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続編その②〜魔力練習編〜
21.禁欲
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次の日から、それはもう大変な日々が待ち受けていた。
何が大変かって、禁欲が。
「では、行ってくるよハルオミ。いいかい?決して無理して動かないように。辛くなったらすぐに知らせるんだよ」
「……はーい」
ベッドから投げかけるやる気のない返事。でもゆるしてほしい。とにかくしんどいのだ。
あの日の情事のせいで、言わんこっちゃない、発情期のサイクルがずれてしまった。フレイヤさんをけしかけて思い切り抱いてもらったのだから、自業自得もいいところ。
覚悟していたことだけど、いざこの時期になると眠くてだるくて泥沼にいるみたいで、とにかくしんどい。
それに、しんどいのはそれだけじゃない。
フレイヤさんが出て行った枕元には、彼が一晩着て寝ていた寝巻き。
恐る恐る鼻を近づけると、ぶわっと全身に甘くて蕩けそうな甘美な匂いが駆け巡る。
「ん、もう……こんなのがまんできないよ……」
体は正直で、中心が既に存在を主張し始めている。
禁欲療法とは、あえて欲情する状況を作り出しその状況下で禁欲を実施することで発情を促すという、クールベさん発案の治療法なのだ。
「じごくだ……」
クールベさん悪魔だよ。よくこんなこと思いつくよな。
そりゃ、僕のために考えてくれたことだってのはよーくわかってる。
発情期が終わらない限り、気力や体力の低下に始まり、ネガティブ思考になって泣き虫になって自己嫌悪に陥って、しかもそれが体調不良と重なって最悪な状態から抜け出せないのだ。
「いろんなひとに助けてもらってるのに、またこんなネガティブなきもちになっちゃう」
やけくそになって、フレイヤさんの寝巻きを顔に押し付ける。
大好きな顔が瞼の裏に浮かんだ。
「きょうの朝のフレイヤさんも、かわいかったな……」
いつもシャッキリしている切れ長の目が、朝は少しとろんとして目尻が下がる。
それが可愛くてよしよししてあげたら、ふにゃってした笑顔で笑うんだ。
「思い出したら、きゅんきゅんしちゃう」
僕を膝に乗せてアイスクリームの乗ったフレンチトーストを食べている時、口の端っこにアイスがちょこんと付いていた。
ほんとはちゅーして取ってあげたかったけど、朝からそんなことしちゃったら我慢ができなくなるので、指で拭った。
そしたら、「おや」と言ってこれまたふにゃって笑ったんだ。
「ふふっ、『おや』だって。ポケーっとした顔もかわいかったなー」
こんなにフレイヤさんを可愛い可愛いって思っちゃうのって、やっぱりクールベさんのいう「ホルモン」とやらの影響なのかな。
でも、それだけじゃなくてやっぱり日に日に僕の気持ちが増していってる気がする。
愛しい気持ちがおおきくなるたび、彼を「可愛い」って思う気持ちも一緒に大きくなる。
「きょうのよるは……いっぱいポンポンして、ギューしてあげよ。フレイヤさん喜ぶかなぁ」
彼の蕩け切った笑顔を想像した。
のに、
「ハルオミ、よしよし、あぁ可哀想に……君は本当によく頑張っている。つらいね、もうすこし耐えておくれ」
「ゔぅ……フレイヤさんのいじわる、もっとさわってほしいのに」
僕がよしよしされる側になっていた。
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