魔法少女の心臓 Magical girl heart

霜月麗華

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#004. 蠢き鬼(魔法少女)

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 桐枝は私に近付いて、
「起きて?」
手を出してきた。私は掴まり、起きた。
「あれ、指…」
桐枝の左手の薬指が、切れていた。
「切ったの」
「え?なんで?」
「…」
桐枝は黙って、左手をポケットに入れた。私は少し安心して、バッグの中に入れていた、エナジードリンクを取り、キャップを開けて、飲んだ。

        ◾️

 ──胸から湧き出るこのエネルギーは、さっき飲んだ毒性物質で作られた化学物質が作用したおかげだった。私は分岐点で、ニつの毒性物質で繋がれた道を見つめて、御立派な吊橋を妄想する。御立派な吊橋に居るのは、社畜と化したキラキラしい理想郷へと向かう、売り子。彼等の心を支えるには、抗欝剤他ならない。吊橋は彼等の負の感情で崩れていく。摩天楼からは吊橋が崩れるのを高らかに笑う、自分を偉い者だと勝手に思いこむ者が居た。全てはどんどんと壊れていき、誰にも止める事の出来ん世界だ。一般人にとってはこの世界は、意味の解らぬ世界だと思う。大きな川からは、出目金が落ちる社畜と化した負の感情を見つめ、気を落とす。赤子は泣き崩れるのをやめ、負の感情を真似る。全ては自由だった。我々の周りには欝になりかけの、毒を含んだ一般人が、笑いながら写真を撮り、私が幾ら注意しても、無視を貫き、笑う。其の内に、夜に煌々と光る鹿が「やめろ」と云い、一般人を帰す。すると、眼の前に桐枝が顕れた。桐枝は蠢きながら、此方に歩いてきた。「廃人…」呟き、魔法だかなんだかで、手の無い死体を出現させて、其れに口付けした。ネクロフィリアだ。すると場所が暗転し、眼の前に桐枝が再度現れた。すると、桐枝が身体が真っ二つになった。

        ◾️

 ──エナジードリンクを飲んだせいで、何かの夢を見た。私は桐枝に、
「大丈夫?」
と訊かれた。
「うん、大丈夫…」
私はステッキをバッグに仕舞い込んだ。
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