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第1話
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「俊也~俊也~? 辰子ちゃんもう迎えに来ているわよ~支度急ぎなさ~い」
「......うわあっ!?」
僕は1階から聞こえてきた母さんの声で目が覚めた。時計を確認したらもう8時10分。僕の学校の登校時間は8時30分で、自宅から学校まで走っても15分はかかるから......。
「ちょっ、母さーん、何で起こしてくれなかったのさ!」
「起こしたわよ~何度も。でも俊也があと5分待ってって言うから......」
えぇい、さては寝起きの人間の5分は1時間だという世界の法則を知らないな! 母さんは世間知らずな所がある上、僕に甘いんだから。優しいのは嬉しいけどこういう事があるのは頂けない!
「ちょっと俊也ー、まだ準備できてないのー?」
「ごめん辰子、あと10分だけ待ってて!」
僕の部屋の前まで来ていたらしい幼なじみの声に大声で返事をしながら慌てて学校の制服に着替える。こういう風に急いでいる時に限ってワイシャツのボタン掛けを間違えてしまう自分が恨めしい。
「えぇ、無理だよそんなの! 遅刻しちゃうじゃん!」
「なら先に登校しといてくれ、僕に付き合って遅刻しなくていいよ!」
悲鳴のような声を上げる辰子に叫び返してから、ブレザーの袖に手を通してから部屋を出る。1階にある洗面所に向かって階段を転がり落ちるように降りて、一息に駆け込んで歯ブラシを手に取る。
「なんだ俊也、高校生になってまで寝坊したのか?」
「その通りだよ父さん、横入りしてごめん!」
先に洗面所を使っていた父さんに譲ってもらった場所で超特急で歯磨きを済ませる。髭はまだ生えてきていないのでひげ剃りはいらない。時間的に朝食は諦めるしかない!
「ありがとう、父さん!」
「おう、急いでいても車には気をつけろよ」
父さんに背中を向けてお礼を言う。親心から来る注意を聞きながら洗面所から出て、そのまま玄関まで突っ走ろうとしたところでキッチンから顔を出した母さんに止められる。
「俊也~お弁当忘れてるわよ~、それに鞄は~?」
「ヤバい、部屋に置きっ放しだ! ナイスだよ母さん!」
2階の自室まで急いで引き返す。痛恨のミスで時間が本当にまずい。チラリと視界に入ったリビングの時計は長針と文字盤の4が重なりそうになっていた。体当たりでもするかのような勢いで部屋のドアを開いて中に入る。
学習机の横に置いておいた学生鞄を持って再び玄関に戻ろうとした僕は、偶然ある変化に気づいた。部屋についている外開きの窓が開いていたのだ。元々鍵はかけていなかったけれど、昨日寝る時には閉めていた筈。さっき起きた時にも開いていなかったし、風が吹いて開くような造りでもないので誰かが開けたとしか思えないのだが......。
と、そこまで考えた所で僕は思考を中断した。急いでいるからではない、開かれた窓から僕の部屋に巨大な鉤爪が侵入してきたからだ。
「うわあっ!」
凶悪な形のソレは僕の胴体をバッチリ捕らえて、僕を窓から外に引っ張りだそうとする。咄嗟に手近な物を掴んで踏ん張ろうとしたが無駄だった。僕の努力は無意味に終わり、手に持った鞄と一緒に為す術なく僕は家の外に出てしまった。
「つっ......なにするんだよ、辰子!」
僕は窓を開いて僕を強引に出発させた張本人、目の前にいるドラゴンに文句を言う。
「それはこっちのセリフよ! まったくもう、とにかく急ぐわよ、落ちないでよねっ!」
人ひとり丸呑みにできそうなほど大きい口を開けて僕に言い返したドラゴンは、背中から生えた赤い翼を大きく広げた。
「全速力で飛ぶから喋っちゃ駄目よ、舌噛んでも知らないからっ!」
「ちょっと辰子、待っ......」
制止の言葉を最後まで聞くことなく、僕のドラゴンな幼なじみ、竜宮辰子は翼をはためかせて大空に飛び立った。
「絶対、俊也を遅刻させたりなんかしないんだからねっ!」
5月13日、月曜日。こうして僕は朝から高速ジェットコースター(安全策、及び命綱無し)を体験する羽目になった。
「......うわあっ!?」
僕は1階から聞こえてきた母さんの声で目が覚めた。時計を確認したらもう8時10分。僕の学校の登校時間は8時30分で、自宅から学校まで走っても15分はかかるから......。
「ちょっ、母さーん、何で起こしてくれなかったのさ!」
「起こしたわよ~何度も。でも俊也があと5分待ってって言うから......」
えぇい、さては寝起きの人間の5分は1時間だという世界の法則を知らないな! 母さんは世間知らずな所がある上、僕に甘いんだから。優しいのは嬉しいけどこういう事があるのは頂けない!
