筋を準備してるの。あそこに住むのも楽しみだし」そう答えた。

すると、ザックは、キャリーに誕生日プレゼントの、指輪と、イヤリング、そして弁護士と作成した書類を渡した。

キャリーは、その内容を見て、「これ本気?ザックに徳がないわ。」と笑って言った。

ザックは、「これでも足りないぐらいだ。今までの仕打ちを考えたら。もしやり直してくれなかったら、私は一生独身で過ごすよ」と、真剣に言われた。

キャリーは、「そんな、後継が必要なのに、ダメよ」と言うと、「どちらにせよ、キャリーとの子供しかいらない。だから、やり直してもらえなかったら、そのチャンスもないよ」

そして、立ち上がったザック。
深々と頭を下げて、「今まで本当にごめん。最低な夫だった。愛してる。もう一度チャンスをください。」

と改めて言われた。

キャリーは、ここまで言われたら、心が揺れた。

そして「急な展開で、正直、気持ちが追いついていないわ。でも、私を大切にしてくれようとしているのは感じたから、もう一度、やり直しますか?ただ一つだけ、お願いがあるの。新しく引越す予定だった家に、定期的に泊まりに行きたいの。場所も建物も気に入っているし」そう伝えた。

すると、ザックは「もちろん。ただ私も一緒に行っていい?」と聞いてきた。

キャリーは頷いた。

そしてザックは、「キャリー、これからも、よろしく。ありがとう。愛してるよ」と抱きしめてきた。
キャリーは、そっと腕をザックの背中に回した
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

美人な姉と『じゃない方』の私

LIN
恋愛
私には美人な姉がいる。優しくて自慢の姉だ。 そんな姉の事は大好きなのに、偶に嫌になってしまう時がある。 みんな姉を好きになる… どうして私は『じゃない方』って呼ばれるの…? 私なんか、姉には遠く及ばない…

竜帝は番に愛を乞う

浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

婚約者の心が読めるようになりました

oro
恋愛
ある日、婚約者との義務的なティータイムに赴いた第1王子は異変に気づく。 目の前にいる婚約者の声とは別に、彼女の心の声?が聞こえるのだ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...