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番外編Ⅲ
幼女クラン②
しおりを挟むお茶会を名目にした交流の場。王は領主にもてなされ…隣国の客人も招かれていた。
そこにはクランの席もあり、ハミン国王の隣にちょこんと高い椅子に座り足をぶらぶらとさせ客人たちに目を向けた。
隣国の客人はハミン国と一角兎の取引をしており、商売相手。
しかし、信用ならないその者は取り繕った笑顔でお茶会に参加しており…張り詰めた空気が辺りを支配していた。
すると勘の鋭いクランは席から離れると…隣国の客人に挨拶をした。
「初めまして。ハミン国の王女クランともうします。あなたは…どなたですか?」
クランはスカートの裾をつまみ膝を折るようにして挨拶をした。
「これはこれは。私はクアーズ国の外務大臣のミャクス・キヒラと申します。王女様にお声をかけていただき光栄にございます。」
クランは目を輝かせて更に声をかけた。
「ミャクス様ですね?父からクアーズ国は素晴らしい国だと聞いています!ハミン国にも素晴らしいものがたくさんあります。私からはこれを…」
クランは少し前に職人から教わりつくったスプーンをポケットからとりだした。
「ハミン国には魔力を含む鉱石がございます。溶かして作ってみました。特別なお客様には渡したくて…」
クランが差し出した小さな木箱のふたを開ければ掬う部分はきれいな丸みがあり持ち手の部分は少しいびつだが…兎の模様が描かれていた。
「ご自分で?」
「はい…ほとんど職人さんに手伝っていただきました。えへ。今は1つだけですが、いつかもっと作って皆さんにプレゼントいたします!」
ミャクスは感動していた。
「そんな貴重な作品を…ありがとうございます。」
ハミン国王は娘の行動を感心するようにみつめていた。
(娘の行動で…場の空気が和んでいるではないか…すごい子だ。うむうむ。)
「あ、そうだ…ハミン国王さま、この度はクアーズ国王へ招待をいただきながらわたくしめが来てしまい申し訳なく思っております。もしも…もう一度チャンスがあるなら、クアーズ国王と王女様をご招待ください。招待主が、ハミン国王とクラン王女からだと知ればきっとその時は来ていただけるように思えます。」
クランはそれを聞いて大はしゃぎしたのであった。
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