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1章《夢を見る》
僕は夢を見る〈2◆恋?〉
しおりを挟む前日に母から約束をさせられた。
『2度とベットを壊すな。』
…と。
そしてベットも取り替えた次の日の朝が来た。
『今日は何ヵ所か呼ばれているからそこへ行く。』
『はい。留守番だよね?』
『今日からはお前も来い。私の役目と、お前の役目を学ぶいい機会だ。』
『いいの?』
『ああ、その前に直してほしいことがある。』
『なあに?』
『母ちゃんや、父ちゃんは禁止だ!様付けで呼ぶように。』
『母様父様?』
『そうだ!』
母は僕の頭を優しく撫でた。
暖かい。
『わかりました。かあさま!』
『さあ、準備をしなさい。』
僕らは近くの村に呼ばれて飛び立った。
畑の多い…その村からお供え物を差し出され、同伴した黒いドラゴン兵が受けとる。
村の望みを聞き入れ、畑の土に恵の粉を降らせる。
土が生き返り、作物の芽がポツポツとはえだした。
村人の感謝の声を背に再びドラゴンになり舞い上がる。
僕も追うようにドラゴンになって飛び立った。
村には子供たちがいて手を振った。
喧嘩をする子達もいたから僕は魔法を振りまいた。
『癒しの風。』
子供たちに笑顔が戻り。
僕は上空を旋回しそのあと母をおって飛び立った。
その後を…巡回を終えた父がゼイヤさんと他のドラゴンを連れて合流。
『アイ、魔法を使えるようになったんだね。』
『とうさん、おかえりなさい。僕の魔法みたの?』
『ああ、綺麗な青と翠の光の粒が雨のように降り注いでいたからね。見とれてしまったよ。』
『てへへへ。』
誉められて照れる僕に…先頭を飛ぶ母が釘を指す。
『調子に乗るなよ』
『はーい』
僕ら家族のやり取りの中…
ゼイヤさんはじっと僕だけを見つめていることに…
ゼイヤさんに並んで飛ぶ、ドラゴン兵達だけが気づいていた。
『ボソッ、熱視線だなゼイヤ殿』
『だな、俺らの入る余地なしだな。』
そんな話で盛り上がっていた。
両親はそのまま塔の先の方に降り、僕は塔の前に降りると、人に戻った。
ゼイヤさんの姿が見えて手を振ると降りてきて、
人の姿になったゼイヤさん。
『ゼイヤさんだあ~』
僕は尊敬する彼が現れ飛びつくと、受け止めてくれたゼイヤさんが僕の腰をガシッと支えて動けなくなった。
『大丈夫?』
『はい。』
少し視線がぶつかり
…熱を感じるその目がきになってそらせなかった。
僕は母にする挨拶と同じ様に頬にキスした。
『ゼイヤさん、腰がいたいから下ろしてくれますか?』
正気に戻ったゼイヤさんは慌て僕を下ろした。
『姫、私の事は呼び捨てでお願いします。』
彼はそういって顔を紅くして再びドラゴンになって飛び立った。
『呼捨て…?…ゼイヤ。』
僕がささやくとそれに答えるように旋回し、僕はそのあと2回くらい呼捨てで呼んでみた。
彼はその2回、ちゃんと答えて飛び去った。
まるで、夢を見てるみたいな心地いい時間が過ぎ、僕は慌て塔の階段をかけ上がった。
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