【完結】眠れぬ異界の少年、祓魔師の愛に微睡む

丑三とき

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東の祓魔師と側仕えの少年

17.真面目なので練習します①

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「えっ!?  まだヤッてないのか?」

側仕えとしての義務をなかなか果たせないと告白すると、イザベラさんが驚愕の声を上げた。パネースさんも声には出さないが静かに驚いているように見える。仕えるあるじと体を重ねないのはあり得ないことらしい。

「うん、フレイヤさん、そんなの気にするなって言ってそういう性的な接触はしてこようとしないんだ」

「は!? なんで!?  意味わかんねえ」

「なんでだろうね。僕もわからない…」

手を出したくなるような魅力が僕に無いからだろうか。だったらそもそも側仕えになんかしないと思う。異世界から突然来た僕を可哀想だと思ってそばに置いてくれただけなのだろうか。しかし、イザベラとパネースさん曰く「フレイヤ様は思いつきで側仕えを置くようなことは絶対に無い」そうだ。

「フレイヤ様って三兄弟の中でもかなりミステリアスだから、何考えてるかわかんないんだよな。今までも側仕えになりたいって奴らが大勢いたんだけど、全部突っぱねて来たんだ」

「そうなの?」

「ああ。ほんと何考えてんだか。ハルオミみたいなやつ、俺だったらすぐ手ぇ出すけどな」


……………


「え?」

「あ?」

幻聴……だな。イザベラも冗談がおきつい。
いや、手出すってもしかして、まだいじめられる可能性ある?  嫌だな、打ち解けたと思ったのにな。

「イザベラ、ハルオミ君が困っているじゃないですか」

「何で困んだよ。当たり前のこと言っただけじゃねえか。ハルオミ可愛いし、よがらせたらエロそう」

何の躊躇いもなく言ってのけるイザベラ。僕が思っていたよりも彼は心を開いてくれていたようだ。どうやら幻聴でもいじめでも無かったらしい。

でも、

「ダメだよ?」

「何が」

「手出しちゃ」

「何で」

「何でって……」

理由いる?
友達とそんなこと普通しないでしょ。
え……僕が知らないだけでするのかな?  思えば元の世界では、クラスメイトと仲良く話はするものの学校帰りに遊びに行ったり休日に連絡をとったりという経験は無かった。つまりこれといって仲の良い友達はいなかったのだ。

もしかしたら友達って、そういうちょっと性的な触れ合いをするのが普通なんだろうか。

でもなあ。ウラーさんはフレイヤさんの言いつけで触れてこなくなったし、仮にも側仕えの身で許可もなく他の人とそういうことしちゃダメなんじゃないかな。

今まで悩んだことの無い種類の考え事に頭を捻っていると、イザベラがこう言った。

「側仕え同士の接触は結構一般的だぜ?  俺だってたまにパネースとするし」

「え!?」

「イザベラ、その言い方じゃハルオミ君が勘違いしちゃいますよ」

な、なんだ勘違いか。びっくりした。

「もちろん最後まではしませんよ。でもお互いに触れ合って気分を高めあったり、主に気持ちよくなってもらえるよう、触り方を練習したり。慣れれば楽しいですよ?」

いやつまり二人でエッチなことしてることに変わりはないじゃん。え…そうなんだ……。

「ヴィーホットはまだゆるい方だ。西の地ザパットなんて屋敷に側仕えが12人もいるから、めちゃくちゃ性に奔放だぜ?  側仕え同士で普通にセックスしてるし。技術を磨くためにむしろ推奨されてて、みんな真面目だからどうやったら主に満足してもらえるか真剣なんだ」

なんて奔放な世界なんだ。
元の世界の常識と違いすぎてあまりイメージできない。でも、僕もちゃんと経験を積めばフレイヤさんに満足してもらえるかもしれない。

「二人は、ニエルドさんやビェラさんをどういうふうに誘ってるの?」

勇気を出して聞くと、彼らは恥ずかしげもなく「誘うよりも先に脱がされてるしなあ」と言った。
……参考にならない。

うーん、なにか解決の糸口を見出せると思ったんだけどな。


「ハルオミは可愛いけど、色気が足りないんだ」

突然そう言って立ち上がるイザベラ。僕の手を引いてベッドに座らせた。人に色気が足りないと言われたのは初めてだ。

「例えばほら、こんなに綺麗な肌してるんだから寝台ではもっと見せた方がいい」

「え、あ、あの」

イザベラさんは僕が着ていたシャツをはだけさせ、肩まで脱がせる。

「うわ、ハルオミほんとに華奢だな。前いた世界の人間はみんなこんな感じか?」

「んー、とうだろ。人それぞれだけど、別に普通じゃないかな?  あ、でもこの世界の人たちはみんな背が高いよね」

「そうか?  普通だろ」

フレイヤさんは絶対2メートル超えてるし、ウラーさんやすれ違う執事、軍人もおそらく皆最低でも180はありそうだった。
歳が近そうなイザベラとパネースさんだって僕より少し大きい。

どうやらこの世界の人たちは、日本人よりも平均身長が高いようだ。


「そうだハルオミ、俺が印章着けてやるよ」

「え…わっ」

うきうきした様子のイザベラは、あろうことか僕をベッドに押し倒しズボンを抜き取った。早業だ。これがベテラン側仕えのテクニックなのか。見習いたい。

「こらこらイザベラ、ハルオミ君は華奢なんだから、丁寧に扱ってあげなさいね」

ズボン脱がせたことに関しては何も言わないんだね。

「丁寧に扱ってるだろ。パネース、ハルオミの印章取ってくれ」

「はいはい、どうぞ」

イザベラに印章を渡したパネースさんもそのままベッドに乗り上げてくる。

「ハルオミは脚細いから、サイズが合うかどうか心配だな」

「少しきつめに締めてあげた方がいいかもしれませんね」

「だな。もうちょっと…上らへんの太い場所の方がいいか」

「ええ、そのあたりならぴったりですね」

二人はゆるくないか? 痛くないか?  と聞きながら僕の左脚に印章をつける。下はパンツ一枚、上のシャツもこんなにはだけた姿を晒してるなんて、二人にはお目汚し申し訳ない。

「よしできた。ハルオミほんとに綺麗な脚してるよな、ほら、こんなにすべすべ…」

「んっ……」

ちょっとイザベラくすぐったい。
他人に太腿など触られ慣れていない僕は身じろいで抵抗の意を示した。すると二人はお互いの顔を見合わせて数秒固まった。

「え、なに」

「ハルオミ、フレイヤ様が帰ってくる前にちょっと練習しておいた方がいいんじゃないか?」

イザベラが食い気味に提案する。

「練習?」

「フレイヤ様を上手にお誘いできるよう、少し感覚を掴んでおくのもいいかもしれませんね」

パネースさんがそう続けた。

なるほど、それはいい考えかもしれない。
彼が帰ってきた時にスムーズにことを運べるようになりたい。僕は、こんな情けない姿で二人に頭を下げた。

「お願いします」
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