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✼••┈第2話┈••✼ 後半(招待)
しおりを挟む翌朝。私は軍専用の馬車に乗り王都ベルサールへ向かった。
私の所属する支援部隊はアレイラ帝国との国境付近で兵士の治療を行っていた。ここから王都に戻るまでは、丸一日はかかる。
私は馬車の中で一人、アレイラ戦争について考えていた。
アレイラ戦争。
アレイラ帝国がカザーフ王国へ侵攻したのがきっかけだ。
現在、カザーフ王国にあるトナナ村が彼等に制圧されている。
トナナ村はカザーフ王国とアレイラ帝国の国境付近だ。
アレイラ帝国がトナナ村へ侵攻し、制圧したことからこの戦争が始まった。
それ以来、トナナ村付近で二国間の戦争が絶え間なく続いている。
「……」
私はお守りを取り出した。鞘に納められた剣のお守り。
これはアレイラ戦争が起こる前、私が冒険者だったときにアレイラ帝国で購入したものだ。”戦守り”と呼ばれ、持っていると戦いで生き残ることが出来ると言われている。
冒険者としてアレイラ帝国を訪れた時、すでに戦争が起きそうな予兆はあった。アレイラ帝国が財政難という噂が流れ、治安も悪かった。
アレイラ帝国の実権を握っているのは極右政党だそうだ。財政難を解決するため、彼らの取った手段が他国侵略である。
「どうして、他国から借金をするって方法を取らなかったのだろう……」
私はつぶやいた。
財政難に陥っているのなら、カザーフ王国に助けを求めればよかったのではないかと。
きっと国家間の”駆け引き”というものも絡むのだろう。
「アレイラ帝国の狙いがなんであれ、私は戦争を止めカーザフ王国民を守るわ」
再び独り言を呟き、私は背伸びをした。なんだか眠気を感じる。
王都に着くのは明日以降。今日は馬車の中でのんびり過ごそう。
「ちょっと寝よう」
私は馬車の車体に体を預け、仮眠を取った。
✼••┈┈••✼••┈┈••✼
馬車旅を終え、私は王都に着いた。
御者と馬に感謝の言葉を告げた後、私は宮廷警護団本部へ向かった。
「……緊張するなあ」
本部の扉の前に着き、私は大きく息を吸った。そして、息を吐きだした後、来客を知らせるベルを鳴らした。
しばらくするとドアが開いた。
宮廷警護団の制服を着た綺麗な女性が立っている。私より少し背が高く、白い肌をした彼女は、灰色の髪が肩まで伸びている。帯剣していないため、魔導士のようだ。彼女の青い瞳がこちらをじっと見つめている。どうやら警戒されているようだ。
「あなた……」
「わ、私、昨日付で宮廷警護団に配属されたナオと申します」
「ナオ……、ああ、あなたがそうなの。噂には聞いているわ。どうぞ入って」
「よろしくお願いします!」
「……挨拶は中に入ってからにして頂戴」
女性に招かれ、私は建物の中に入った。
扉を開けると、試合が出来そうなほどの広さのある広間があった。天井には豪華なシャンデリアが吊るされている。
私は女性に案内され、二階へ上った。廊下を少し歩き、他の部屋とは違う豪華な装飾がされているドアの前に着いた。
「ここが団長室。団長があなたを待っているわ」
「はい。案内していただきありがとうございました」
「……」
私は案内してくれた女性にお礼を言い、団長室のドアをノックした。少し経ってから「入れ」と低い声が聞こえた。
「失礼します」
私はドアを開け、団長室へ入った。扉を閉め、部屋の中央まで進んだ。
そこで静止し、上官に自分の名を名乗った。
「昨日付で宮廷警護団に配属されたナオと申します! よろしくお願いします」
敬礼をし、深々と頭を下げた。
「頭を上げろ」と男に言われ、ナオは初めて男と対面する。
ザリウス団長。通達に書いてあった名前だ。
茶の髪を短く切り揃えた褐色の肌の体格のいい大男。宮廷警護団の制服は彼の筋肉ではちきれそうだ。
「俺はザリウス。宮廷警護団の団長だ」
ザリウスは私の元へ近づき、手を差し出された。私はそれを握り、握手を交わす。
ナオは握手をされたことに動揺した。カザーフ王国の挨拶は会釈だからだ。
「どうかしたのか」
「いえ、なんでもありません」
握手をする国はどこだったっけ、と考えを巡らせていると、ザリウス団長に声をかけられた。他の事を考えているのも失礼だ。私は考え事を止めた。
「ナオ、よろしくね」
「え、さっきの人」
「エレナにもう会っていたのか」
「エレナ……、さん」
団長室に誰か入って来た。
それは私をここまで案内してくれた女の人だった。彼女の名はエレナというそうだ。
エレナは胸を張り、改めて私に名乗った。
「私は宮廷警護団の副団長。あなたの上司よ。これからビシバシ鍛えて行くから、覚悟しなさい!」
「は、はい!」
この人が副団長。そうとは知らずに案内をさせてしまった。
私はエレナ副団長に「よろしくお願いします!」と頭を下げた。
エレナ副団長は腕を組み「ふんっ」と鼻を鳴らした後、そっぽ向いた。副団長だって気付かなかったからすねちゃってるのかな。
「ナオ」
「はい、ザリウス団長。なんでしょうか!」
「早速だが、お前に任務を申し付ける」
「はっ」
王都に来て早々、任務を申し付けられるなんて。
宮廷警護団と名前が付いているくらいだから、王族や要人の警護を任されるのかしら。
私は任務の内容が何かと浮かれていた。
「エレナと共に前線へ向かい、負傷者を治療しろ」
「え……、あ、はい」
「お前は他の白魔導士よりも抜きんでた才能がある。それを伸ばすには、戦地に放り込んだ方が効率がいい」
「わ、分かりました! 私、戦地へ行って参ります!」
私は団長、副団長に挨拶して早々、戦地での実践任務を行うことになった。
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