黒い仔猫と風使いの番人

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7話 魔女の報復②

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 黒い霧が吹き飛ばされ、操られていた獣人達はふらふらと動きが鈍くなる中、再び霧が辺りに広がり、狼獣人たちを飲み込む。

 霧にのまれた獣人達の首に黒い鎖の首輪が現れ、獣人達は再び戦闘モードになりトーマ達に飛びかかる。

 呪いの力の増した狼獣人達の力に負傷者は増えてゆく一方、トーマは攻撃を防ぐ魔法を繰り出した。

ウインドシールド

 無数の魔法陣の盾を出現させトーマは同行する兵士、魔法使い達を襲う狼獣人の攻撃を最小限に防ぐ。

『小さな坊や…私の可愛い仔猫を拐った憎い子。あの仔猫の代わりにしてやろうか…フフフ…』

 トーマはその声の力に体を微かに震わせながら…呪いの力により増し続ける狼獣人の攻撃に風の盾を放つが…焦り始めた。

(聖樹リプ様…彼らを救う力をお貸しください!)

 「どうか…」

ドクン、ドクン、ドクン…

「『トーマよ、お前に眠る力を使うのです。アシュを救った優しい力を…』」

 トーマの脳内に語りかける聖樹リプの声にトーマは戸惑う。

「あなたにあげた生命は特別よ」
「聖樹様の加護があるからね」
「「きっと大丈夫。」」

 トーマの前に突然現れた現れた番の黒猫は飛び跳ね消えた。
 
「あの時僕に生命を分けてくれた猫…うん、そうだ!僕は以前の僕じゃない。」

 冷静を取り戻したトーマは祈り始めた。

 聖なる風を呼び起こす儀式の時の様に、トーマは風に包まれ始め、トーマへの攻撃は全てトーマを中心に回る風の渦に弾かれていた。

「浄化の光をこの地へ導け。」
呪いカース掃除クリーン!!」

 トーマを囲う様に渦を巻く風はキラキラと光りを増し、爆発するように山脈に爆風をおこし、木々が激しく揺れた。黒い霧がたちまち消えると…晴れた空からキラキラと輝いて降る無数の光の粒。爽やかで、それでいて澄んた柔らかな風が吹いていた。

 狼獣人達の首の鎖は消えた。

 彼らの表情にも感情が戻り始め…彼らは疲れたようにその場に倒れて行く。闇の魔女の気配は消えて不気味な声もしなくなっていた。

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