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第7話
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僕が1階にたどり着くと凄まじい人だかりがまず目に入って来た。職員室のドアの前でむくつけき男達が密集して押しくらまんじゅうをしていた。ウワァ......。
「でも......」
これで何が起きているのかハッキリ予想がついた。チクショウ、今日は厄日だ!あぁ、でも結局は自業自得なのか。
「すいません、ちょっと通して......」
「抜け駆けは許さねえぞ一年坊主、美人のあんな姿そうそう拝めるもんじゃねぇ!
」
人だかりをどうにか掻き分けて職員室の中に入ろうとしたけど失敗。謎の気迫と共に押し返され、そのまま廊下で尻餅をついてしまう。それでも何度か挑戦を繰り返した僕はなんとか人混みを押しのけることに成功して、かろうじて首から上だけを部屋の中に侵入させることができた。確保した視界に入って来たのは、守屋先生と何かを話している1人の変質者。
水着程の面積しかない扇情的な衣装で身を包み、グラマラスな肢体を惜しげもなく晒した美女である。ここから見ていると背中から生えた蝙蝠のような羽と先端がハートマークの尻尾で人間ではないことがわかる。
「あ、あれがサキュバス......」
ゴクリ、と隣の生徒が唾を呑み込む音が聞こえた。話している本人達はこの騒ぎを別段気にしてないようだ。他の先生方が生徒が中に入るのを止めているから何だろうけど。ともかく、想像通りの事態が起きていることを確認した僕は、職員室の中に入れないことと、先生がこちらに気づきそうにないことを理解して、最悪な結末を覚悟した。
「......母さん!」
大騒ぎの中でも聞こえるよう、大きく息を吸い込んでから怒鳴るように呼びかけた。周囲の視線が全て僕に集まる。目立つのは嫌だったけれどこの際仕方ないと割り切って、注意が逸れたことで集団の圧力が弱まった隙をついて職員室の中に入る。
「あっ、コラ!」
ドアの前で他の生徒を止めている先生の制止を無視して、僕はまっすぐ守屋先生と話している痴女のもとに向かう。
「あ~俊也~、わざわざ来てくれたのね~。ちょうど教室まで持って行ってあげよう~って先生と話していたところで~」
「そこまでしてもらわなくてもいいだろうということで、校内放送で呼び出そうとしてたんだが......」
「ナイス判断です、先生。おかげで助かりました」
校内に出現した変質者は弁当を届けにきた保護者、というか僕の母さんだった。正面で向き合えば『鈴木 リリム』と書かれた札が首から下げられ、大き過ぎて零れ落ちそうになっている胸に挟まれているのが見える。どうやら守衛さんと会っていたのは校内通行許可証を貰うためだったらしい。息子の忘れ物を届けに母親が学校を訪ねる、それぐらいならまだ日常の範囲だが......。
「ねぇ、母さん。なんでその格好で来たの?」
「え~?だって~学校に変な服装で行ったら俊也に迷惑だ~って種彦さんが前に言ってて~正装で行けば~問題ないって~教えて貰ったから~」
うん、それは父さんが正しい。変にオシャレなんかしないでスーツとかで来てくれたほうがよっぽど良い。良いんだけど......。
「なんでそこでサキュバスとしての正装で来ちゃうのさ!」
そう、別にこの人四六時中こんないかがわしい服を着ているわけではない。むしろ平凡な主婦のように普通の格好で過ごしている。なにがどーしてこーなった。
「大体その格好で外歩いていて警察に声かけられたりしなかったのさ、いくら文化の違いって言っても限度があるでしょ!?」
魔術世界からの観光客というのも少なからずいるので多少突飛な服装をしていても白い眼で見られるようなことはなくなった昨今だが、こんな痴女がうろついているのを放置する程世間は寛容にはなっていない。絶対誰かが通報しているはずだ。
「う~ん、別にお巡りさんにお世話になるようなことはしてないと思うけど~?ちゃ~んと魅了を抑えるチョーカーも付けてきたし......」
「それだよ!」
サキュバスという種族は無意識に異性を興奮させる魔法、魅了を周囲に振り撒いてしまうらしい。科学世界で言えばフェロモンのようなものだ。無闇にそういうものを出さないよう、発散を抑える魔法の道具がある。あるのだが......。
「デザインが犬の首輪にしか見えないんだよ、ソレ!」
「え~?サキュバスの間では大人気の一品なのよ~?高性能でデザインも大人しいから、どんなコーデにも合わせられるって評判なの~」
「あぁ、別に趣味がどうとかじゃないんですね......」
文化の違いって凄いなぁ、と遠い目になる守屋先生。おそらく普段から付けてるチョーカーのせいで、AVかなにかの撮影だと思われたに違いない。そうであってくれ、あまりにもヤバいから通報という形ですら関わりたくないとか思われたとか考えたくない!
「も~、そんなに怒らなくてもいいじゃない~。俊也ったら思春期なんだから~」
この怒りは絶対思春期と関係ない。仮にそうなんだとしたら僕は絶対大人になりたくない!
「でも......」
これで何が起きているのかハッキリ予想がついた。チクショウ、今日は厄日だ!あぁ、でも結局は自業自得なのか。
「すいません、ちょっと通して......」
「抜け駆けは許さねえぞ一年坊主、美人のあんな姿そうそう拝めるもんじゃねぇ!
」
人だかりをどうにか掻き分けて職員室の中に入ろうとしたけど失敗。謎の気迫と共に押し返され、そのまま廊下で尻餅をついてしまう。それでも何度か挑戦を繰り返した僕はなんとか人混みを押しのけることに成功して、かろうじて首から上だけを部屋の中に侵入させることができた。確保した視界に入って来たのは、守屋先生と何かを話している1人の変質者。
水着程の面積しかない扇情的な衣装で身を包み、グラマラスな肢体を惜しげもなく晒した美女である。ここから見ていると背中から生えた蝙蝠のような羽と先端がハートマークの尻尾で人間ではないことがわかる。
「あ、あれがサキュバス......」
ゴクリ、と隣の生徒が唾を呑み込む音が聞こえた。話している本人達はこの騒ぎを別段気にしてないようだ。他の先生方が生徒が中に入るのを止めているから何だろうけど。ともかく、想像通りの事態が起きていることを確認した僕は、職員室の中に入れないことと、先生がこちらに気づきそうにないことを理解して、最悪な結末を覚悟した。
「......母さん!」
大騒ぎの中でも聞こえるよう、大きく息を吸い込んでから怒鳴るように呼びかけた。周囲の視線が全て僕に集まる。目立つのは嫌だったけれどこの際仕方ないと割り切って、注意が逸れたことで集団の圧力が弱まった隙をついて職員室の中に入る。
「あっ、コラ!」
ドアの前で他の生徒を止めている先生の制止を無視して、僕はまっすぐ守屋先生と話している痴女のもとに向かう。
「あ~俊也~、わざわざ来てくれたのね~。ちょうど教室まで持って行ってあげよう~って先生と話していたところで~」
「そこまでしてもらわなくてもいいだろうということで、校内放送で呼び出そうとしてたんだが......」
「ナイス判断です、先生。おかげで助かりました」
校内に出現した変質者は弁当を届けにきた保護者、というか僕の母さんだった。正面で向き合えば『鈴木 リリム』と書かれた札が首から下げられ、大き過ぎて零れ落ちそうになっている胸に挟まれているのが見える。どうやら守衛さんと会っていたのは校内通行許可証を貰うためだったらしい。息子の忘れ物を届けに母親が学校を訪ねる、それぐらいならまだ日常の範囲だが......。
「ねぇ、母さん。なんでその格好で来たの?」
「え~?だって~学校に変な服装で行ったら俊也に迷惑だ~って種彦さんが前に言ってて~正装で行けば~問題ないって~教えて貰ったから~」
うん、それは父さんが正しい。変にオシャレなんかしないでスーツとかで来てくれたほうがよっぽど良い。良いんだけど......。
「なんでそこでサキュバスとしての正装で来ちゃうのさ!」
そう、別にこの人四六時中こんないかがわしい服を着ているわけではない。むしろ平凡な主婦のように普通の格好で過ごしている。なにがどーしてこーなった。
「大体その格好で外歩いていて警察に声かけられたりしなかったのさ、いくら文化の違いって言っても限度があるでしょ!?」
魔術世界からの観光客というのも少なからずいるので多少突飛な服装をしていても白い眼で見られるようなことはなくなった昨今だが、こんな痴女がうろついているのを放置する程世間は寛容にはなっていない。絶対誰かが通報しているはずだ。
「う~ん、別にお巡りさんにお世話になるようなことはしてないと思うけど~?ちゃ~んと魅了を抑えるチョーカーも付けてきたし......」
「それだよ!」
サキュバスという種族は無意識に異性を興奮させる魔法、魅了を周囲に振り撒いてしまうらしい。科学世界で言えばフェロモンのようなものだ。無闇にそういうものを出さないよう、発散を抑える魔法の道具がある。あるのだが......。
「デザインが犬の首輪にしか見えないんだよ、ソレ!」
「え~?サキュバスの間では大人気の一品なのよ~?高性能でデザインも大人しいから、どんなコーデにも合わせられるって評判なの~」
「あぁ、別に趣味がどうとかじゃないんですね......」
文化の違いって凄いなぁ、と遠い目になる守屋先生。おそらく普段から付けてるチョーカーのせいで、AVかなにかの撮影だと思われたに違いない。そうであってくれ、あまりにもヤバいから通報という形ですら関わりたくないとか思われたとか考えたくない!
「も~、そんなに怒らなくてもいいじゃない~。俊也ったら思春期なんだから~」
この怒りは絶対思春期と関係ない。仮にそうなんだとしたら僕は絶対大人になりたくない!
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