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第103話 男女のこと、教えて
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フランスは、執務室の扉をあけて、顔を突き出し、廊下を確認した。
誰もいない。
よし。
扉を閉めて、内側から鍵をかける。
イギリスが怪訝な声で言った。
「何してる」
フランスは、イギリスに近寄って言った。
「陛下、教えてください」
イギリスが、おそれるように、すこし離れて言う。
「何をだ」
「男女の営みについてです」
イギリスが、さらにおそれるような表情をして、一歩下がった。
フランスは、一歩近づいて、イギリスに向かって言った。
「この股の状態が、男女の営みをするための状態なんですよね。実際のところ、どうやって、そういうことをするんですか?」
フランスはわくわくして、返事を待った。
ついに、知るときが来たのね!
イギリスが、しばらくかたまったあと、小さい声で言った。
「本当に、知らないのか?」
「知りません!」
「すこしも?」
「すこしも知りません! いや、ちょっとは知っています。奴隷だったので、売りに出されるときは裸を確認されるんですよ。生殖機能に問題がないかどうかも値段に影響するらしいので。男女ともに裸は見ましたし、生殖機能を持つ部位がどこかも知っています。でも、実際のところ、それをどうするのかは知りません」
男が女に子種をそそぐ、ということだけは知ってるわ。
でも、それが実際にどういうことなのかは、分からない。
イギリスは、たっぷりと沈黙の時間をとったあと、言った。
「アミアンに聞け」
フランスは必死に言った。
「アミアンには聞けません!」
イギリスが、怪訝な顔をする。
フランスは扉のほうをうかがってから、声を落として言った。
「教国では、聖女にそういうことを教えること自体、忌避するきらいがあるんです」
「なぜだ」
「聖女の癒しの力が、処女性を失うと消えると言われているからです」
「それは聞いたことがある」
「そのせいで、教国では、聖女にそういうことを誰も教えてはくれないんです。だから、教えてください。知りたいだけです。どういったことをするのか」
イギリスがおそれるように、小さく首を横にふった。
なぜよ……。
「だめですか? 知りたいだけなのに……」
どうせ、一生そんなこととは縁がないだろうことは、確定しているんだから、せめて知るぐらいいいと思うのに。
イギリスが、すこし考えるようにしてから言った。
「聖女の婚姻を禁止する法はなかったはずだ」
「ええ……。過去に、そうしようとした聖女もいたようです」
「今はいないのか」
「はい」
「なぜだ」
「処女性を失えば聖なる力が失われる、ということが、教国では古くから信じられています。実際のところ、本当にそうなのかは、例がないので分かりません」
記録から消えた聖女は何人かいる。
だが、それがどういう理由でかは分からない。
フランスは、つづけて言った。
「処女性を失えば聖なる力が失われる、ということが事実なら。聖女が、婚姻をするということは、聖なる力を自ら放棄するということです。主の女が、主の女であることをやめるということは……、主を捨てるということ。ひいては、守るべき教国を捨てることと、とられます。過去に、そうしようとした聖女は……、民に石を投げられて、殺されました」
「……」
「だから、わたしが、聖女の任をおりて婚姻をするということはありません。それは、この教国では生きることすら許されないことだから。だから、ただ、知りたいだけなんです」
「……」
「知ることも、ゆるされないようなことでしょうか……」
修道士や修道女は、自らの意志で終生請願を立てて、生涯すべてを神にささげることを誓う。聖女には、終生請願はない。聖女としての力が顕現すれば、その時点で、主の女になる。
聖女には、自らの道を選ぶ自由はない。
だから、ただ、知りたいだけだ。
自由がある男女が、どうやって子をなし、生きてゆくのか。
イギリスが、困ったように言った。
「アミアンに怒られる」
「お願いです、陛下。一生のお願い」
フランスは頑張ってかわいそうな顔をした。
「やめろ。わたしの顔で、そのかわいそうなふりをするな」
フランスは、イギリスの両腕をつかんで、言わないとぜったい離さないから、の気持ちで聞いた。
「じゃあ、せめて、この股が、なぜ腫れる必要があるのかだけ教えてください!」
「やめろ、こわい」
「話してくれれば、こわいことはしません」
イギリスが、しぶしぶ口をひらく。
「その腫れるのは」
「腫れるのは?」
「男のそれを」
「男のこれを!」
「……」
「……」
なんでだまるのよ!
