赤獅子と可憐な花嫁

yu-kie

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コンヤクノハジマリ

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 戴冠式の夜、お祝いの宴が催され、補佐役のリベロさんの指揮で騎士団は城周辺の警備にあたり、騎士団長、副団長に仕える私は彼らと城内にいました。

 人化に戻った赤獅子騎士団長と副団長、黒獅子軍の大将、中将など、上層部の人物達は広間の隅で情報交換をしていている。

 皇帝は退位した父…上皇帝と姉である皇女を連れてこちらへとやってくれば、赤獅子、黒獅子の代表達と合流して賑やかに…。

 一際目立つのは影の女帝を噂される皇女。

 オレンジ色のドレスに身を包む彼女は鬣を意識したような…白く輝く大きなファーショールを身に着けていた。

「まあ。女性の騎士が見えるのですね?」

 皇女様の視線がこちらに向き、私は慌てて頭を下げれば、カエン様が皇女様に私を紹介してくれた。

「彼女は私の部下…ミュウラ・レッド・ライーズです。」
「皇帝陛下…皇女殿下お会いでき光栄です。ミュウラと申します。」
「まあ素敵。ミュウラ・レッド・ライーズは、あの宰相のご息女ですね?」

 そこに返事をしたのはカエン様の父、騎士団長が私の代わりに答えてくれました。

「はい…宰相マイラーの娘でございます。」
「そう。同性の護衛を探していたのですが、陛下…彼女を私の側に置いてくれませんか?」
「それはいけないよ、ムーア。彼女は赤獅子の種族。ムーアの護衛に赤獅子の種族を置けば黒獅子の種族と我らの金獅子の種族が黙ってはいないよ。」
「そう…残念です。」


 結局話は進むことはなかったのだけど、突然の皇女様の申し出に私は舞い上がりそうになった。鋭い視線を感じて振り返るとそこにカエン様が私を睨んで、私は現実に引き戻された。

(カエン様…怒ってます?あ、ああ…私を騎士団に呼び寄せてくれたんですものね。なんだか複雑…やっぱり引き抜きが目的で私との婚約を決めたのかな。)

 私は何だか胸が締め付けられて、カエン様から目をそらし、うつむいた。

(だって…皇女様の話も騎士としての私を必要としてくれていってくださっての話だもの…)

 今までおそばで騎士ができるだけで幸せだと思っていたけど、カエン様は私の事…どう思っているのかしら。

 
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