獅子騎士と小さな許嫁

yu-kie

文字の大きさ
31 / 58
獅子騎士の小さな花嫁へ編(2)

31.

しおりを挟む





 挙式の準備は着々と進むなか、ラパスは忙しく遠征に向かうことが多く、たまに準備の話し合いに参加するといった状態が続いていた。

 現在、隣の国から流れてきたと思われる…悪名高い魔獣使いとも呼ばれている魔女が現れたせいもあり、魔獣が増えつつある。他国の侵略行為も止んで平和だった…日々は、今少しずつ変わりはじめていた。

 遠征中のある日、ナクシス国の城では婚礼の準備が着々と進み、ハミン国から国王と后がクランと共に王宮内の王族の居住エリアに迎えられていた。

 中庭にてお茶会をしながらの話し合い。ラパスも途中でこちらに合流予定だったが、魔女探しに駆り出されていた。

 悪名たかい魔女は赤い髪を二つに結び黒い頭巾を被り、黒いワンピース姿の…クランと年の近い少女、名はルーシ。ナクシス国の王都が賑わっている今…各所で目撃情報がラパスたち騎士団にも届いていた。

 ルーシは何を望み現れているかはまだ謎であり…ラパスはルーシを捕らえることに躍起になっていた…何故なら今日はハミン国からクランとハミン国王と后を城に迎えている。ルーシの暴走に巻き込まれはしないかと…そうならないように必死であった。

 ラパスは部下たちに警備を任せ一端城に戻り…クランたちの待つ中庭にむかった。

「お待たせいたしました。」

「遅かったがなにかあったか。」

 ルイヴ女王の問いにラパスは耳打ちし、ルイヴは眉に皺を寄せた。

「ハミン国王…今日はそろそろ話し合いを終わりにしましょう。我国で少し厄介なものが侵入していると聞きます…申し訳ないが…」

 ルイヴとマユスは立ち上がると席についたままのハミン国王と王妃に頭を下げた。

「はっはっは。あなたはお忘れか?我がハミン国が小さい国なのに何故…同盟国を増やせたか?」

「そうですね国王様。」

 ハミン国の右の手を、后は左の手を繋ぐようにすれば二人の前にふわふわした壁がにょきにょき現れた。クランがラパスを守った魔法と同じもの。ラパスとルイヴ、マユスは唖然とし、クランは無垢な笑顔をラパスに向けた。

「予定の時間までまだたっぷりあります。自分の身は自分で守りますので気になさらず。」

  壁はすぐに消え、ルイヴとマユスはおずおずと席につき…クラン含むハミンの3人も席につきニコニコしながら式の打ち合わせを続けた…



 丁度その時、城の外、赤い髪の少女が王都の街の人混みに紛れ…城へ向け歩く姿があった。

「ふふふっ。」

 魔女は足取り軽く、人混みを駆け抜けた。

 黒い頭巾からこぼれる二つに束ねた髪を靡かせ。



 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

ガネット・フォルンは愛されたい

アズやっこ
恋愛
私はガネット・フォルンと申します。 子供も産めない役立たずの私は愛しておりました元旦那様の嫁を他の方へお譲りし、友との約束の為、辺境へ侍女としてやって参りました。 元旦那様と離縁し、傷物になった私が一人で生きていく為には侍女になるしかありませんでした。 それでも時々思うのです。私も愛されたかったと。私だけを愛してくれる男性が現れる事を夢に見るのです。 私も誰かに一途に愛されたかった。 ❈ 旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。の作品のガネットの話です。 ❈ ガネットにも幸せを…と、作者の自己満足作品です。

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

処理中です...