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東の祓魔師と側仕えの少年
2.目覚めは銀色の膝枕
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◆
なんだろう。とても気分が良い。
後頭部から首にかけて当たる枕がちょっと硬いけど、いい匂いがして、ぽかぽかする。こんなに気持ちよく眠れるなんて今日はあまりにも運がいい。
でも、なんで眠れたんだっけ?
…………いや。
さっきまで僕は学校に居たはずだ。帰ろうとして外を歩いていて、そうだ、頭に何か落ちてきて……もしかして学校で気でも失ってしまったのだろうか。
これはまた変なあだ名付けられてしまうかもしれない。半目どころか、「気絶君」なんてあだ名をつけられたらどうしよう。まああいや。眠れたのだから何でもいい。
でもいつまでも寝ていたら帰るのが遅くなってしまうから、とりあえず起きなきゃ。今日はお花を買ってお墓参りに行くんだ。
「ふぁ~ぁ、よく寝た……」
「あぁ、本当によく眠っていたね」
え…………
「誰?」
目の前には見知らぬ人がいた。目の前というか、真上?
くっきりとした切れ長の目で、彫りが深くて、風になびく長い銀髪は繊細で、鼻はすっと高くて、肌もすべすべしてそう。モデルさん?
でもその綺麗な目の下には、肌の美しさに似合わないクマがはりついている。彼も僕と同じで眠れないのかな?
「それはこちらの台詞だ。君は……一体何なんだい?」
少し驚いた顔をしてる。
驚いているのはこっちの方だ。
「半間晴臣です。高校3年生です」
ひとまず自己開示をして、怪しい者ではないことを主張してみる。が、
「ハンマハルオミ? コーコーサンネンセー? どちらが名前だい?」
不思議そうな目で見られてしまった。
「高校3年生」が通じない?
この人もしかして高校3年生だったことないのかな。綺麗な銀髪だし、留学生かもしれない。いや、もしかして新しく来た英語の先生とかかな。どちらにしても言葉が流暢だ。すごいなあ。僕なんて中学生から英語の授業の受けてるけど全く話せないもん。
彫刻のような、彫りの深く美しい顔をずっと見つめていると、彼の耳にかかっていた細く柔らかい髪が一房するりと落ちて僕の頬を掠めた。
その不自然な重力に、初めて自分が膝枕をされていることに気がつく。硬いと思っていた枕は、この人の鍛え上げられた筋肉だったようだ。
人の脚の上で寝こけていたなんて。いい加減起きないと怒られてしまう。よっこいしょと手をついて、なけなしの腹筋を使って起きあがろうと試みる。
「そのままでいいよ」
「わあ」
肩を押さえられて膝に逆戻り。
まあいいか、心地いいし。
周りを見渡すと、四方を建物に囲まれただだっ広い中庭みたいなところにいる。あたりには、気を失う前に頭にぶつかったやわらかい梅のような花の香りが漂っている。しかし周りにある花や木はどれも梅とは違うようだ。なんかりんごみたいなのが実った木がたくさんあるけど、この木の匂いじゃなさそう。
一体何の匂いだろう。
いい香りというのは、どこか懐かしさを秘めていると僕は思う。鼻腔いっぱいに吸い込んで、ありもしない思い出に浸る。
「それで?」
………"それで?" ?
なんの話してたんだっけ。
「名前を聞いている」
「……あ、半間が苗字で晴臣が名前です。晴臣と呼んでください」
「ハルオミか。君はこの世界の子では無いね」
「え……いや…この世界の子ですが」
当然のような質問に当然のように返す。するとまた質問が返ってきた。
「君の世界には、この場所があるのかい? ブロムスト国の東の地、ヴィーホットという場所が」
「ぶろ? びーほ、?……多分、ないと思います」
「なるほど。やはり状況が分かっていないようだね」
「状況……」
いやいや、それくらいわかってます。頭の上に校長先生の鉢植えが落ちてきて眠ってしまって、どこかの中庭であなたに膝枕されてるんだ。
「説明してあげよう。君はここではない別の世界から、今しがたこちらに転送されてきたようだ」
なんだろう。とても気分が良い。
後頭部から首にかけて当たる枕がちょっと硬いけど、いい匂いがして、ぽかぽかする。こんなに気持ちよく眠れるなんて今日はあまりにも運がいい。
でも、なんで眠れたんだっけ?
