真実

霜月麗華

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2、交流

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 ー6月15日、外は大雨と強風。去年が空梅雨だったから、余計珍しく感じる。雷などが落ちる為、下校時刻が遅れた。外を良く見ると、グラウンド全体が大雨で池状態になっていた。
 グラウンドの真ん中に、城浜刑事がずぶ濡れで突っ立っていた。私は気になり、傘をさして向かった。
「何してんの?傘をささずに」
「、、、」
城浜は黙って、雨に濡れる。
「何か言いなさいよ」
「雨に当たってる」
「見ればわかるから」
私は彼の横に立って、
「私って、不幸体質らしいんだよね」
「ふーん」
「左腕の傷も、最近出来た奴だし」
左腕の裾をめくって、彼に見せた。
「それを僕に言って、何になる?」
「えっ?」
「僕に話す意味はあるのか?」
意味は、ない。ただ、喋りたかっただけだ。
 その時強風が吹き、傘が壊れそうになった。
「風邪ひくよ?」
「ひかないさ」
城浜は笑って言った。すると城浜は顔を下げて、
「うん、ひかないよ」
「ひくよ。根の葉もない事を、」
私は城浜のずぶ濡れ顔を見た。
「あれ、見てみろよ」
城浜の指差した場所には、メカニカルに踊る毳毳しい集団が、列を成して毒性物質で繋がれた道路を進んで享楽していた。
「何?」
努努ゆめゆめ、信じてはならない集団、と言われてる宗教集団らしい」
「へぇ」
「あの踊りは、勧誘なんだ。ユートピアを目指す為の踊りらしい。僕の母親はあの宗教の1人なんだ」
 すると彼は私を見て、続きを話た。
「僕の母親は、欝病なんだ。だからSSRIを飲んでるんだ。抗うつ剤を、」
「大変何だね」
「うん」
 踊りを見ていて、恐怖を覚える。釣られてしまいそうだが、なんとか耐える。
「あれは、発狂なんだ。ただ叫んでる奴は、キチガイなんだよ。あの宗教は、幸せを求める宗教、らしい」
「、、、」
私は黙って、毳毳しいパレード宗教集団を見つめる。
 勧誘して、信者達を支配する。実に良い方法だ。支配したら支配で、放って置く、さようならって事か。幸せを求めさせる為に、放置させる。恐怖だ。

       ◾️

 学校の校長が、私を校長室に呼んだ。
「、、、何ですか?呼び出しといて何も無いとか、やめてよ。校長」
「噂の話だが、君は何か事件を起こしただろう?」
「何言ってるの?校長でもあろう方が、そんな根の葉もない噂を信じるのですか?馬鹿馬鹿しい」
「証拠写真があるのだが?どう説明するのかね?」
校長はそう言い、机の引き出しから写真を取り出し、私に渡した。写真は、良く見ると合成だった。
「校長は合成写真の区別も出来ないのか?」
「何?合成だと?」
私は校長に合成写真という事を説明した。
「、、、」
「噂は、噓なんですよ校長」
私はそう言って、校長室を後にした。

       ◾️
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