ある時計台の運命

丑三とき

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王都

お友達

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「ジルルドオクタイ・ジル」

パッと頭から手を離したジルさんは、再び王様の前に跪いた。

「はい」

「今日からアキオ殿はお前が預かれ。軍城ならば安全だろう」

「御意」

いやいや…話が大きくなってきたぞ。

「お前の部屋は隣が空いていたな?
アキオ殿を危険に晒すことは許さん。命をかけて守れ」

「かしこまりました」

「あ、いや…でも、ジルさんはお仕事でお忙しいのに」

「アキオ殿、いくら王都とはいえどこに危険が潜んでいるかわからない。彼ほど力のある者がそばに居れば安心だ」

「でも…」

戸惑っていると、ジルさんが姿勢を保ったまま呟く。

「アキオ、心配は要らない。それに王からの命めいが無かった場合、私からそのように進言するつもりだった。
仕事に出向くことが増え今までの生活とは少し変わってしまうが、これまで通り、一緒に過ごしてはくれないか?」


使い果たしたと思っていた運が、まだ残っていたのだろうか。
僕はもしかしたら世界一幸せかもしれない。
好きな人に一緒に過ごそうって言ってもらえるなんて…これってなんか、プロポーズされてるみたい…


いやいやいや違う違う違う。
そうじゃないって分かってます。
ちょっとぽいなーって思っただけです。
急に頭の中お花畑になってしまって、体が燃えるような恥ずかしさが込み上げる。

頭にのぼる熱になんとか耐えて
「はい…」
と返事をした。

「よし。話は纏まったな。
ところで、ジル。さっきからお前のその気持ち悪い態度はなんとかならんのか」

「しかし…」

「ここには臣下も警備も入れていないのだから、そのような改まった態度は吐き気がすると言っているんだ。早くそのとんちんかんなポーズをやめろ」

王様は、急にジルさんに悪態をつき出した。

「では、そうさせてもらおう」

立ち上がったジルさんは、目を丸くする僕に向かってケロッとした顔で
「ヴェインとは古い友人でな。」
と、衝撃の事実を伝えてきた。

「王様と、お友達…」

「友人に跪かれる俺の気持ちにもなってくれ。まあ、それはいい。そんな事よりジル、お前今回もやりやがったようだな」

「…?というと」

「というと、じゃねえよ。
早死にしたいのかこの大馬鹿者!」

「早死に……」

「2ヶ月も潜入していたらしいな、敵の拠点に。
何考えてやがる。己の能力を過信しているといつか痛い目を見るぞ脳みそ筋肉野郎」

すごい怒られてる。ジルさんかわいそう。
というか王様さっきと全然口調が違うけど、どっちが本当の王様?

「いくら傷の治りが早いとはいえ、無茶をしすぎだ石頭」

あ、石頭は賛成。

「…返す言葉もない」
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