死町 2020

霜月麗華

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大厄し編

第二話 其の壱 呪縛

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 六月一日、大咲遥と学校を回っていた時、職員室辺りで桑田純一郎くわたじゅんいちろう橘海里たちばなかいりと合流した。
「ねぇねぇ転校生」
「な、なんですか?」
橘は大咲遥の肩をポンと叩き、
「よく此処来れたね」
と言った。
「どうした橘?」
桑田が橘に言った。
「……なんでもないわよ」
橘はそう言い、スタスタと行ってしまった。
「橘!おーい先に行くなよ」
俺達は橘の後を追いかけた。

 下校時刻になった。天気予報にない雨が降って来て、更には雷まで落ちて来た。
 偶然にも、俺と大咲遥は同じ通学路だった。俺達は黙って帰路を辿っていた。坂を登ろうとした時、近くに雷が落ち、大咲遥が雷の音に驚き、転倒した。俺は大咲の右手を掴み、
「よいしょ」
大咲遥を起こした。
「あ、ありがとう」
大咲遥はそう言い、坂を登り始めた。
「雷、近かったな」
「そ、そうですね…」

 次の日だった。橘海里が学校に来なかった。俺は橘と通学路が一緒の桑田に、橘は?と聞こうとした。すると、桑田は怯えきった表情をしていた。
「桑田、お前、橘と通学路、一緒だったよな?」
「あ、あぁ、うん…」
「橘は?」
「……だ」
「へ?」
聞き取れなかった。
「…んだ」
「何?」
「死んだって言ってんだろ!」
「は、はぁ?」
桑田は泣いていた。
「呪縛だよ!四境の呪縛!」
「し、四境の呪縛ってなんだよ!」
「海里は、雷に撃たれて死んだんだよ!四境の呪縛のランダムに当たっちまったんだ!」
桑田は泣き崩れ、床を叩いた。すると、騒ぎを聞いて駆けつけた女子の生徒会員が、
「何事?」
と言って、桑田の前に立った。彼女は春日部圭子かすかべけいこと言う、この学校の生徒会長だ。
「生徒会長、コイツがちょっと…」
生徒会長は桑田を椅子に座らせ、話しを聞いた。
「呪縛ね…久しぶりに聞いたわ」
彼女はその後、四境の呪縛と言うものを話し始めた。
「四境の呪縛っていうのは、四境に来た人、四境に居る人、四境から出ようとする人からランダムに選ばれて必ず死亡する…選別機みたいな物よ」
「なんだよそれ」
「呪縛は、回避することが出来ないし…」
「学級委員はそれを信じてんのか…俺知らなかったぞ?」
俺はそう言い、窓際に頬杖をついた。
「選別機…ねぇ、誰かにその選別を擦りつけるっていうのは出来るのか?」
「そんなの出来たらとっくのとうにやってるわよ!」
彼女は机を蹴り上げた。机はガシャンと音を立てて床に落下した。
「……死を待てってか?」
「……そう言う事よ」
すると桑田は立ち上がり、
「死にたくねぇよー」
と言った。
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