フランスは、むっとして言った。
「男のこれを一体……」
その瞬間。
フランスの頭に、ひらめきがあった。
稲妻のように、突如として。
理解した。
フランスは、思いついた勢いのまま言った。
「もしかして、女の中に入れるために、硬くなる⁉」
イギリスがおそれるように、頷いた。
そっか!
そうよね!
ふにゃふにゃじゃ、入れづらそうよね!
男が女に子種をそそぐ方法が、これね!
なーんだ!
そういうこと!
スッキリ!
フランスは笑顔で言った。
「なんだ、そんなことだったんですね。なんで、皆そんなこと言うのを恐れるのかしら。変なの」
「知りたいことは知っただろう。離せ」
イギリスがそう言って、フランスの腕をはがそうともがく。
フランスはじーっとその様子を見た。
力が弱いわね。
「ところで、なんで、みんなそういうことをしたがるんですか?」
「なんだと?」
「男は、女を買うじゃないですか。女だって、お金持ちの貴族は見目の良い奴隷を集めたりするものもいますよね。そういうことをするのが目的だからですよね?」
イギリスは顔をそむけるようにして言った。
「し、知らない」
絶対、うそでしょ。今のは。
フランスは、ぐっと顔を近づけて聞いた。
「なぜ、男のこれを、女の中に入れたがるんです?」
「知らない。離せ」
その瞬間。
フランスの頭に、また、ひらめきがあった。
稲妻のように、突如として。
理解した。
「わかりましたっ‼」
フランスが叫ぶと。イギリスが、うわあ、みたいな顔をした。
フランスは、ひらめきを叫んだ。
「とんっでもなく、楽しい⁉」
イギリスが固まった。
「お金をかけてする、カードゲームくらい⁉」
フランスがそう聞くと、イギリスが、顔をそむけたまま小刻みに頷いた。
合ってる?
フランスがじとっと見つめると、イギリスが小刻みに頷きながら、小さい声で「合ってる」と言った。
ほんと?
なんか、うそついてない?
誰もいない。
よし。
扉を閉めて、内側から鍵をかける。
イギリスが怪訝な声で言った。
「何してる」
フランスは、イギリスに近寄って言った。
「陛下、教えてください」
イギリスが、おそれるように、すこし離れて言う。
「何をだ」
「男女の営みについてです」
イギリスが、さらにおそれるような表情をして、一歩下がった。
フランスは、一歩近づいて、イギリスに向かって言った。
「この股の状態が、男女の営みをするための状態なんですよね。実際のところ、どうやって、そういうことをするんですか?」
フランスはわくわくして、返事を待った。
ついに、知るときが来たのね!
イギリスが、しばらくかたまったあと、小さい声で言った。
「本当に、知らないのか?」
「知りません!」
「すこしも?」
「すこしも知りません! いや、ちょっとは知っています。奴隷だったので、売りに出されるときは裸を確認されるんですよ。生殖機能に問題がないかどうかも値段に影響するらしいので。男女ともに裸は見ましたし、生殖機能を持つ部位がどこかも知っています。でも、実際のところ、それをどうするのかは知りません」
男が女に子種をそそぐ、ということだけは知ってるわ。
でも、それが実際にどういうことなのかは、分からない。
イギリスは、たっぷりと沈黙の時間をとったあと、言った。
「アミアンに聞け」
フランスは必死に言った。
「アミアンには聞けません!」
イギリスが、怪訝な顔をする。
フランスは扉のほうをうかがってから、声を落として言った。
「教国では、聖女にそういうことを教えること自体、忌避するきらいがあるんです」
「なぜだ」
「聖女の癒しの力が、処女性を失うと消えると言われているからです」
「それは聞いたことがある」
「そのせいで、教国では、聖女にそういうことを誰も教えてはくれないんです。だから、教えてください。知りたいだけです。どういったことをするのか」
イギリスがおそれるように、小さく首を横にふった。
なぜよ……。
「だめですか? 知りたいだけなのに……」
どうせ、一生そんなこととは縁がないだろうことは、確定しているんだから、せめて知るぐらいいいと思うのに。
イギリスが、すこし考えるようにしてから言った。
「聖女の婚姻を禁止する法はなかったはずだ」