「ちょっと俊也ー、まだ準備できてないのー?」
「ごめん辰子、あと10分だけ待ってて!」
僕の部屋の前まで来ていたらしい幼なじみの声に大声で返事をしながら慌てて学校の制服に着替える。こういう風に急いでいる時に限ってワイシャツのボタン掛けを間違えてしまう自分が恨めしい。
「えぇ、無理だよそんなの! 遅刻しちゃうじゃん!」
「なら先に登校しといてくれ、僕に付き合って遅刻しなくていいよ!」
悲鳴のような声を上げる辰子に叫び返してから、ブレザーの袖に手を通してから部屋を出る。1階にある洗面所に向かって階段を転がり落ちるように降りて、一息に駆け込んで歯ブラシを手に取る。
「なんだ俊也、高校生になってまで寝坊したのか?」
「その通りだよ父さん、横入りしてごめん!」
先に洗面所を使っていた父さんに譲ってもらった場所で超特急で歯磨きを済ませる。髭はまだ生えてきていないのでひげ剃りはいらない。時間的に朝食は諦めるしかない!
「ありがとう、父さん!」
「おう、急いでいても車には気をつけろよ」
父さんに背中を向けてお礼を言う。親心から来る注意を聞きながら洗面所から出て、そのまま玄関まで突っ走ろうとしたところでキッチンから顔を出した母さんに止められる。
「俊也~お弁当忘れてるわよ~、それに鞄は~?」
「ヤバい、部屋に置きっ放しだ! ナイスだよ母さん!」
2階の自室まで急いで引き返す。痛恨のミスで時間が本当にまずい。チラリと視界に入ったリビングの時計は長針と文字盤の4が重なりそうになっていた。体当たりでもするかのような勢いで部屋のドアを開いて中に入る。
学習机の横に置いておいた学生鞄を持って再び玄関に戻ろうとした僕は、偶然ある変化に気づいた。部屋についている外開きの窓が開いていたのだ。元々鍵はかけていなかったけれど、昨日寝る時には閉めていた筈。さっき起きた時にも開いていなかったし、風が吹いて開くような造りでもないので誰かが開けたとしか思えないのだが......。
と、そこまで考えた所で僕は思考を中断した。急いでいるからではない、開かれた窓から僕の部屋に巨大な鉤爪が侵入してきたからだ。
「うわあっ!」
凶悪な形のソレは僕の胴体をバッチリ捕らえて、僕を窓から外に引っ張りだそうとする。咄嗟に手近な物を掴んで踏ん張ろうとしたが無駄だった。僕の努力は無意味に終わり、手に持った鞄と一緒に為す術なく僕は家の外に出てしまった。
「つっ......なにするんだよ、辰子!」
僕は窓を開いて僕を強引に出発させた張本人、目の前にいるドラゴンに文句を言う。
「それはこっちのセリフよ! まったくもう、とにかく急ぐわよ、落ちないでよねっ!」
人ひとり丸呑みにできそうなほど大きい口を開けて僕に言い返したドラゴンは、背中から生えた赤い翼を大きく広げた。
「全速力で飛ぶから喋っちゃ駄目よ、舌噛んでも知らないからっ!」
「ちょっと辰子、待っ......」
制止の言葉を最後まで聞くことなく、僕のドラゴンな幼なじみ、竜宮辰子は翼をはためかせて大空に飛び立った。
「絶対、俊也を遅刻させたりなんかしないんだからねっ!」
5月13日、月曜日。こうして僕は朝から高速ジェットコースター(安全策、及び命綱無し)を体験する羽目になった。
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