白薔薇騎士と小さな許嫁

yu-kie

文字の大きさ
17 / 26

17

しおりを挟む

 数日後、スティアはメディアン邸を、出発し、王都へと馬車を走らせた。

<数日前のお話>

 リューイがギメラに与えた罰は…『1週間、西の砦の近くにある集落がギメラとその配下に襲われた事があることから、兵士の監視のもと、集落の人々の為に働くこと。』とし、期限は『メディアン邸にいるスティアが1週間後に王都に戻る前に。』

 ギメラはスティアについて行く約束の為に、無駄に多い魔力をフル活用し、集落を以前よりもピカピカに変えていった。

 集落の住民たちは喜んだ。

 「もうじゅうぶんですよ。領主様にありがとうございましたとお伝えください。」
 
 集落の長である老人が現れ倒れ込むギメラと監視の兵士に告げると、兵士の隊長が確認をした。

「いいんだな?」
「はい。これからは良い人になってくだされ。」
「スティア嬢が『お利口にして』って言っておったからな。私はあのお方のためなら『お利口に』できるのだあ!」

 集落の住民たちはケラケラと笑い出したが、自分の事だと思わなかったギメラは威張るように仁王立ちした。

 与えられた罰をこなしたのは始めてから5日後の事。兵士はリューイにそのことを報告し、その日の夜、リューイは猫の姿になったギメラを同じ馬に乗せてメディアン邸へと帰ってきたのだった。

    ††††

 砦の出発前、リューイは兵士からの報告を受け、獣人姿のギメラを前にスティアの元に行く許しをだす条件をだした。

「ギメラ、娘の側に使えたいなら、猫でいなさい。娘には既に護衛が一人、侍女もいる。娘に多くの異質な者が使えていれば悪目立ちする。スティアを悲しませないために必要な事なのだよ。その条件をのむなら、スティアの護衛として同行を許そう。」
「スティア嬢の側に居られるなら本望です。感謝致します。」

 ギメラは黒猫となり、おすわりの体制から頭をペコリとお辞儀した。

    ††††

 メディアン邸に、リューイほ帰還した。到着し馬が足を止めると、馬の肩にいたギメラがぴょんと地面に着地した。

「おかえりまさいませ。」

 屋敷の扉を開け出迎える執事は深々と頭を下げると、ギメラはリューイより先に、屋敷の中へと駆け込んだ。

「お父様おかえりなさいませ!」
「ぶにゃ!!」
パタン!

 執事の背後から飛び出したスティアの足にぶつかりペタンと床に気絶した。

 そう、彼女は昔からせっかちで、周りが見えなくなる。結果、現在…愛しのスティアのおみ足の直撃を受けて倒れたのだった。
(スティアお嬢に蹴られるにゃら…ほんみょうにゃ…)

「きゃあ~ギメラあ~」

 スティアは慌ててギメラを抱き上げ、揺さぶった。

「しんぢゃだめ~」
「…うぷ、ぎもぢ悪いにゃ~」

 ギメラは意識を戻し、スティアはギメラを抱きしめた。

「ギメラ、娘から離れなさい。」
「やだにゃ」
「娘のお帰りのハグは私の楽しみなんだ!スティア~」

 スティアはギメラをパッと離し、ギメラは咄嗟に床に着地、リューイの腕がスティアに伸びてスティアは軽々と持ち上げられた。

「きゃっ。」

 スティアはリューイに抱き上げられたまま嬉しそうに笑っていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される

山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」  出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。  冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?  

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました

有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。 魔力が弱い私には、価値がないという現実。 泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。 そこで目覚めた彼は、私を見て言った。 「やっと見つけた。私の番よ」 彼の前でだけ、私の魔力は輝く。 奪われた尊厳、歪められた運命。 すべてを取り戻した先にあるのは……

やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~

小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。 そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。 幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。 そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――? 「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」 鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。 精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

処理中です...