ドラゴンな幼なじみがお節介やきで困っています

生コン樽

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第16話

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 失礼だとはおもいながらも校長先生の話を遮らせてもらった。
 今は守屋先生が結婚出来ない理由についての見解を聞いている場合ではない。
「好きなだけせい、こちらの都合で一方的に強制しておるんじゃ。質問も文句も幾らでも受け付けてやるわい。じゃが、決まった事は変えられんぞ?」
「......わかっています」
 決定は覆らないと釘を刺されたが、質問は受け付けてもらえるそうだ。
 規則の抜け穴をついて辰子をどうにか文化祭に参加させてやりたいという僕の企みは見抜かれているのだろうが、構わない。アルシャワ校長がこちらの質問に答えてくれる事自体が重要だ。
「もしも、の話です。仮に校長先生に認めてもらえる位の安全性が担保できる案があれば、文化祭当日に辰子が校内に居る事は可能ですか?」
「構わん、儂とてそんな事ができるならそちらの方が良いと思っておる。実現性の有る対策を提案さえしてくれれば、新試生に文化祭当日の参加を認めるぞ」
 校長先生の口元は笑みを形作っているが、その眼が笑っていない。
 何かしら問題が起きたときに責任を問われるのはこの人なので、中途半端な提案では一蹴されるのがオチだと悟る。保身を考えてるのって絶対上層部だけじゃないな?
「学校側から対策の為に予算や人員を割くことはできないといっていましたが......」
 学生にとって先生方を頼れないのはかなり痛手だ。自分の行動の結果に自分で責任を持てない年齢である内は不自由であっても大人の許可と協力をうけてから行動しなければならない。
 予算の事だって無視できない。個人が無償で出来る対策なんてあったらとっくに実行している。生々しい話だが、現代社会で誰かのために何かをするためには少なからずお金が必要なのだ。
「それでも、通常の業務の範囲内であれば先生方の助けをお借りする事はできますよね?」
「すまん、よくわからんので具体的に説明してくれんか?勿論儂ら教員が力になれるというなら協力はするが......」
 あまり無茶なことはできないと言外に告げる校長、まぁお金を出してくれとか、徹夜で付き合ってくれといった類の曲解を防ぐ布石を打つのは教員の監督者としてというよりは血の通った人間らしい発想だ。
「すみません、言葉が足りませんでした。学校内の各施設の利用には管理を担当している先生の許可が必要だからです。文化祭期間の施設の割り当ては生徒会に権限がありますが、それも先生からの許可を貰ってからでないと申請できませんから」
 嘘は言っていない。施設の使用許可も必要なものの一つなのは間違いではない。まぁ、別の狙いもあるがそれはそれ。要は教員が協力してくれるとアルシャワ校長に口に出して欲しいだけだ。
「ん......そういうことなら勿論大丈夫じゃが、そもそも使える施設に空きがないかもしれんぞ?元々この時期は使用権の取り合いが激しいのじゃ、先に申請した方が優先されるし、今から探しても使える施設はないのではないか?」
 文化祭当日までは既に二週間を切っていて、今はどこの教室もそれに向けた準備に使われている。
 どこの団体も場所を確保するのは大前提で、使える施設なんてもうとっくに割り振りが終わった後の筈なので、どこかに使える場所があることなんて最初から期待していない。
 だが、僕だって全く考えなしという訳ではない。
「大丈夫です、心当たりはありますから」
「むぅ、ならいいが......お主、有志の企画で申し込んで文化祭に参加するつもりじゃな?確かに参加を禁止したのは学年とクラスの企画じゃから、そちらでの参加くらいなら許可してやってもいいが......企画の締め切りは明日じゃぞ?間に合わせで適当な案を出しても認可せんからな」
 流石、校長。僕の聞きたかったことに先回りして回答してくれた。
 締め切りの期限が明日なのはつらいところだが、有志での参加を認めてくれるならそれで十分だ。
「ありがとうございます、校長先生」
「鈴木、企画の場所に本当に心当たりがあるのか?それに顧問はどうする、私も協力はしてやりたいが......顧問は2つまでしか兼任できなくてな、私はクラスと部活の担当で埋まってしまっていて......」
「大丈夫ですよ、先生。両方まとめて解決できる人がいますから」
 心配しているのか色々と聞いてくる守屋先生に軽く返事をしてから、僕はアルシャワ校長を改めて見据える。
「アルシャワ校長先生、僕はこれから辰子を含んだ有志団体で生徒会に企画を申請します。何をするかはこれから考えますが、来場者は勿論生徒や先生方にも危険が無い案を必ず出すと約束します」
「フム、それで?」
「通常の業務の範囲内であれば、教員に手助けを求めてもいいんですよね?」
「構わないと言ったじゃろう」
 よし、言質確保。
「じゃあ校長先生に顧問をお願いしますね、後ついでに屋上の使用許可もくれますよね、顧問やってくれるんですから!」
「ぬぇっ!?」
 僕の発言が予想外だったのか、外見通りの少女の様に狼狽える校長だが、ここで頷いてもらえないとこっちも困る。
「まさかご自分で教員の協力を確約しておいて顧問も許可もできないなんて言いませんよね?」
「し、しかしじゃな。儂が顧問をやると教員全体の統率ができなくなるし、そもそも屋上は危険じゃから使用を禁止していて......」
「いやぁ良かったな鈴木、快くやってくれるそうだぞ!」
「待て瞳、儂はまだやるなんて一言も......」
 ゴニョゴニョと言い訳のようなものを並べているのを無視して守屋先生が大きな声で僕を援護し、慌てた様子のアルシャワ校長が否定しようとするがもう遅い。
「こんな強引な手段取らないと竜宮が文化祭に参加出来ないようにしたのは校長なんですよね?企画の顧問も通常の業務の範囲内なんですから大人しく引き受けてください」
「うぅ、じゃが......そもそも発端は儂の責任ではないし......」
「オイ、ババァ。いい加減にしねぇとここの酒全部捨てんぞ」
「わーっ、止めるんじゃーっ!それがどれだけ貴重な品なのかも知らん癖に床に叩きつけようとするでなーい!」
 壁際の戸棚に歩み寄り、中から高そうなお酒を無造作に引っ張り出した守屋先生の足元に半泣きですがりつくアルシャワ校長。
 うーん、駄目な大人だ。駄々をこねてる子供にしかみえないけど。
「わかった、わかったのじゃ!顧問はやるし許可も出すからそいつらを捨てるのだけは許してくれーっ!」
「良かったなー鈴木。校長も応援してくれているんだ、竜宮が参加できるよう頑張れよ!」
「言っておくが、安全策があればじゃからな!?無茶なことは無しじゃからな!?」
 僕は涙目になりながらも最後にしっかりと念押しはしたアルシャワ校長に頭を下げ、それから教室に向かって走りだした。
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