無知な私

トモ

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出会い

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小学校の時、事故で両親を亡くした、メルは、高校に通いながら、カフェでバイトをし、毎日忙しいながら、なんとか生活していた。

カフェは、毎日とても混雑していた。
ある日、お年寄りの夫婦がカフェにきた。

座る席がないので、諦めて店を出ようとした夫婦に、20代の男性が、スッと駆け寄り、「こちらの席空きますよ」と譲っていた。

メルは、あんなに素敵な人、いるんだなと、ホッコリした気持ちになり、いい日になりそうだと思っていた。

メルは、男性が譲った席に、夫婦が座る前に、「テーブル拭かせていただきますね」と言って、丁寧に吹いていた。

すると足元に、USBが落ちていた。

あれ?落とし物だわ。大事なものじゃないかな?
今日、朝この席に座った人、先程の男性が最初だから、もしかしたら、探しているかも

そう思って、慌てて店の外に出てみたけど、もう男性の姿はなくて、店長に「これ落ちてました。先程座っていた男性のお客様じゃないかなと思います。」そう伝え、1週間だけ、店舗で預かっておこうということになった。

大事なものならきっと、この店に落としたかもと取りに来るはず。

そして、また変わらぬ日々を過ごし、1週間が経とうとした頃、比較的空いている時間帯にあの日の男性が来店。

そして、「すみません、こちらにUSBメモリを落としたかもしれなくて、1週間前ぐらいに来たんですが、見かけてませんか?」と聞いてきた。

メルは、「少々お待ちください」と言って、店長を呼んだ。

店長は、色など、数点確認し、こちらですか?とUSBを渡した。

男性は、安堵の表情で、「これです。ありがとうございます。もう諦め半分でこちらに来たので、とてもホッとしました。」と言っていた。

店長は、「こちらのメルが、大事なものかもと言って私に相談にきたので、お礼なら、メルにお伝えくださいね」そう言って、店長は、戻っていった。

メルに、男性は、「ありがとうございました。助かりました。お礼に、食事をご馳走させてもらえませんか?」
そう言ってきたので、メルは、「いえ、そんな、私は仕事をしていた時に、見つけただけですので、お気遣いなく」そう伝えた。

すると「私のような年上と食事するのは、嫌でしょうか?」そう言われて、メルは「そんな、とんでもない。」そう答えた。

男性は、「今日は、バイト終わり何時ごろですか?終わったあと、予定は?」そう聞かれ、「あと1時間で終わります。予定はないです」と伝えると、「わかりました。その頃外で待ってます」
そう言うと、スマートに外に出て行った。

大人の男性は、誘い方もスマートだわ、いつのまにか、一緒に行くことになってるし。そう思いつつ、夕食代、浮くわ、ラッキーと思ってお言葉に甘えておこう。少し浮き足だちながら、残りの時間、仕事を頑張った。

そして約束通り、カフェの外に出ると、先程の男性が待っていた。

メルに気づくと、「嫌いな食べ物ある?」そう聞いてきた。

メルは「ないです。」
すると、「鉄板焼きでもいい?」そう聞かれ、「はい。」と答えた。

男性は、少し離れてるからとタクシーを呼び、そのまま、店まで連れて行ってくれた。

メルは、男性と2人きりで出かけたことも、付き合ったこともないので、ドキドキが止まらない。
少し緊張した表情に、フッと笑顔を見せた、男性。

これが、2人の出会いだった
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