【完結】眠れぬ異界の少年、祓魔師の愛に微睡む

丑三とき

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東の祓魔師と側仕えの少年

11.暇つぶし②

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開けてしまったもので後戻りなどできるまい、と、僕は扉を思い切り開き、足を踏み入れた。

これは……

食器棚に調理器具、オーブンらしきものにテーブル。

台所だ。

異世界にも台所あるんだ。ちょちょいと杖を振るだけで魔法で何でも出せると思っていたから、こんなに立派な台所があるのは予想外だ。冷蔵庫らしき箱を開けると、食材もたくさん。

これは…色が茶色っぽいけど多分小麦粉みたいなものだろう。これは野菜。卵に、お肉もある。

お茶が飲みたいし、お湯を沸かしてみようかな。鍋に水を入れて……コンロはこれかな。僕が知ってる形とは違って、平べったい板状だ。これがスイッチだろうか。黒いつまみを回してみても何も起こらない。熱くもならない。うーん、違うのか。

ひとまず鍋を板の上に置く。そのまま棚の中や食物庫を物色していると、


——ぐつぐつぐつ

「え、沸いてる」

お湯が沸いた。僕は沸いたお湯をゲットした。
急須は無いからここに茶葉を入れて…、と。
ザルで漉して飲めばいいか。

カップを見つけ、お茶を注ぐ。

「できちゃった」

ここのお茶は香りが良くて美味しいんだよな。部屋に移動して、窓の外を眺めながら優雅にティータイム。

物色とお茶汲みでだいぶ時間を潰せたなあ。

でもまた暇になっちゃった。

あ、そうだ。


朝に食べ残した果物。確かこれりんごみたいな味だったな。おやつに食べようと思って取っておいたんだけど、……よし。

僕は再びキッチンに移動し、りんごを細かく刻む。さっきの鍋を洗って水を張り、りんごを浸けて、塩、塩……これかな? 塩も少し入れて、と。

小麦粉を器に入れて、……あ、良かった、バターみたいなのもある。これも入れよう。スプーンでバターを刻むようにして混ぜ合わせる。これをひとまとめにして……これはこれでおっけー、と。

りんごは塩水を捨てて砂糖をたっぷり塗す。よし、もう火にかけちゃえ。ことこと火にかけると、甘い匂いが漂ってきた。いい匂いだけど、こんなんじゃ全く眠くならないんだよなあ。

フレイヤさんの匂いが恋しい。はやく帰ってきてほしい。

って、だめだだめだ。嗅いだら眠くなっちゃうから務めが果たせない。でも今日はさすがに大丈夫だと思う。昨日、一昨日とあんなにぐっすり眠ったんだから。

もうじき午前の討伐を終えた帰ってくるであろう彼の顔を思い浮かべて、コトコト煮立つりんごを混ぜる。

フレイヤさんが帰ってきたら食べさせてあげるんだ。上手くできたらだけど。でも異世界の人間が作ったものなんて警戒しちゃうかな。味覚も違うかもしれないし口に合わないかも。その時は僕が食べればいっか。

煮たりんごを味見。うん、ちょっと酸味が強いけど美味しい。これを冷ましてから、さっきの生地を大体6等分くらいにして、伸ばして、それからりんごを包んで焼く。

僕はフレイヤさんの笑顔を思い浮かべながら、久しぶりのお菓子作りにいそしんだ。
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