獅子騎士と小さな許嫁

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獅子騎士の小さな花嫁へ編(2)

30.

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  数日後。

 クランはハミン国から馬車でナクシス国の城へと…いつもと変わらず図書館の管理補佐をしている。

 だがあの日から変わった事がひとつあった。それは…婚礼へ向けての準備で女王に呼ばれる事が増えたのだ。

《時は少し遡り》

 領地ヘラクスでの日帰りの旅行の後、ラパスは馬車でクランをハミン国の城へ送り届けた時のこと。ラパスは馬車を降り、ハミン国王にお話があるといい城に入った。

 ラパスはクランのてを引き執事の案内で王宮内の客間に通されクランと待つこと数分。ハミン国王が部屋に訪れてすぐ、直球で国王に挨拶をした。

「本日はクラン王女と親交を深める事ができました。ありがとうございます。それと大事なお願いがございます。クラン王女と結婚させてください。」

「父様、私からもお願いします。」

ラパスが直立し、ハミン国王にまっすぐ向き、そう言うと同時にクランも隣にたつと…二人同時に頭を下げた。

「ん。クランの同意があるなら致し方ない…」

 ハミン国王は少し淋しそうに背を向け部屋を後にし…閉まった扉の向こうでは国王がすすり泣く声が響き渡り、何とも言えない空気が辺りを包んだ。

 こうして一応の結婚の許しを得て、数日後よりクランの花嫁の準備が始まったのである。

《時は戻り、現在》

 クランは午前中、図書館の古書の破れの修復をし…昼には図書館をあとにし、執務室へ。

 そこにいたのはルイヴ女王と王配(女王の夫)であるスラッと細身で長身の中性的な男性がいた。

「クランです。入ります。」

クランは部屋にはいると、目の前にいるルイヴ以外の見知らぬ人間を見てお辞儀をした。

「マユス。クラン・ハミン王女、ラパスの花嫁ですよ。」

振り返るその綺麗な男性は柔らかな笑みでクランを迎えた。

「お久しぶりですクラン王女、剣を振ることしか頭になかった息子が…身を固める日が来るとは…クラン王女、あなたが息子を変えてくれたのですね。」

「お久しぶりです。クラン・ハミンでございます。」

 クランは目の前で感動を噛み締めるマユスを見上げ、めをぱちくりさせた。

 執務を終え椅子に掛けたままのルイヴ女王の前で…二人の晴れ姿を思い浮かべたマユスは涙ぐんでおり、ルイヴはいたって冷静。気にもとめず席をたつと…

「クラン王女さて、打ち合わせを始めましょう。」

 ルイヴはいまだに戸惑うクランのてを引き、部屋を移動。ラパスの父も加わり3人は客間に移動し式の打ち合わせを始めたのだった。

   
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