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序章
神々の起源と争いの発端まで
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天地が創造されるまで、世界は一面のカオスで覆われていた。カオスにはあらゆる概念の種が存在し、散らばった糸くずをこねたりばらばらにして遊ぶように、それらはくっついたり、混ざったり、取り込んだり、分離したり、あるいは産み落とされた。こねた糸くずを放置すると特に短い糸は崩れ落ちてしまう、そのようにカオスから分離したガイア、タルタロス、エロース、エレボス、ニュクスは孤立した概念として世界の基盤となった。
ガイアたちは不死の神である子どもを産み、その子ども同士が結婚し子どもをつくることで世界を形づくり、その一方で概念の塊であるカオスを否定した。
ガイア以下神々の最たる責務はすべての概念を区別することで、世界がまたカオスに包まれないようにコスモス(秩序)を維持することである。
世界のコスモスを維持するオリュンポスの神々は被保護対象である人々に信仰されることで存在証明を得る。だから神々は、人が信仰を蔑ろにする度にそれを種族諸共滅ぼし、新たな種族を生み出すことで信仰を確立していた。この連鎖は4回行われ、現在の鉄の種族至る。
鉄の種族は体格も性格も千差万別で、大半の心底は汚れ、性能こそ前種族たちに劣るが、心の弱さ故に神々に救いを乞い、それに神々は救いとして苦楽を与え、安定した信仰を得ていた。
神々の主ゼウスの計らいによって心が汚れていた鉄の種族は迷走していた。苦難ばかりを与える神々に絶望する者や憤慨する者、信仰を捨てる者、または神に成り上がろうとする者もいた。これに対しオリュンポスの神々はあらゆる手を使い、それらの民を罰して回った。神々があちこちに駆り出されたことで、世界を監視する目は疎かになっていた。鉄の種族の出生に大きく関わり、後に対立したゼウスに不信感を覚えていたプロメーテウスは、この機を逃さずに背神思想を各地に広め、やがて自身を唯一神とした「プロメーテウス教団」を作り上げた。鉄の種族の半分を取り込み、固い結束と神々への強い反抗心を持った教団は大国と化し、オリュンポスの神々の手に負えなくなるほどの強大な組織となった。
プロメーテウスは強い決意を持っていた。鉄の種族を第一に考えている彼は神の存在に疑問を抱いた。
「コスモスはすでに民の心に備わった。これからは神に頼らない時代だ。」
と自らを慕う民に告げ、全ての神を滅ぼすと誓った。
神々を信仰していた民の半分がプロメーテウスに寝返り、残ったのはわずかな信仰深い民と神々に失望するほどの信仰を持っていなかった民だった。大神ゼウスは考えた末に、信仰深い民を筆頭として12の国々をつくり、自らを含むオリュンポスの12の神々をそれぞれの国の信仰神として配置した。今までいがみ合いの絶えなかったオリュンポスの12神も協力しあい、自分らを滅ぼさんとするプロメーテウスに立ち向かった。
それから99年の年月が経った。
些末な争いや紛争は度々あったものの、鉄の種族の暮らしはごく平和だった。二つの勢力が敵対しているのは変わらなかったが、矮小ながらで和解を呼びかける勢力も出てきた。しかしオリュンポスの神々とプロメーテウスの緊張感は収まることなく、それどころか日に日に増してゆくばかりであった。
その理由は、かつて民の未来を決めていた神々は、信仰の衰弱によってその力を失ったとはいえ未来を視る目は健在だった。そしてその目には、両勢力が敵対してからちょうど100年目の月日に、互いの存亡を賭けた争いが起こることが示されているからであった。
争いの結末を、どちらの天秤の皿を傾けるかを決める力はカオスが握っていた。
ガイアたちは不死の神である子どもを産み、その子ども同士が結婚し子どもをつくることで世界を形づくり、その一方で概念の塊であるカオスを否定した。
ガイア以下神々の最たる責務はすべての概念を区別することで、世界がまたカオスに包まれないようにコスモス(秩序)を維持することである。
世界のコスモスを維持するオリュンポスの神々は被保護対象である人々に信仰されることで存在証明を得る。だから神々は、人が信仰を蔑ろにする度にそれを種族諸共滅ぼし、新たな種族を生み出すことで信仰を確立していた。この連鎖は4回行われ、現在の鉄の種族至る。
鉄の種族は体格も性格も千差万別で、大半の心底は汚れ、性能こそ前種族たちに劣るが、心の弱さ故に神々に救いを乞い、それに神々は救いとして苦楽を与え、安定した信仰を得ていた。
神々の主ゼウスの計らいによって心が汚れていた鉄の種族は迷走していた。苦難ばかりを与える神々に絶望する者や憤慨する者、信仰を捨てる者、または神に成り上がろうとする者もいた。これに対しオリュンポスの神々はあらゆる手を使い、それらの民を罰して回った。神々があちこちに駆り出されたことで、世界を監視する目は疎かになっていた。鉄の種族の出生に大きく関わり、後に対立したゼウスに不信感を覚えていたプロメーテウスは、この機を逃さずに背神思想を各地に広め、やがて自身を唯一神とした「プロメーテウス教団」を作り上げた。鉄の種族の半分を取り込み、固い結束と神々への強い反抗心を持った教団は大国と化し、オリュンポスの神々の手に負えなくなるほどの強大な組織となった。
プロメーテウスは強い決意を持っていた。鉄の種族を第一に考えている彼は神の存在に疑問を抱いた。
「コスモスはすでに民の心に備わった。これからは神に頼らない時代だ。」
と自らを慕う民に告げ、全ての神を滅ぼすと誓った。
神々を信仰していた民の半分がプロメーテウスに寝返り、残ったのはわずかな信仰深い民と神々に失望するほどの信仰を持っていなかった民だった。大神ゼウスは考えた末に、信仰深い民を筆頭として12の国々をつくり、自らを含むオリュンポスの12の神々をそれぞれの国の信仰神として配置した。今までいがみ合いの絶えなかったオリュンポスの12神も協力しあい、自分らを滅ぼさんとするプロメーテウスに立ち向かった。
それから99年の年月が経った。
些末な争いや紛争は度々あったものの、鉄の種族の暮らしはごく平和だった。二つの勢力が敵対しているのは変わらなかったが、矮小ながらで和解を呼びかける勢力も出てきた。しかしオリュンポスの神々とプロメーテウスの緊張感は収まることなく、それどころか日に日に増してゆくばかりであった。
その理由は、かつて民の未来を決めていた神々は、信仰の衰弱によってその力を失ったとはいえ未来を視る目は健在だった。そしてその目には、両勢力が敵対してからちょうど100年目の月日に、互いの存亡を賭けた争いが起こることが示されているからであった。
争いの結末を、どちらの天秤の皿を傾けるかを決める力はカオスが握っていた。
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