青色ドラゴン娘は夢を見る

yu-kie

文字の大きさ
上 下
3 / 71
●◇始まりの章◆○

*道中~1*

しおりを挟む
僕は小さな体で走った。

      * * * * *

前世ではよく走り込みとかしていたな。

色んな大会で準優勝とか…懐かしい。

僕は前世で柔道をしていた。

小学、中学と…期待されて
育った僕は…

高校一年の夏に倒れた。

治らない病気…

衰弱する僕を見るのが辛いからと…仕事の忙しさを言い訳にして両親は見舞になかなか来てくれず…

寂しかった。

     * * * * * *

イカンイカン。

今の僕はドラゴンの子供だ。

…走っている途中トラブルに巻き込まれた僕より少し年上の女の子に遭遇した。

頭の中で声がする。

誰だろう?

《私のこと忘れたの?魂を導いてあげたのに?》

突如僕の前に現れたのは、白いたかだ。

あ、言われてみれば…僕の魂がこちらの世界に飛ぶとき…現れた白い鷹がいたような…。

《思い出してくれたみたいね。前世の記憶は見たわ!あなたは格闘家?みたいだし…あなたの能力はこちらでいかせると思うから、闘うイメージしてみて、そしたら体が強化されて思うように体が動かせるはずよ。》

君はいったい誰?

《後で説明してあげる。》

白い鷹は上空に舞い上がり旋回せんかいを始めた。

目の前の少女は盗賊らしきならず者に連れてかれそうだった。

普通の人間なのだろう。ウエイトレス風の姿はとても可愛く、近くの店から引きりだされたようだった。

僕は前世の記憶をイメージに合わせた。

自然に言葉が口からでた。

『強化!』

まだ見ため5歳の僕の体の中が熱を持ち、筋肉のミシミシとしなる音がし、僕は突進した。

『やめろ!』

『ちっこいなまだ赤ちゃんじゃないか!しっしっ!』

向かって行く僕を払い除けようとした大きな男の腕と胸辺りの衣服をつかみ風を切る。

男の体は宙を舞いズシーン!と地面に落ちた。

身長が足りない分は空中を蹴る事で補った。

イメージ通りに技は決まったが、男の仲間が向かってきて僕はしゃがみ右足を伸ばし左足を軸にし空を蹴る。

男は転び、僕は後頭部にかかと落としをくりだした。

街は騒ぎだし、少女が呆気に取られていた。

城から人拐いが来たと知らせを受けた兵が集り彼らは囚われ僕は注目を浴びたが再び走り出した。

城に向かって走り、人混みを抜け、旋回していた鷹がようやくこちらに降りてきて僕も足を止め、鷹が留まれるように腕を空に向けるように掲げると、鷹は理解したのか腕にとまった。

『手短に教えてほしいんだけど。』

《ハイハーイ。》

手短に鷹の説明が始まったのだった。
しおりを挟む

処理中です...