「ええ……。過去に、そうしようとした聖女もいたようです」
「今はいないのか」
「はい」
「なぜだ」
「処女性を失えば聖なる力が失われる、ということが、教国では古くから信じられています。実際のところ、本当にそうなのかは、例がないので分かりません」
記録から消えた聖女は何人かいる。
だが、それがどういう理由でかは分からない。
フランスは、つづけて言った。
「処女性を失えば聖なる力が失われる、ということが事実なら。聖女が、婚姻をするということは、聖なる力を自ら放棄するということです。主の女が、主の女であることをやめるということは……、主を捨てるということ。ひいては、守るべき教国を捨てることと、とられます。過去に、そうしようとした聖女は……、民に石を投げられて、殺されました」
「……」
「だから、わたしが、聖女の任をおりて婚姻をするということはありません。それは、この教国では生きることすら許されないことだから。だから、ただ、知りたいだけなんです」
「……」
「知ることも、ゆるされないようなことでしょうか……」
修道士や修道女は、自らの意志で終生請願を立てて、生涯すべてを神にささげることを誓う。聖女には、終生請願はない。聖女としての力が顕現すれば、その時点で、主の女になる。
聖女には、自らの道を選ぶ自由はない。
だから、ただ、知りたいだけだ。
自由がある男女が、どうやって子をなし、生きてゆくのか。
イギリスが、困ったように言った。
「アミアンに怒られる」
「お願いです、陛下。一生のお願い」
フランスは頑張ってかわいそうな顔をした。
「やめろ。わたしの顔で、そのかわいそうなふりをするな」
フランスは、イギリスの両腕をつかんで、言わないとぜったい離さないから、の気持ちで聞いた。
「じゃあ、せめて、この股が、なぜ腫れる必要があるのかだけ教えてください!」
「やめろ、こわい」
「話してくれれば、こわいことはしません」
イギリスが、しぶしぶ口をひらく。
「その腫れるのは」
「腫れるのは?」
「男のそれを」
「男のこれを!」
「……」
「……」
なんでだまるのよ!
フランスは、むっとして言った。
「男のこれを一体……」
その瞬間。
フランスの頭に、ひらめきがあった。
稲妻のように、突如として。
理解した。
フランスは、思いついた勢いのまま言った。
「もしかして、女の中に入れるために、硬くなる⁉」
イギリスがおそれるように、頷いた。
そっか!
そうよね!
ふにゃふにゃじゃ、入れづらそうよね!
男が女に子種をそそぐ方法が、これね!
なーんだ!
そういうこと!
スッキリ!
フランスは笑顔で言った。
「なんだ、そんなことだったんですね。なんで、皆そんなこと言うのを恐れるのかしら。変なの」
「知りたいことは知っただろう。離せ」
イギリスがそう言って、フランスの腕をはがそうともがく。
フランスはじーっとその様子を見た。
力が弱いわね。
「ところで、なんで、みんなそういうことをしたがるんですか?」
「なんだと?」
「男は、女を買うじゃないですか。女だって、お金持ちの貴族は見目の良い奴隷を集めたりするものもいますよね。そういうことをするのが目的だからですよね?」
イギリスは顔をそむけるようにして言った。
「し、知らない」
絶対、うそでしょ。今のは。
フランスは、ぐっと顔を近づけて聞いた。
「なぜ、男のこれを、女の中に入れたがるんです?」
「知らない。離せ」
その瞬間。
フランスの頭に、また、ひらめきがあった。
稲妻のように、突如として。
理解した。
「わかりましたっ‼」
フランスが叫ぶと。イギリスが、うわあ、みたいな顔をした。
フランスは、ひらめきを叫んだ。
「とんっでもなく、楽しい⁉」
イギリスが固まった。
「お金をかけてする、カードゲームくらい⁉」
フランスがそう聞くと、イギリスが、顔をそむけたまま小刻みに頷いた。
合ってる?
フランスがじとっと見つめると、イギリスが小刻みに頷きながら、小さい声で「合ってる」と言った。
ほんと?
なんか、うそついてない?
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