17 / 21
ルイの旅立ちとその後の二人の話
17 旅立ちの数日後
しおりを挟むルイが旅立ち、グリアとジンは森の巡回を少し寂しく感じていた。昼も過ぎる頃家に戻った二人を前に、ジンの妹パルが子供たちを寝かし、ジンとグリアを呼んだ。
「兄さん義姉さん、今日はお仕事も早く終わったんだし、たまには街にデートしてきたら?」
「パル一人にして不審者が来たら…」
「兄さん大丈夫。もうすぐ彼が来る頃なの。子供が好きだって言うから、休暇日の今日は子供たちと遊んでくれる予定なの。」
「『彼』って、いつも来る騎士のソクトくんか?」
「ええ。あ、もう来たみたい。」
ジンとグリアが部屋の窓から外を見ると、馬を颯爽と走らせ現れた騎士がいた。
パルは家の扉を開け、青年騎士ソクトを招き入れ、玄関に現れたグリアとジンは軽く挨拶を交わした。
「やあ、ソクトくん休暇にすまない。パル…じゃあ、行ってきていいんだな?」
ジンはパルに聞けば、パルはソクトと何度か顔を見合せ、頷いた。
「うん。楽しんできて。」
「どうぞ。」
「困った時はパルに預けてる首に掛けている魔石に呼び掛けてくれたら俺とグリアはすぐに戻ってくるからね。」
「はい。兄さん。」
ジンはパルの頭をくしゃりと撫で、グリアがジンの手を握った。
「ありがとう。お言葉に甘えて、少し街に出掛けてくるよ。」
グリアは積極的にジンにしがみつき二人はにこにこして、パルたちに手を降り転移した。
**
ジンは行きたいところがある。ルイが勇気を絞り話してくれた指輪のことだった。
近くの町は特に見て回るほどの店も並んでいないため、やって来たのは王都の街。
食べ物のお店が並ぶ道を抜け、ドレスを作る服屋、宝石店、高価な物を売る店が並ぶ道を歩き、ジンはグリアを連れて入ったのは宝石店だった。
グリアは森の巡回意外、ジンと二人きりで『男』を意識するときは口数も減り、恋する乙女に変わってしまう。それは、夫婦として夜を共にしてから目覚めてしまったもので、グリアにとってジンはそれだけ特別な存在となっていたのだ。
ジンはよくわかっていないグリアの宝石に目を向ける様子を見、サイズだけ図ると、店員に耳打ちをし店を出た。
「ジン、もうおわりなの?」
「またあとで来るさ。たまには流行りのパンケーキの店とか行かないか?」
「なんだ?食べ物の店か?」
「パルが女子に人気だと話していたから、グリアも喜ぶかと思ってね。」
ジンは店の前に立ち止まれば、ジンにくっついて離れないグリアの目に、フルーツと生クリームのたっぷりのったパンケーキの看板が目に入り、グリアは目を輝かせた。
「な、なるほど!」
「気に入ってもらえるかな?」
「ジン、早く!早く入ろう!」
グリアはジンの腕をひき店内へと足を踏み入れた。
森に隠っている年月が長いグリアには、夢の世界に来たようなわくわくした空間に目を輝かせ、注文したパンケーキがテーブルに置かれると鼻にクリームを付けたことに気がつかないまま、美味しいと頬張り、ジンはそれを微笑ましく思いながら、注文した飲み物のカップに口をつけた。
そのあと二人は宝石店によりジンはなにかを購入し、二人は転移魔法で夜の森近くの丘に来た。
空はすでに暗く星が一面に広がり、丘のしたには森が広がる。
ジンはグリアと夜空を眺めた後、ポケットから小さな箱を取り出した。
「グリア、目を閉じてくれる?」
「ん?なんだ?」
「「・・・」」
「いいよ。」
ジンの声を合図にグリアが目を開けると、左手の薬指には先ほど宝石店で綺麗だと思いてにしていた指輪があった。
瞳と同じ桃色に輝く宝石に、グリアはジンを見ればジンはもう1つをグリアに差し出した。
「俺にも付けてくれる?」
グリアはジンから受け取ったもう1つの指輪をジンの左手の薬指にはめた。
「グリア、君のお陰で今の俺がいる。妹も、可愛い子供たちも…いつもありがとう。どうかこれからも、末長く夫婦でいよう。愛してるよ。」
「わ、私も…幼い頃、助けてもらったあの日から、私はジンが好きだった。あの感情の意味をわからずにいたけど今になってそうなんだとはっきり言える。ジンが好きだ。」
グリアは目を潤ませ見上げれば少し背の高いジンは見下ろし見つめあった後、二人は星空のした、キスをした。
まるで結婚式の誓いのキスをしているように。
「そろそろ戻ろう。ソクトくんも送らないとな。」
「ああ。」
グリアはジンの胸に収まるように顔を寄せぎゅっと抱きついたまま…ジンは苦笑いしながら森にある我が家へと転移したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる