紅の騎士と魔女の花嫁

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第2章 淡雪の魔女の娘

第2章 プロローグ

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 淡雪の魔女と紅の騎士…二人は私の両親。私の名はチュナ・ユーイリ。父ライドは仕事に真面目な人です。母には一目惚れだったそうです。リーアス家の年老いた両親は、父ライドの姉の交際相手である義理兄を婿に迎えていたため、母が一人娘だった事もあり、ユーイリ家は父ライドを婿に迎えたのでした。

 私がチュナ・ユーイリである理由です。


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 リナの娘チュナが産まれて2歳を迎えた頃、都では、皇太子が花嫁を迎えるパレードが行われていました。

 キュア国の象徴である『淡雪』を扱える魔法使い達が力をふるい、そのパレードを盛り上げました。

 聖なる力を持って産まれた、王家の親戚筋に当たる、現在、財務大臣を勤めるバハード家の令嬢は、数多くいた花嫁候補者達が認めた唯一の女性、ヒナ・バハード。彼女は波乱な半生を送り、最愛の人と、ようやく幸せを手に入れたのでした。



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  数年前に起きた皇太子の乱心で、ヒュシン・ティーナに妃の話が持ち上がった頃もあったが、王妃の機転により、ライバル視をしていたヒナ・バハードに、ヒュシンは周りの人間達を魔族の力で操り悪質な嫌がらせを続けていたことが判明。王妃の断罪を受けたヒュシンをヒナは責めることなく、清らかな心で場を治めたのでした。

 ヒュシンは、ヒナの優しさに一時はその罪を受け入れようとし、素直に捕らわれたのですが、幽閉されるなか、蜥蜴のダーナーがヒュシンを取り戻そうと、悪魔の囁きをしました。ヒュシンは王妃がリナのもとで占いをしたことを知り、それをきっかけにし、淡雪の魔女へ怒りの矛先を変えたのでした。


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  ヒナは清い心、浄化の力を持つ選ばれた聖女。結婚式を迎えたこの日は、薄い雲が広がり少し暖かく穏やかな風が吹き、暖かな陽気により、雪溶けした石畳を馬車が走り教会へと向かいました。

  魔女のリナは淡雪の魔法使い達とその力を使い、淡雪を操り芸を披露。リナはこの髪色から、孤立する事も多く、あまり人との関わりを避けてきたのですが、最愛の人を見つけ、その子を産み、今ではこうして人の輪に自ら入り、楽しむことができるまでになり、この日リナはチュナを連れてパレードに参加したのでした。

  ライドは馬に乗って警護にあたっており、パレードの最後尾でめを光らせ…移動中、魔族の残党が乱入し、ライドはその剣を抜けば、剣舞のように優雅に敵を倒しました。

 皇太子と妃をのせた馬車が無事にその場からさり、残されたライドは兵が侵入者を捕らえ連れて行くのを見届けると馬を走らせ、パレードの最後尾につき、護衛を再開。幼いチュナはその光景を目に焼き付けたのでした。

「お父様は最強の騎士なのよ。素敵ね。」
「あい。」

 リナにだっこされたチュナは肩に這い上がるように身を乗り出して父が見えなくなるまでめを輝かせてその背を見送り…その日の出来事がきっかけになり、チュナは騎士を目指すことになってゆくのでした。



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  私、チュナ・ユーイリは15歳を迎えました。父のような強い騎士を目指し日々鍛練を続けています。

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