ある時計台の運命

丑三とき

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王都

再開②

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「おや、アキオ君…なんだか楽しそうですね。良いことでもあったのですか?」

「はい。皆さんとこうやってお話できるのが嬉しくて、浮かれています」


正直にそう言うと、4本の手が伸びてきて頭やら背中やらをわしゃわしゃされた。
慣れ親しんだ優しい手つきに旅での思い出が蘇る。


「もう、相変わらず可愛いんだから~」
「本当に。メテの言う通り、うちの子にしてしまいたいくらいです」
「そうでしょうそうでしょう?」


2人のなでなでを満喫していると、ユリが小さなため息をついた。

やばい。
怒られるやつだ。

「まったく、イガ隊員とメテ隊員もですか。
まあお二人ならアキオ様に危険が及ぶことは無いでしょうけど…」

あら、怒ってない。ラッキー。

「そっかそっか。ユリッタは可愛いもの好きだったね。アキオ君、可愛いもんね~」

「メテ隊員!アキオ様は、可愛いの一言で片付けて良いお方ではありません!美しく気高いアキオ様の魅力は…なんとも、こう!壮大な大地のような!太陽に照らされた湖のような!もうこの世の概念では言い表せぬほど尊きものであり!」

「はいはい、分かった分かった」

メテさんは呆れた顔で言い放つ。イガさんも苦笑いしてる。


ソファに促されてユリと並んで腰掛けると、テーブルを挟んで向かいのソファにイガさんが座った。
ジルさんの部屋よりも少しこじんまりしてるけど充分広くて、シンプルで質の良さそうな家具が並んでいる。

「メテ。お茶」

「はい!ただいま!」

相変わらず尻に敷かれてるんだなあ。

命令を受けたメテさんは、台所と思われる隣の部屋にすっ飛んでいった。


「それでアキオ君。どうですか?お城の暮らしは」

「はい。王様もユリも優しくて、とても快適に過ごしています。と言っても、まだ分からない事の方が多いのですが…」

「聞きました。例の件について、アキオ君が調査に協力することになったと…。
いいですか?無理は絶対にいけません。焦らずゆっくり、自分のペースで、ね?」

「はい。ありがとうございます」

「アキオ様にご無理など絶対にさせません。
野蛮な男からもわたくしが必ず守ってみせますので、ご安心を!」

「ふふ、ユリッタさんが側にいらっしゃるのなら安心ですね」

「イガさん。ユリすごく頼りになるんです。
それに一緒にお話してて楽しいし。ね?」

「ぐふっ!アキオ様ッッッッ!!!!!!
わたくし寿命が倍に伸びましたッ!!」

また変な事を。
ダメージ受けてそうな鳴き声漏れてたけど大丈夫なのかな。


「相変わらずだねユリッタ」

ティーポットやカップを乗せたトレーを持ったメテさんが現れてユリに声をかけた。


「アキオ君。ユリッタはね、普段つんけんしてるけど可愛いものを見ると人が変わるんだ」

「メテ隊員!アキオ様に余計なことを言わないでいただきたいのですが」

「僕ユリの話聞きたい。だめ?」

「ダメな訳ないでしょう!!!なんでもお聞きください!!!!」

ユリは頭を抱えて叫んだ。

「上目遣いはやめてあげてよ。悶絶してるじゃない」

「ああ……ごめんなさい」


メテさんはテーブルにお茶を並べながら続ける。

「それにしても、ユリッタが訓練生を辞めたって聞いた時はびっくりしたけど、今ではすっかり敏腕になっちゃって。
誰もが認める優秀な給仕だって軍の中でも有名だよ。
あとめちゃくちゃ怖いっていうのも有名」

「また余計な噂を…」


「訓練生?」


優しいユリが『怖くて有名』っていうのに引っかかったけど、食堂でのクリスさんとニーソンさんの反応を思い出したら、まあ…分かる気がする。

それよりも訓練生って、何のだろう。

「アキオ様にはまだ申し上げておりませんでしたね。わたくし、給仕をする前は訓練生として軍に在籍しておりました。メテ隊員は一期先輩にあたります」

「へえ…そうだったんだ」

なるほど、だからあんなに筋肉もすごくて腕っ節も強いんだ。
でもそんなに優秀ならなんで辞めちゃったんだろう。

「むさ苦しいのに耐えられなくて辞めたんだよね」

僕の頭の中を読んだようにメテさんが言う。
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