…………いや。
さっきまで僕は学校に居たはずだ。帰ろうとして外を歩いていて、そうだ、頭に何か落ちてきて……もしかして学校で気でも失ってしまったのだろうか。
これはまた変なあだ名付けられてしまうかもしれない。半目どころか、「気絶君」なんてあだ名をつけられたらどうしよう。まああいや。眠れたのだから何でもいい。
でもいつまでも寝ていたら帰るのが遅くなってしまうから、とりあえず起きなきゃ。今日はお花を買ってお墓参りに行くんだ。
「ふぁ~ぁ、よく寝た……」
「あぁ、本当によく眠っていたね」
え…………
「誰?」
目の前には見知らぬ人がいた。目の前というか、真上?
くっきりとした切れ長の目で、彫りが深くて、風になびく長い銀髪は繊細で、鼻はすっと高くて、肌もすべすべしてそう。モデルさん?
でもその綺麗な目の下には、肌の美しさに似合わないクマがはりついている。彼も僕と同じで眠れないのかな?
「それはこちらの台詞だ。君は……一体何なんだい?」
少し驚いた顔をしてる。
驚いているのはこっちの方だ。
「半間晴臣です。高校3年生です」
ひとまず自己開示をして、怪しい者ではないことを主張してみる。が、
「ハンマハルオミ? コーコーサンネンセー? どちらが名前だい?」
不思議そうな目で見られてしまった。
「高校3年生」が通じない?
この人もしかして高校3年生だったことないのかな。綺麗な銀髪だし、留学生かもしれない。いや、もしかして新しく来た英語の先生とかかな。どちらにしても言葉が流暢だ。すごいなあ。僕なんて中学生から英語の授業の受けてるけど全く話せないもん。
彫刻のような、彫りの深く美しい顔をずっと見つめていると、彼の耳にかかっていた細く柔らかい髪が一房するりと落ちて僕の頬を掠めた。
その不自然な重力に、初めて自分が膝枕をされていることに気がつく。硬いと思っていた枕は、この人の鍛え上げられた筋肉だったようだ。
人の脚の上で寝こけていたなんて。いい加減起きないと怒られてしまう。よっこいしょと手をついて、なけなしの腹筋を使って起きあがろうと試みる。
「そのままでいいよ」
「わあ」
肩を押さえられて膝に逆戻り。
まあいいか、心地いいし。
周りを見渡すと、四方を建物に囲まれただだっ広い中庭みたいなところにいる。あたりには、気を失う前に頭にぶつかったやわらかい梅のような花の香りが漂っている。しかし周りにある花や木はどれも梅とは違うようだ。なんかりんごみたいなのが実った木がたくさんあるけど、この木の匂いじゃなさそう。
一体何の匂いだろう。
いい香りというのは、どこか懐かしさを秘めていると僕は思う。鼻腔いっぱいに吸い込んで、ありもしない思い出に浸る。
「それで?」
………"それで?" ?
なんの話してたんだっけ。
「名前を聞いている」
「……あ、半間が苗字で晴臣が名前です。晴臣と呼んでください」
「ハルオミか。君はこの世界の子では無いね」
「え……いや…この世界の子ですが」
当然のような質問に当然のように返す。するとまた質問が返ってきた。
「君の世界には、この場所があるのかい? ブロムスト国の東の地、ヴィーホットという場所が」
「ぶろ? びーほ、?……多分、ないと思います」
「なるほど。やはり状況が分かっていないようだね」
「状況……」
いやいや、それくらいわかってます。頭の上に校長先生の鉢植えが落ちてきて眠ってしまって、どこかの中庭であなたに膝枕されてるんだ。
「説明してあげよう。君はここではない別の世界から、今しがたこちらに転送されてきたようだ」
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