愛され魔女の治療院

愛され魔女の治療院

閑話

　治療院の休憩時間。

　カボチャの形の治療院内、待合室は只今女子会を開催していた。

　光沢のある白いローブを身につけた、高位の魔法使いが焼菓子を頬張り、シャロの恋の話にコクコクと頷きながらティーカップを手に取ると口元に運び…ひたすらに…飲み食いを続けていた。

「ステラさん、聞いてます？私こういったお話し免疫無いのご存知でしょ？どうしましょ。私…キアヌさんは良い人なんです。私にいつも優しくて、紳士的で…お花も毎日プレゼントしてくれて…結婚は前提だからお付き合いしてからどうするか決めて良いそうなんです。だからお付き合いする事になったんですけど…恋人になったから…キアヌさんからお家に招待されたんです。キアヌさんの家族に会うべきか。私は得体のしれない最強魔女ですよ？魔王の配下に勧誘されるような怖～い魔女ですよ？私…やっぱり…キアヌさんの恋人として会わないほうが…」

「シャロ、今日は予定が空いてると聞いたから主の礼もかねて久々に会いに来てみれば…恋人になって？家族に？」
「ええ。ステラさんよく食べますわね。」
「めでたい話すぎて聞きに徹してましたけど…はぁ。。あなたは底しれない力を隠しておくなんて難しい事ではないでしょう？事細かに説明なんて誰も求めていないだろうし。それに、なんでもニコニコして、仕事をこなして来ているだろうあなたに変わらず花束抱えて求愛してるなら、大丈夫でしょ。」
「あら、ステラさん…あなたに話したらスッキリしました。」
「そう？」
「ええ。」
「シャロ…卒業してから良い意味で変わってなくてよかったよ。」
「ステラさん、立ってくださる？」
「ん？」

　ステラが席を立てばシャロは自分より一回り小さな背丈のステラをギュッと抱きしめた。

「ステラさんありがとう。あなたも夢を叶えて輝いててよかった。」
「うん。」

　女子会は盛り上がり、午後の診療を休診にすると…二人は治療院を出て街へと散策にでかけた。



　仕事を早く切り上げた騎士が一人、治療院を前にして、休診の札を目にすると、少し残念そうに帰ってゆくのだった。