74 / 176
東の祓魔師と側仕えの少年
74.報告は大事①
しおりを挟む◆
今日は非常に充実した日を過ごした。
魔力の訓練をして、農園で芋の世話をして、それからマッシュポテトの名付け親?になった。
そのあとは料理人さん達から質問責めにあった。「ハルオミ殿の世界には、この芋を使った料理はどのくらい存在するのですか?」「この"まっしゅぽてと"なるものはあちらの世界でも主食にされているのですか?」「やはり国ごとに料理の違いなどもあるのでしょうか?」「芋を使った異界料理をご教授いただけませんか?」
いつのまにか僕も彼らも緊張が解けていた。
僕はマッシュポテトを少しアレンジした"ポテトサラダ"の作り方を教えて、彼らに作ってもらった。
元々食事会の時の約束でアップルパイの作り方を教えるつもりだったけど、思いの外マッシュポテトで盛り上がってしまったのだ。
自分では今は料理ができないけど、彼らは少し教えるだけで手際良く作ってくれたので「やっぱりプロは違うなあ~」と感動した。それに魔法を活用しながらだから、とても効率的に調理が進むのだ。
厨房にはハムみたいなお肉や野菜もあったからそれを使わせてもらった。マヨネーズはなかったけど、お酢とかたまごとか塩などはあったのでそれでなんちゃってマヨネーズを作ってもらって代用。
ちなみにこのなんちゃってマヨネーズでまたひと盛り上がりを見せた。みなさん馴染みのない味わいだったようで最初は戸惑っていたが、野菜につけて食べると美味しいですよと勧めると、ボールいっぱいに作ったマヨネーズが一瞬でなくなったのである。
そうこうしつつもポテトサラダが完成して、イザベラやパネースさんや料理人さん達みんなで試食した。
「この味わいは初めてだ…!」「これがサラダ!?」「うまい…皆、レシピは頭に入ったな!? これからメニューに加えるぞ!」と大盛り上がり。
「さすが料理人さん……! 僕少し教えただけなのに、こんなに美味しく作ってくださって感動です!」
「ハルオミ殿の教え方がうまいんだ! もし良かったら、また時間がある時に次はその……あの、"あっぷるぱい"というやつを……」
「もちろんです! 僕も今日皆さんとその件についてお話がしたくてここに来たんです」
よっしゃぁぁぁっ! と歓声が上がり、こちらまで嬉しくなってしまう。
そんなこんなで、あっという間に1日が終わってしまったのだ。
僕はお風呂から出て寝巻き用の薄襦袢に着替え、ベッドに寝転がって休息をとる。
色々試食して、お礼にと料理人さん達が自信作を振る舞ってくれたからお腹いっぱいになっちゃった。夜ご飯はナシでいいかな。あ、でもフレイヤさん帰って来たらお腹空いてるかな。
厨房から彼の分だけでも夕飯貰ってこようかな。
あれこれ考えていると、彼の気配が近づいていることに気づく。
——ガチャ
「おかえり、フレイヤさん」
「ただいま、ハルオミ」
彼を出迎えるため起きあがろうとすると、フレイヤさんはそそくさと足早にこちらへ来て僕に抱きついて来た。
「フレイヤさん、疲れた?」
ぽんぽんと背中を撫でると、彼の匂いがあたりに舞い上がる。
「ああ、しかしその疲れも今一気にどこかへ行ってしまったよ」
職場復帰した彼は仕事から戻るたびにこうして密着してくるのだ。魔物の討伐によって魔祓い師の受ける影響——。それをこうして僕が癒せているなんて、嬉しいことこの上ない。
「夜ご飯は? ちょうどこれから厨房にフレイヤさんのを貰いに行こうと思ってたんだ」
「ありがとう。しかし今日は先ほど兄さんとビェラとともに父上と母上のところへ行って来たから、そこで済ませて来たんだ。ハルオミは?」
「僕もお腹いっぱいなんだ。今日は料理人さんたちに僕の世界の料理を作ってもらったり、それから色々振る舞ってもらったから」
「そうかい。皆と仲良くなれて良かった」
「うん、とっても良い方たちばかりで楽しかった!」
今日の思い出ににやけていると、フレイヤさんが僕の頬に手を添えて優しく撫でた。
「君の笑顔は、どんな妙薬よりも元気をもらえるね。今日もずっと君に会いたくて仕方がなかった。昼も戻れなかったしね」
「そうだね。今日はお昼帰って来なかったものね。忙しかったの?」
「ああ、少しね。実は昼にも父上と母上のところへ行っていたんだ。兄さんから大事な話があると呼び止められて」
「ギュスター様とムーサ様のところへ? 夜も行ってきたんでしょ? 何かあったの?」
何だろう大事な話って。しかも昼と夜に二度も。もしかして、当主にご就任されて早々にトラブル!?
そんな心配もすっ飛ぶ発言が、次の瞬間彼から繰り出されたのである。
「ああ。兄上が、パネースと祝言を挙げるそうなんだ」
……………、え?
46
あなたにおすすめの小説
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺
ユッキー
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。
大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。
おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。
✻✻✻
2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる