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しおりを挟む<卒業式当日の朝>
王都のメディアン邸内は騒がしい朝を迎えていた。
自分の部屋で、着替えを済ませたスティアは、老夫婦が待つダイニングルームへと向かった。
「おはようございます。お爺様お婆様。」
祖父母は先に椅子に腰掛け、食事に手を付けずスティアを迎え、挨拶を返した。
「おはよう、スティア。」
そして…いつもニコニコしている祖母はあまり声を出すことがないが、僅かに目を開け、その視界にスティアを写し、席についたまま、小さく頷き笑いかけた。
「スティア、すまない、昨晩…腰を痛めたようで…今日の晴れの姿を見てやれなくなったんじゃ。」
「そうなんですね、お大事にしてください。私は大丈夫です。」
スティアは優しく笑いかけ、侍女グローリアが椅子を引きスティアはその椅子に腰掛けた。
「だが安心しておくれ。辺境から来てくれると聞いておる。」
「そうなんですね、お気遣いありがとうございます。どなたですか?」
「スティアのよく知る人物じゃ。あとは式までの楽しみにしておくれ。」
「わかりました。」
スティアはその言葉に…(もしかしたらサプライズでお父様が来てくださるのかしら?なんだかワクワクする。)
誰も来ないかと少し落ち込みかけたスティアは、パッと明るい表情を祖父母へ向けた。
††††
出発前、屋敷の玄関へと向かう中、足元を付いて歩く黒猫ギメラと後ろから続く侍女のキラルは歩きながら口喧嘩中だった。
「お嬢様の晴れの姿、私が変わりに見届けを!」
「にゃに!キラルなど不用であろう!もしものときは私が人間になりますぞ、んにゃ。」
「黙れちび猫!」
「五月蝿いぞ!化け物。」
「「むっきゃー」」
いつの間にかキラルとギメラは足を止めて対峙する中、スティアとグローリアは扉の外へ行き、馬車に乗り込み始めていた。
「「あぁ~スティア様!」」
慌てて一人と一匹は二人の後を追い、呆れた顔をする執事の前を通り過ぎていった。
いつものメンバーが揃い、馬車内でもギメラとキラルが言い合いになりかけ、グローリアが一喝。
「黙らっしゃい!」
「「…」」
「卒業式にはお身内の参加が決まりです。お二人はスティア様の行き帰りの護衛。今のお二人は騒いでいるだけではないですか!しっかり役目を果たしなさい!」
「「ごもっともです。」」
ギメラとキラルは項垂れスティアは優しく微笑んだ。
「心配してのことよね、ありがとう。でも私は大丈夫よ、今は誰が来てくれるのかとても楽しみなの。ふふふ。」
(お父様は最初はお役目が今大変だからお爺様にお願いしていたようだけど、もしかしたらサプライズで来てくれるかもしれないもの。)
スティアは卒業式が楽しみでならなかった。
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