10 / 21
白猫魔女の愛妻・捜索の話
10 捜索 Ⅱ
しおりを挟むグリアは檻の中でただの猫を装い泣き続けた。
**
彼女は遺跡の地下通路入ってすぐの場所に遺跡泥棒を見つけ、すみに隠れ様子を見ていると、男たちは魔導士の話を始めた。
「力はあるのにジン・スハンはお人好しだな。」
「ははは。お陰で報酬は二人で山分けできた。この短剣は魔力をすいとるんだと、ジン・スハンの隙をついて突いてやったら効果てきめんだった。」
黒づくめの小さな男は腰に提げる短剣を取り出し笑いながら先を進んだ。
「それはどこで手に入れたんだ?」
ヒョロヒョロの背の高い黒づくめの男は同じスピードで歩みを進め不思議そうにくと、小柄な男は笑いながら答えた。
「森を抜けた先にある泉の神殿に飾ってあったのをいただいたものさ。」
「へぇ~。けっこう難関だと聞いたぞ?」
「実はジン・スハンはその時から雇っていたんだ。あいつにかかれば簡単に、罠をかわして手にいれられた。」
「ヒデー奴だな、お前は。」
「騙された方が悪い。」
「お前とは古い付き合いだが俺も気を付けなきゃな。」
男たちは笑いながら穴奥へと向かうなか、グリアは短剣の話を聞き取れなかったが、ジンに深傷を負わせた二人組だと確信した。
(ちょっとからかってやるか。)
グリアは心の中で呪文を唱えた。グリアの影が物体化し、猫から巨体の黒い狼へと姿を変え、グリアは狼へ合図を送り走り始めた。
「ふにゃああ~!!」
グリアは追いかける狼から逃げるように男たちへ向け走った。
男たちは驚き振り返り、小柄な男は得意気に腰の短剣を抜き振りかざしヒョロヒョロの背の高い男が魔法を唱えれば、小柄な男は風にのり、狼へ急接近して短剣を突き刺せば、狼は魔力を吸われ、消滅した。
厳密にはグリアの影に戻ったが、二人の男は獣を倒したと得意気に笑い、駆け寄るグリアに興味を抱いた。
「珍しい。額に四つ葉の模様がある白い猫なんて…貴族に高値で売れるぞ?」
ヒョロヒョロの背の高い男はグリアの首の皮をつまんでケタケタと笑い、魔法で動物の檻を出現させ、グリアを檻へと閉じ込めた。
「悪く思うなよ。お前は俺たちの役に立ってもらう。だが、今はここの遺跡にあるお宝探しが先だ、いいこにしてろよ。」
小さな檻の上に付いた持ち手を握ったヒョロヒョロの背の高い男は小柄な男と穴の奥へと向かい歩き始めた。
グリアは檻の中で鳴き始めた。
彼らの耳には悲しく泣いているように聞こえているが、グリアは猫語で森の獣達を呼び寄せていた。
グリアの役目は森の遺跡を守ること。
その方法はグリアに任されていて、時に獣を呼び寄せ、彼らに侵入者を襲わせることもあり、今のグリアはその方法をとろうとしていた。
やがて遺跡の地下通路の入り口が騒がしくなり、ぐるぐると唸る獣の群れが地を蹴り奥へと奥へと接近し、遺跡の財宝を目の前にした二人の男はあわてふためき、群れにグリアの入った檻をぶつけ逃げ、魔法や短剣を使い獣を排除し、深傷を追いながらもと来た道を必死に進んだ。
グリアは檻からくすくす笑いながらその光景を見て、魔法で檻からでようとした瞬間。魔力が檻に吸われ出れないことに焦り始めた。
男達を追い地上へと走り去る獣達と、足を止めグリアに興味を向ける獣が現れ、グリアは身の危険を感じ、檻の中でとっさに脳裏に浮かんだのは、最愛の夫ジンの名だった。
「ジン!ジン!ジーン!!」
獣は鋭い爪を伸ばした前足を檻の中へ一斉に差し込む瞬間、地上から肌を切り裂くような竜巻がおき、獣達を排除した。
息絶えた獣達を掻き分けて、汚れた檻をてにしたのは革の手袋をしたローブ姿の人物だった。
「無茶するな、うちの奥さんは。」
ローブの人物はフードを外し、にんまり笑うと、檻の扉を容易く開け、白猫のグリアを取り出し、ぎゅっとその腕の中に埋まるように抱き締めた。
0
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる