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しおりを挟む皇太后様は最後にこう言われました。
「そのネックレスは選ばれたものだけが身に付けられるもの。あなたがそのネックレスの持ち主よ、花嫁候補に奪われないよう気を付けなさい。」
私はコクコクと頷くと…皇太后様は柔らかい笑みで私にそうおっしゃって、緊張した部屋の空気は和やかになっていました。
「あ、お茶をお持ちします。」
「ありがとう。」
私がティーセットの準備を始めると、皇太后様は読書を始め…私はようやく仕事モードに気持ちを切り替えたのでした。
+ + + + + + +
皇太后様付きの侍女見習いになった私ですが…皇太后様が体調のよいある日、実の姉とその娘達とのお茶会に御出掛けすることになり、私は護衛も兼ねて同行することになりました。
「キキョウ、厄介ごとに巻き込まれないためにも…あなたはなるべく目を伏せていなさい。」
出発する馬車のなかで皇太后様にそう言われ素直にそのように振る舞うことにしました。
皇太后様のお姉様の嫁ぎ先の領地までは王都からさほど遠くないため30分ほどで到着。
私は護衛メインでお側に待機して、皇太后様付きの先輩侍女のお手伝いをちょこちょことして…お茶会は…皇太后のお姉様の娘の将来の話になっていました。
「カイ王は心に決めた方がいるそうだけど…嫁をとらない口実ではないかしら、3人の娘を花嫁候補として…紹介してはどうかとおもっているの。眷族だし…血は濃い方がよいと思うの。」
「御姉様…カイは嘘はついていないのです。まだ国に民を呼び戻して間もないですから…人員の配置や政策など決めることも多くて忙しくしているのです。いずれカイが自分でその花嫁を連れて来るでしょう。」
「そう…」
「お母様」
皇太后様のお姉様とその娘でらっしゃるお嬢様がたは残念そうにされて…お姉様は少し険しい顔をされ、お茶会は終わりました。
お姉様と屋敷の侍女に見送られ馬車は出発、途中馬車が揺れて止まり、窓から外を覗けば…同行している従者が盗賊と遭遇して、剣の打ち合いが始まりました。
「皇太后様、私たちがついております!」
先輩侍女が、体の弱い皇太后様を包むように抱き締めてるなか、私は護衛用に持ち歩いている剣の柄を右手に持ち、左の手で鞘を握りしめ、警戒中です。
外では従者が苦戦していて…馬車に手をかける盗賊が現れました。扉が開け放たれ、私は盗賊に飛びかかり剣を振り、敵を散らし…その繰り返しで馬車への盗賊の侵入を食い止めることに成功。実戦は初めてでしたが…目の奥が熱をもったような感覚に陥ってました。
調度その時…空を竜に変化できる一部の眷族から結成された、竜士団の竜達が急降下して、盗賊たちを一網打尽にしてくれました。
そして落ち着きを取り戻し体制を直して馬車は再び走り出しました。そこからは上空から竜士団の監視下の中、馬車は安全に王都へと入り…城近くに構えた離宮にたどり着いたのでした。
そして…『紅い目の少女剣士が皇太后を守った。』との噂が王の耳に届いたのを知ったのは、次の日の侍女頭の朝礼のときでした。
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